2019年10月30日

宮城県大郷町?「自主防災組織」

今朝も、台風19号で大きな被害を受けた地域のひとつ、宮城県大郷町からのレポートです。

今回取材した大郷町・中粕川地区は、台風19号による川の氾濫・堤防の決壊で、100軒を超える家屋が全壊、大規模半壊となりました。

しかし、それだけの被害にも関わらず犠牲者は、ゼロ。これは、過去の水害を教訓にした自主防災組織が日頃の訓練の成果を発揮したことによるものです。住民の命を守った訓練とはどんなものなのか。中粕川地区・区長の赤間正さんに伺いました。

◆自主防災組織の訓練
ここの防災組織ができたのは平成18年頃。前前区長の当時に立ち上げた形なんですね。町内には22の行政区があるので、そこにそういう呼びかけをしたのかもしれないです。中身にはいろいろ差があるかもしれないですけど、うちのほうも地区独自で中粕川防災組織というものを作り上げました。それが18年ごろだったと思うんです。それ以降は毎年防災訓練を行っているんです。今回(の台風19号のとき)も、3時ごろに(安否確認で)全戸を回りましたが、そういった訓練を年1回は必ずやっていました。中粕川地区は6つの班になっていて、各班の役員がそれぞれの班内を全戸回って避難を呼びかける点検を行って、例えば1班は「10軒の方が避難しました」といった報告をするようにしているんです。班には各家庭に赤い旗と緑の旗を配備しているんです。赤い旗には「助けてください」、緑の旗は「避難しました」と書いてありまして、避難指示が出ときに「避難した」という旗を玄関とか門のところに挿して避難するという形をとって。どうしても自分が動けないので助けて欲しいという時は玄関口に赤い旗を立てるという訓練も併せて年一度やっています。今回も旗を立てて避難してくれた人もいるしみんな立てたわけではないですけれども活用してくれた方もいたんだなと思います。



※安否を知らせるこの旗は、中粕川地区で各戸に配布されています。

本当に具体的に、避難が必要なシチュエーションを想定した訓練が毎年行われていたわけです。ただ、避難した住民の方のうち数人が、台風19号が過ぎた 13日の朝、すでに晴れていたこともあり、自宅の様子を見に戻ってしまったといいます。しかし川が決壊したのは 13日の午前7時すぎ。結果、自宅へ戻った人は浸水で孤立してしまいヘリコプターなどで救助されました。これについて赤間区長は、「大きな反省点」だとしています。

台風が過ぎたあとも、川の氾濫リスクは続いている。災害リテラシの高い大郷町の方々は分かっていたはず。それに備えて綿密な避難訓練をしていました。それでも、どこかでリスクを過小評価してしまったと考えられます。この防災の難しさを象徴する出来事、教訓にしなければ。

2019年10月29日

宮城県大郷町?「過去の災害を教訓に」

今朝も、台風19号で大きな被害を受けた地域のひとつ、宮城県大郷町からのレポートです。

大郷町・中粕川地区は、台風19号で 堤防が決壊した吉田川(よしだがわ)のそばにある地区です。100軒を超える家屋が、全壊または大規模半壊という大きな被害を受けました。しかし、大郷町における人的被害はゼロ。犠牲者は一人も出ませんでした。なぜなのか。これ実は、町の人達の、日頃の備えが実を結んだものなんです。中粕川地区・区長の赤間正さんのお話です。

◆過去の水害を教訓に
吉田川は結構、雨が降れば水位が上がったりするんですけれども、このへんは浸水するような被害というのは私が知る限りは無いんですよ。60年から61年の8月5日に豪雨がありまして、ここよりも次の集落、鹿島台地区のほうの堤防が決壊して、この水が逆にこっちのほうに上がってきて田んぼあたりが満水になって、低い家が何軒か床下浸水になったというのが「8.5」の豪雨の時なんですね。あと「9.11」、近年ですけどその時は堤防が目一杯になって越流して役場や消防署、警察署も冠水してしまったという水害があったんですけれども、その時もここが決壊したわけではないので、この辺は水没とかはなかったんですね。ですからこの地域は、堤防が常にそういう川の水位が上がったりすることもあるので避難情報とかなんとかが出てきたときに皆さんで確認し合いながら、全員が避難するのが一番好ましいのでそれに向けた防災組織を作って、活動しているわけですけどね。それぐらいこの地域の人たちって川に関する防災意識が高いかもしれないですね。


赤間区長のお話でした。お話に出てきた「9.11」は2015年の関東・東北豪雨です。鬼怒川が決壊した茨城県常総市など各地で大きな被害が出た、あの災害です。そうした経験を忘れず、大郷町では地区ごとに自主防災組織が作られ、消防団などと連携して、避難の呼びかけ・安否確認の手順がしっかり準備されていたといいます。そしてなにより、住民ひとりひとりの水害に対するリテラシの高さが犠牲者ゼロにつながったと、評価されています。


※大郷町では各行政区ごとに自主防災組織が設置され、住民自ら災害時の役割分担、避難・安否確認の順序、避難時にサポートが必要な住民などが把握できるマップ作成など、自主防災が細かく行われています。

明日は、さらに具体的に、大郷町の人々が、水害にどう備えていたのか、お伝えします。
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パーソナリティ 鈴村健一

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