2015年8月13日

8月13日 5年目の夏、石巻のこれから (石巻STAND UP WEEK 2015)

8月1日(土)スタンドアップウィーク最後の週末。石巻の伝統行事「川開き祭り」も2日間の最終日を迎えました。

商店街には、震災後5年ぶりに戻って来た吹き流しの七夕飾り。そして歩道沿いには、たくさんの方の願い事が書かれた短冊もありました。



スタンドアップウィークを企画した、ISHINOMAKI2.0 代表理事 松村豪太さんは、5年目の夏に、どんな願いを、短冊に託したのでしょうか。

◆本当にやりたいことをできる時期へ
僕は書きたいことがありすぎて筆が止まっていましたが、やはり「世界で一番面白い町を作ろう」ですかね。いま色んな団体というかプロジェクトがにょきにょきと生え始めている時期だなと思うんですね。例えば僕らも、2.0不動産という、空き家をDIYで改修して移住者を呼び込むプロジェクトをやっていますが、そこをぐんと先を言ったフィッシャーマンジャパンのトリトンプロジェクトという、職業と結び付けて漁業の担い手・チャレンジャーを作っていき、さらに空き家を拠点として改修するというプロジェクトが生まれている。そういう存在が生まれていて、ネットワークも築けていることが心強く、可能性を感じています。僕が石巻の人間として震災当時もここにいたから変わったことをやりやすい立場だと思うが、地域の人を応援しよう、復興活動をしようと外から来たみなさんはやりたいことを遠慮してきた5年なのかも知れない。この5年というタイミングで団体によっては解散や縮小もあるが、逆に本当にやりたいことを出来始める時間なのかもしれない。たんなる絆の応援ではなく、ビジネスベースや新しいことが起きつつあるのが今の時期かも知れない。仕事が無いと永住、定住はできない。新しく仕事を作ることだと思う。地元の高校生にとっては石巻は典型的な田舎の地方都市だが、彼らにとって仕事は就職相談課の窓口に来た型通りのペーパーのもの。時給はいくら、月給はいくらで、週に何日休めるかというのが全てで選択の余地は無かった。でも仕事はそれだけじゃなくて、すごい人の背中を見ながら動く仕事もあるし、ローカルにとどまらず世界とやりとりしながらする仕事もある。そういうことを見せて行かなきゃいけない、選択を示さなければいけない。さらに選択肢も震災をきっかけにできつつあるのがこの町。ちゃんとそれを多くの高校生大学生に見えるようにする、こちらから丁寧に話す機会を作る、そして楽しいと思ってもらえる時間を作らなければいけないと思っています。



(左:STAND UP WEEK 総合ディレクター勝邦義さん 右:松村豪太さん)

「世界で一番面白い町を作る」、というキーワードを旗印に、震災から5年目の夏祭りを終えた石巻は、これからも外からやってきた人たちを巻き込みながら、他にはない新しいものを生み出していきそうです。

◆しなやかに、外とつながって
石巻の七夕は、豪華さやボリュームでは仙台や平塚には到底足元にも及ばない。そこにないものが石巻の七夕にあるとしたら、「風にたなびく」ということ。仙台はやはりアーケードに覆われた静かな動かない七夕。それに対して石巻の七夕は外とつながっていて、空と一体になって景色を作っていると思う。この海風、川の風がしなやかな丈のカーブと合わさって、風にたなびく姿が石巻の七夕なんじゃないかなと思いますね。




こうして8月1日、石巻の川開き祭りとスタンドアップウィークは夜空を彩る花火とともに、幕を閉じました。

石巻の七夕飾りは、外と繋がって景色を作ります。そして町の人たちも、外と繋がりながら、しなやかに変化を続けていくはずです!

2015年8月12日

8月12日 5年ぶりの七夕飾り(石巻STAND UP WEEK 2015)

引き続き、宮城県石巻市の夏の恒例イベント『STAND UP WEEK』のレポートです。

毎年7月31日と8月1日に行われる、石巻の伝統行事「川開き祭り」。スタンドアップウィークはこのお祭りに合わせる形で、震災後に始まったイベントです。

イベントも今年で5回目。町には新しいお店も増え、震災直後と様子はずいぶん変わりました。特に今年は、川開き祭りをあざやかに彩る、お祭りの「象徴」の復活という 大きなトピックもあったんです。
ISHINOMAKI2.0 代表理事 松村豪太さんに伺いました。

◆みんなで復活させた七夕飾り
あっという間に気がついたら8月1日最終日。今年は『みんなの七夕』ということで、震災以来ストップしていた七夕の吹き流し飾りを、参加型で色んな関わり方で色んな立場の人たちが作るというメイン企画を実施して、のべ500人くらいが参加しました。現地の人だけでなく東京で支援する企業の方や、クラウドファウンディングで思いを制作費として拠出してくれる人も。また現地ではワークショップだけでなく、町のお母さん達が自分で吹き流し飾りを彩るお花を作って頻繁に届けてくれるという涙が出そうな場面もあった。七夕飾りの本数は60本くらい。震災前は商店街の人たちが七夕飾りを作っていた。「向いの商店には負けない」「あっちの呉服屋には負けない」というライバル関係があって張り合っていたので面白いものが作られていたが、それは書くお店に従業員がたくさん居た時代のこと。今は震災を別にしても小売業は大変な状況で、なかなか攻めの経営はできていない。担い手も見つかっていないお店が多い。それが3月11日でさらにダメージを受けて、なんとか営業を続けていても社会貢献までは手が回らない状態だった。そして正直な話し、「七夕飾りがなくなってほっとした」という声すらあり、一方で「なくなって寂しかった、こんな商店街でいいのか」という声もあった。2011年の夏にSTAND UP WEEKという実験的な企画をスタートさせ、みんなで素朴に頑張って元の町の戻そうということではなく、新しいモノ、モデルを作ろうとやってきた。この七夕飾りを復活させる、あるいは新しい作り方ができたら良いんじゃないかと考えた。それがこの七夕飾りの発案のきっかけでした。




こうして5年ぶりに、商店街の空にたなびく七夕飾り。地元・石巻で生まれ育った松村さんは、それを見上げながら、こんな話しをしてくれました。


◆こんなに大事なものだったんだ。
昔から見ていたはずだが、当たり前の景色だったんですね。こんな大事なもので大変なものという意識はなくて、東日本大震災そのものもそうだけど、無くなって初めて景色の背景がわかったというか、かけがえの無さというか大事さがわかった。良さが確認で来たものがすごくたくさんある。その中でこの七夕飾りは僕自身もプレーヤーになったのでより実感した。実際に七夕の吹き流し飾りを作るのも大変なんですが、それを通りに立てかける作業は初めてやったのだが相当大変。竹は10mくらいあって見上げると本当に高い。これをみんなで持ち上げて、道路交通の邪魔にならないようにロープを張り、七夕の先生である向いの瀬戸物屋さんの社長さんに教えてもらった。若い人だけじゃなく商店街の人も40人集まって、みんなで教わって「いっせーのせ!」で、10mの竹を立てかける。もう映画みたいでしたね。




LOVE&HOPE、あしたもスタンドアップウィークのレポートをお届けします!

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パーソナリティ 鈴村健一

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