2015年11月16日

11月16日 相馬高校放送局が伝える福島?

今週は福島県の相馬市の高校生たちが、伝える福島のリアルについてお伝えします。

番組で紹介したのは県立相馬高校放送局(つまり放送部)が製作した映像ドキュメント「相馬高校から未来へ」。

相馬高校放送局は震災後、原発事故後の生活を記録したドキュメンタリーや演劇を次々制作。全国で反響を呼び、各地で上映会も行われています。

この「相馬高校から未来へ」は、2011年・震災直後の入学式の様子や、放送局の活動をまとめ、数人の部員によって制作されたもの。完成したのは2013年6月で、NHKの高校生向けコンテストの、テレビドキュメント部門で優勝、山形国際ドキュメンタリー映画際でも上映されています。

※番組では許諾を得てその作品の「一部」をお届けしました。

相馬高校放送局の当時のメンバーは、演劇部と合同で様々な活動をしていました。その活動の中には、原爆の被害を受けた長崎、水俣病の水俣市などを視察・取材するといったこともあったそう。特に演劇は、原発事故後の地元高校生のリアルを描かき高い評価を受けた。例えば・・・相馬高校の高校生たちは、原発事故や震災の話を「しない」といいます。友達を傷つけてしまうことを恐れ、会話に「気を使う」のだそう。だから、震災・原発事故を語り合うこともない。演劇では、そうしたリアルが描かれている。きょうお届けした作品の音声にも、一部、演劇のシーンが出てきていました。

高校生たちの中でも、原発事故の話はタブーになっているということ。ただ、風化させないためには積極的に打ち明け合うことも必要。そんなことを考えさせられる。

明日も、相馬高校放送局の活動についてお伝えします。

2015年11月12日

11月12日 津波防災シンポジウム2015 ?

引き続き、11月5日・津波防災の日に行われた「津波防災シンポジウム2015」の模様です。

このイベントで講演を行った専門家の一人が東北大学大学院 准教授の陶山佳久さんです。

陶山さんは「タブノキ」という樹木のDNAを全国的に調査。同じタブノキでも、東北と、それ以外では別のグループに分かれることを突き止めています。

東北沿岸部では、津波から命を守る「森づくり」「植樹活動」が広がっていますが、この、タブノキの調査結果は、なにを意味するのでしょうか。

◆地域に根付いた樹木
もちろんこのように広い範囲に分布するので、地域地域にそれぞれ違ったタブノキが存在するのですが、地域地域にそれぞれ違ったタブノキが存在する。そして全体として3つのグループに分かれることがわかりました。西・関東・東北。いま植樹というといろんな問題がある。例えば苗木が足りないとか、経済的な問題で現実としてしょうがない時があるが、実際に移植されることがある。いまはこのデータがあるので「それは違う(地域の)ものですよ」と言うことができるが、このデータが無ければ、同じタブノキだからいいでしょと植えられてしまう。遺伝的に違うことを指摘できるのだが、何が悪いのか説明を求められた時のために実際に植えて比較をしてみた。千年希望の丘で、同じ数だけ同じ場所に統計的に比較できるように植えた。一冬越えたあと1年目の状況だが、愛知県産・茨城県産の苗木は枯れていた。一方で、全く同じ条件で宮城県産のものが元気に育っているものがある。一箇所だけだと偶然と言われてしまうので、もう一箇所、南三陸でも比較した。宮城県のものはやはり成長が良い。樹高がわずか1年で(他のものと)10センチくらい差が出ちゃう。成長だけならまあよい、これくらい我慢しろということになるが、冬を越えた時に一番先端の芽「頂芽」がたくさん枯れてしまう。その割合は宮城県産でも50%くらいあった。茨城県産と愛知県産については、愛知県産がわずか15%。これはショックを受けた。こんなに差がでるのかと思った。宮城県産は冬に寒い状況に対応できているからこうなるのだが、これがわかっていたらこんなこと(植樹)はしないですよね。まとめると、まず地域には独自の遺伝的な系統があるということを覚えておいてください。そして地域環境に適応した個体が基本的には各地に分布している。これは何をもたらすかというと、将来に確実な海岸林を成立が期待できる。それからさらにより高く暗転した生態系サービス、つまり森の恵みを享受することができる。この時点で少なくとも、地域性種苗・地域の苗木は歴史という保険が利いているということ。で、いつもそうだとは限らないことも覚えておいて欲しい。他地域産の種苗であっても問題なく成長することはもちろんある。外来種というのは全然違うところから持ってきて、成長がよくなることがある。でもそれは遺伝子攪乱を起こしてしまうので、成長しようがしまいが、他地域産のものを持ってくるのは良い事は無い。未来に責任の無い行為だということができると思う。最後のメッセージだが、研究をしていて色々何をやればいいのかと思うことがあるが、今ははっきりとこうしたいという気持ちがある。僕のできることは遺伝子を調べることなので、地域の遺伝資源を次代に残すことが僕にはできるし、僕の願いは未来により良い環境を残すため遡って、森の防潮堤にも貢献できればと思っている。


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パーソナリティ 鈴村健一

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