2015年9月30日

9月30日 廃炉作業員の現状を伝える団体AFW 3

福島第一原発の廃炉現場で働く人たちの、実情を伝える団体 AFW。
代表の吉川彰浩さん自身、元々東京電力の社員で、原発事故以降も1年以上、福島第二原発の作業に関わっていました。

そして現在、AFWでは、福島県で復興に関わる人たちを対象に今年2月から、第一原発の敷地内の視察・勉強会を行っています。

◆だからこそ知らないといけない
住民の方に、福島第一原発を実際に見てみませんかというお声がけをすると、だいたいの人が「行きたくない、放射能が怖い」という話をする。実際に行くと、その入り口では普通に作業員の方が歩いているわけです。ものすごくショッキング。「ここまで大丈夫なの」「本当に大丈夫なの」と行かれた方のほとんどがそういう感覚を持つ。そのあと実際にバスに乗って視察が始まると瓦礫も片づけられているしタンクも整然と並んでいる。数は多いけれどもなにか緊迫感は伝わってこない。ただ見ただけでは、非常に「(復旧・廃炉作業は)うまくいっていると感じた」というご意見をたくさんいただいている。第一原発で爆発を起こした原子炉建屋なんだ、じゃあそれが私たちの暮らしにどういうインパクトを与えていて、だからこそ知らなくちゃいけない。そういう取り組みを分かりやすくやらなくちゃならないんだなと。1、2回の学習会を開いただけでは通じないんだというのはどう改善するべきかと悩んでいるところですね。




※実際の視察で撮影された福島第一原発 敷地内の様子


※視察参加者に配られる資料

この視察、福島で復興に関わる人が対象なのは、誰かに原発のことを聞かれた時、「ちゃんと説明するため」と吉川さんは説明しています。ニュースではなく現場を見て、初めて説明できることがあるからです。

そしてもう一つ。現場を見ることで、いま廃炉作業に取り組む方々が、「どういう人達なのか」を周りに伝えてほしいから、だと話します。

◆7000人の作業員のことを
現在、東京電力の社員・作業員を含めて1日に約7000人の方が働いている。そのうち約45%が福島県民の方。これを聞いた時に私が思ったのは、やはり福島第一原発の廃炉は被災した福島県の方々にお世話になる取り組みなんだなと。私も海側・福島県に住んでおり、子どもや孫世代が将来、この3500分の1になるという考えで現場を見なければならないと思っている。そういう目で見ると、6月1日に大型休憩所というものがようやく現場に完成して、今年6月1日からようやく暖かいご飯を食べられるようになった。当たり前の食事ができるようにまで4年以上かかった。そういった目で見ると働く場所の環境としては良くない。東京電力の方々にも職場環境の改善に力を入れて頂きたいし、人がやりたくない仕事を、安心と安全を作るために努力されている方々に対しては感謝と怪我なく無理なくやって頂きたいという想いがあります。


2月以降、視察が実施された回数は5回。実は明日10月1日も、南相馬市の住民を対象とした視察がある予定です。そして現場を見た感想は、地域によって大きく違うと言います。

例えば、2012年にいち早く帰村宣言を出し、故郷の再建に取り組む川内村の方々。視察の直後にお話を伺いました。

◆現場を見て、伝えること
・川内村の商工会の方:川内村をこれから見ていくためには知っておかないといけない内容。目も背けられない。近隣にある村としてどういう方向で行くのかということで現場を見てみないと分からないということで誘われてきた。
・「いわなの里」というところで塩焼きを焼いたりしている。自分の目で現実の世界を見させてもらいたいと思った。今後で言えば廃炉作業へ向けて、難しい課題もたくさんあると聞いた。世界で初めてのことをする部分もある。そこは危険性はもちろんあるがその中で真摯に取り組まれている姿もよく分かりました。そういう人達に支えられているということを僕自身は感じた。私自身が伝えられることもあるかと思うので、そういうことはできるかと考えています。


AFWの視察、今後も実施される予定です。実は今後は、原子力を専攻する大学生を対象とした視察会も検討していると言います。廃炉作業には、原子力の専門知識・技術を持った若い世代が必要ということで、ある意味「将来の職場見学」の意味もある、とAFW代表・吉川さんは話しています。

明日も、AFWによる福島第一原発 敷地内の「視察」についてお伝えします。

★AFWウェブサイト

2015年9月29日

9月29日 廃炉作業員の現状を伝える団体AFW 2

今朝も、一般社団法人・AFW 代表・吉川彰浩さんのインタビューです。



福島第一原発の廃炉現場で働く人たちの、実情を伝える団体 AFW。代表の吉川さんご自身も、あの原発事故から1年数か月にわたり、東京電力の社員として、福島第二原発の作業に関わっていました。

そして2012年6月。吉川さんは東京電力を退社。過酷な環境にありながら、ほとんど報じられない作業員の現実を伝えようと、最初はひとりで活動を始めたと言います。

◆福島第一原発の「いま」を伝えるため
募金を集めて、現場の作業員さんたちに支援物資を届けましょうと。夏場と冬場に現場で使う機能性インナーを7000着送ることができました。その活動を通じて、第一原発で働く方の現状をようやく伝えられるようになったんです。
その時にようやく町の方々と毎日のようにお話をするようになりまして、第一原発についてものすごい不安を抱えて暮らしてらっしゃるんですね。福島第一原発の情報って福島県で暮らしていてもほとんど入ってこない。ニュースで「こういうトラブルがありました」ということは入ってきても、じゃあ今どういう状況まで良くなったのか、どういう課題があるのか、働く人はどうなっているのかというのは日常の暮らしでは全く感じられないんです。
私がそこで思ったのは、やはり原発事故の被災地域で暮らしていくには、自分たちが第一原発のことを知れる環境がないとまずいんだなと。メディアに頼るのではなく、自分の暮らしなのだから自分たちがアプローチできる、正しい生の情報をとれなくちゃいけないんだと思いました。
その方法としては、実際に見てみるというのが一番分かりやすいのかなと。ただものすごくハードルが高い。相談するのは当然ながら東京電力。その窓口へ相談へ行って、「私たちはここで暮らしていくために学びたい。ぜひ第一原発を観る機会を住民の方にいただけませんか」とお願いをしに行きました。
東京電力としても、現実を知ってほしいという想いは強いのでOKが出て、今年の2月には住民の方と福島第一原発を実際に見ることができた。そこで見るだけでは足りないと思った。一度お連れした方々が、原発を視察し終わった後に、そもそも第一原発を知らないので「理解できなかった」という意見がたくさん寄せられた。
「継続的に見れるようになりたい」「第一原発の設備、廃炉の取り組みについて学べる場が欲しい」というご意見をたくさんいただいて、地域の学習会を開くようになった。学習会で学んだことを視察に活かすという意味で、東京電力に継続的に住民の方が視察できる環境を作って下さいとお願いをして、OKをもらい、南相馬市・双葉郡川内村・いわき市で少人数ながら、勉強会と視察をセットにした福島第一原発を学ぶための学習会。それを暮らしに活かすということで進めています。


こうして現在、AFWでは、福島県で復興に関わる人たちを対象に第一原発の敷地内の視察・勉強会を行っています。これは実際に、福島第一原発の敷地内へ入るものです。


※Jヴィレッジでの視察前の学習会の様子

ただ、あくまで視察は「バスの中から」。被ばく線量は「健康被害は認められない」程度ということですが、 バスに乗るまでは頭と靴を覆うカバー、バスの中ではマスクをつけた状態となります。

第一回が行われたのは今年2月。すでに5回を超える視察が行われています。これまで、いわき市、双葉郡川内村、南相馬市などの住民の方々がこの視察に参加しているということです。参加する人たちは、廃炉についてちゃんと知識を持たないといけない、という意識を持つ人です。

明日も、AFWによる、福島第一原発 敷地内の「視察」についてお伝えします。

★AFWウェブサイト
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パーソナリティ 鈴村健一

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