2019年10月24日

避難所の運営「食物アレルギーへの配慮」

今週は「避難所での生活や運営のアドバイス」をお届けしています。
自然災害が起こったときに、災害弱者となるのは、お年寄りや身体に障害がある人だけではありません。

「食物アレルギーを持つ人」も災害の際、救援物資や炊き出しを食べることができず、大変苦労するそうです。「アレルギーっ子ママが考えた防災ハンドブック」にはその対処法とアドバイスがまとめられています。
お話は、ハンドブックを制作した、LFA JAPANの代表、大森真友子さんです。

◆避難所の炊き出し「原材料表示を」
食物アレルギーの子どもを持つお母さん方にアンケートを取りましたが、ほとんどの方が、災害が起こってみんなが大変な状況の中で、込み合っている避難所で「原材料なんですか?」と並んでいる列が長ければ長いほどと聞きづらい、声を出しづらいということだでした。「自分が食べ物を我慢したら済むのかな」と考えた人が、被災地体験をした方の中には多かったようです。
たとえば炊き出しで、「塩にぎり」と書いてあっても、見た目は「塩にぎり」でも何が入っているかわからないと、わたしたち食物アレルギーを持つ子の家族からすると食べさせることができないんです。「塩しか使っていない」とわかれば食べられますが、最近は鮭ふりかけにも「卵黄」とか「脱脂粉乳」「バター」「小麦粉」が入っているものもあります。鮭のふりかけだから食べられる、というわけでもないのが現状なんです。

日ごろから原材料表示を見ながら生活していますが、災害時はより“なにか起こさないように”と注意を払っているので、おにぎりであっても手出しができない状況なんです。それを知っていただき、炊き出しなどで原材料表示をしていただけたら、食物アレルギーを持つ人たちもおにぎりを食べる選択肢が増えるのでぜひ協力してほしいなと思います。

アレルギー食品を食べるのは、命にかかわることなので、自分たちの自助はもちろんだが、食物アレルギーがある人はアレルギー食品を食べるととても困るんだとということを、アレルギーでない人に知ってもらうこともとても大事なこと。一人でも多くの人に知ってもらえればと思います。


食物アレルギーを引き起こす7つの代表的な食品は「卵、小麦、乳製品、えび、かに、そば、落花生」。口にすると命にかかわることもあり、食べられないのは「わがまま」ではありません。まわりの人の理解が必要です。
 
炊き出しを行う方にもぜひ知ってほしい内容です。
「アレルギーっ子ママが考えた防災ハンドブック」無料でダウンロードできるサイトはコチラから。

2019年10月23日

避難所の運営「乳幼児や高齢者のケア」

今週は「避難所での生活や運営のアドバイス」をお届けしています。
お話を伺ったのは、岩手県陸前高田市の佐藤一男さん。佐藤さんは、2011年の東日本大震災で被災しておよそ2カ月間、避難所で暮らしその運営にも携わりました。そのときの知恵やノウハウを生かして、現在は防災士、また避難所運営アドバイザーとして活動しています。

今日は、「乳幼児や高齢者のケア」についてのお話です。

◆乳幼児や高齢者の方をそれぞれ集めた、別の部屋をつくる
避難所は多くの人が集まる場所。乳幼児から寝たきりのお年寄りまでみんなが集まります。みんなが集まるからルールを決めようというときに、夜9時過ぎに電気を消そうとか、寝ようという話になってきますが、乳幼児がいたり高齢の方がいたりすると、介護やおむつ、ミルクで夜音を立てざるを得ない。それが周りにはストレスだし、お父さんお母さんも、周りに気を使って子どもを連れて外に飛び出すとか、そういうストレスにもつながります。そういう人たちが居づらくない避難所にしてほしいと思います。
例えば、(学校など部屋数に余裕がある避難所であれば)乳幼児や高齢者の方たちを集めた部屋をつくってほしいと思います。そうすることで、赤ちゃんが泣いていれば、となりの子育て中のお母さんが「はい、オムツですよね、ミルクですよね」と手助けしてあげたり、同じ立場だからこそ支え会うことができます。高齢者の方は寝たきりの方が特にそうですが、夜のおむつ交換や痰の吸引で音を立てたり、灯りを付けたりするケースがでてきます。そういう人たちも、一部屋用意していただいて、介護をしたことがある人通しが一つの空間にいられるように。被災者の中に介護士さんがいれば、サポートについていただければと思います。


ストレスという点では、ペット世帯も同じです。飼い主にとって、ペットは大切な家族の一員ですが、人によっては動物アレルギーがある方もいます。部屋数に余裕があれば、動物ごと、犬種ごとの、部屋分けを行ってください。

また佐藤さんによると、避難所で暮らす方が減ってきたら、「避難所の統合」や「部屋割りの再編成」も検討してほしい、とのこと。効率的な避難所運営を行って、学校や行政の負担を減らすことが、地域の復興のスピードアップにつながる、と話してくれました。
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パーソナリティ 鈴村健一

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