2015年11月27日

11月27日 女川町の町づくり・震災まる5年へ?

女川駅・駅舎を中心に、新たな町づくりが進む女川町。駅から海へ向かって伸びるプロムナードと、その左右の商業施設も、来月12月23日にオープンすることが決まっています。

そしてこのプロムナードの一角からは、実は、「ギターの音色」が聴こえることになるらしいんです。どういうことなのか。町づくりの中心メンバーのお一人、かまぼこ店「高政」の四代目・高橋正樹さんに伺いました。



◆メイドイン女川のギター
(聞き手:高橋万里恵)
プロムナードの中に、女川のギター工房ができるんです。酒と魚と音楽の町にしたいということで、音楽の重要なところ。この方というかコイツはですね。

(今写真がありますが若くて爽やかな笑顔の方ですね)
種子島で生まれているんです。かじやくんは。実は彼は日本で誰もが知っている楽器屋さんがあり、そこのギターセクションの責任者、要するに日本で一番ギターを売っていた人なんですよ。YouTubeでも有名人で、日本一のギターマニアで、震災を機に姿を消したんです。辞めたんです。それでどこに現れたかというと沿岸被災地だった。その中で女川に来て、僕らと飲んじゃったんですね。それが彼の運の尽きなんですよね。部室に来ちゃったんですよ。

(部室!部室の集客力はすごいですね)
部室に来たら僕はいるし、町長もいるし、僕ら以外に外から移住しちゃった人もいる。で、「僕はギター屋さんを辞めて自分でギターを作りたいんだ」と。世界にはギブソンとかギターの型が5個あるんですが「6個目を僕が作りたいんだ。だからどこに工房をおいてもいい。どこにしようかなと思っているんですよ」って。じゃあここにすればいいじゃんと町長が言って、「なんかいいすね。女川町って町の人たちのスピード感がすごく好きです。決めました」って女川で作ることになったんです。

(本人もスピード感がありますね)
ええ。彼自身のギター工房、GLIDE(グライド)という名前なんですが、そのコンセプトがすごい。とりあえず東北、宮城・女川の木でギターを作る。ギターのブランドも「女川」にする。フレットとか飾りの部分も女川のアワビを磨いて。山を伐採すると木が出るわけですが、その中にミズナラの木があったんです。ミズナラってウィスキーの樽にも使う丈夫な木で、世界中のギターはミズナラの木の代替品としてオークなどを使っていると言われている。そういう潜在的な可能性がある町ですので、そして彼のすごいなと思うところが、彼はマニアすぎて、ギターのボディ・本体の部分とネックの部分をジョイントさせるのに普通は接着剤とかボルトを使うんですが、それで音が変わるとまでこだわるマニアで、じゃあ接着剤を使わないでジョイントさせたらどんな音がするだろうと、彼は陸前高田まで宮大工の修行に行ったんです。そこに持って行ってギターとネックを「すいません、これを接着剤やボルトを使わないで作れますか」と宮大工さんに尋ね、方法を教えて貰った。日本古来の神社を建設する技術でギターを作ったら東南アジアとかで受けるじゃないですか。伝統技術が使われているギター、ブランド名は女川。それを世界に売る。結構ミュージシャンの方々が注目していて、面白いことが女川で起きそうだなと。それが震災から4年半が経過して工房ができる。4年半が経ってはじまる新しい女川のストーリーがあってもいいんじゃないかと。こういう魅力って震災前の女川にはなかったですから。・・・なんかギターの宣伝ばっかりしてかまぼこの宣伝を全くしていないかまぼこ屋がお送りしていますけど大丈夫ですか(笑)


ギター工房、名前は「GLIDE(グライド)」。現在は、仙台で営業していますが、プロムナード完成とともに女川で開業する予定。ここには、町外・県外からギター職人も呼ぶという構想があり、女川の人口、雇用を増やそうと言うことも考えているといいます。

★GLIDEブログ

そして12月23日、いよいよ女川のプロムナードが完成。若者が自由に動き、年配の人たちがそれを支え、大事なものを守りつつ新たに生まれ変わる女川が、いよいよお披露目となります。

2015年11月26日

11月26日 女川町の町づくり・震災まる5年へ?

今週は、若い世代に未来を託した町、宮城県・女川町の「いま」をお伝えします。

今年3月、JR石巻線が全線復旧。同時に完成した新しい女川駅・駅舎を中心に、新たな町づくりが進む女川町。駅から伸びるプロムナード、商業施設も完成間近となっています。
40代中心の若い世代が、10年後、20年後、次の世代のために作る新しい女川。その未来の姿は、どのようなものなのでしょうか。町づくりの中心メンバーのお一人、かまぼこ店「高政」の四代目・高橋正樹さんに 伺いました。


◆大事な話は夜9時以降に行われる!?
じゃあどういう町にしましょうか、というときにやはり人に優しい町でありたいなと思う。僕らの町づくりにおいて主役は建物でもなくコンテンツでもなく人なんです。人にどうアプローチを考えたときに、具体的なところでは「女川温泉ゆぽっぽ」「女川駅」の建物があります。そこの駅の真下に立ってプロムナードを見ると海に向かって道がある。その道の脇にプロムナードがあって商店街になる。その駅から、プロムナード、海の方角には意味がある。初日の出が上がる方角なんです。駅に立って唯一見られる海の方角。女川町からいっぱい人が出て行ってしまったんですね。それは二次避難やもしくは就職や進学で都会に出た人もいるかもしれない。しょっちゅう帰ってこいとは言わないけど、でも正月ぐれえは帰ってこいよと。初日の出一緒に見ようぜという意思表示を町の形に表したというのが新しい町の地図の結構大きなポイント。出てった人間に対してもいつでもウェルカムだよという優しい町でありたい。
あと僕らの町には裏コンセプトがあって、あんまり言わないんですが、基本的に被災地じゃなくてもどこでも町づくりは行政から予算を引っ張ってくる。それが町づくりのスタートだが、僕らはなるべくその補助金に頼りたくない。景気の良い町にしたい。漁師町だし、威勢の良い景気の良い町にしたい。景気が良いと税金を納めるんですよね。その税金を行政は福祉や教育などいろんなところに分配してくれよと。その原資を我々民間が作らないとダメなんじゃないかな。町づくりの根本、お金の回り方が「補助金→町づくり→過疎の町→また補助金を出します」ではなく、逆回転させる。「税金を生む→お金が行政に入る→行政がサービスする→みんなが幸せになる→また我々がお金を稼ぐ」という逆回転の構造にしたいなと思っている。経営感覚で町全体を見る。漁業コンテンツを体験したい人たちを全国から呼ぶとか。魚は季節に違うしいろんなことができる、バーベキューもできます、宿泊できるし泊まったら泊まったでおいしいものいっぱいありますよ。朝一にトレッキングできますよ、リアス式海岸で山登りもできますよというね。そういう、形じゃないクラウドなものですがそういう町にしたいなと。僕らはガル屋というクラフトビールバーに行って、そこが町づくりをする人間の部室みたいになっていて、そこには町長も産業振興課の課長もくるし僕ら事業者もくるし町づくりに関わるみんながいる。そこにふらっと行くと誰かが酒を飲んでいてそこでいろんな会話がある。そこで僕らがどういう町を作るのかという方向性がだいぶ決まっていますね。あんまりそういうこというなって町長さんに言われそうだけど・・・(会議室で決まっていたんじゃないんですね)部室で決まってます(笑)町づくりは大体部室。まあ真面目な話は真面目な話で会議がいっぱいあるんですけど、そういうところで話さない方が良いことって実は全体の8割だったりするんです。氷山の一角がまともに見えて、水面下でいろんなことを調整したりして。それが大体夜9時頃に行われると。それで本音を言いながら話さないと良い町でぎねって。うん。


お話に出てきた「ガル屋」は、女川町の仮設商店街 「希望の鐘商店街」にある、クラフトビールのお店。ここの店長も30代の女川出身。震災前は関東で飲食店などを経験。震災後に、女川で頑張ってる人がくつろぐ場を作ろうとお店を開業しました。そして来月、12月23日に開業する女川駅前のプロムナードへの移転が決まっています!

また新しい場所で、ビールを酌み交わしながらの熱い議論がここで行われることになりそうです。

明日も、女川町のいまについてお伝えします。
«前の記事へ || 1 | 2 | 3 |...| 536 | 537 | 538 |...| 1066 | 1067 | 1068 || 次の記事へ»

パーソナリティ 鈴村健一

メッセージ、ご意見、プレゼントご応募はこちら

特別番組 LOVE & HOPE ~10年目の春だより

TOKYO FM 特別番組 HANABI

「LOVE&HOPE~防災ハンドブック2015」PDF版ダウンロード配信中

アーカイブ

  • いのちの森
  • Support Our Kid's
  • TOKYO FM
  • JFN