2019年11月1日

宮城県大郷町?「台風19号が残した教訓」

今朝も、台風19号で大きな被害を受けた地域のひとつ宮城県大郷町からのレポートです。

今回取材した大郷町・中粕川地区は、住民およそ100世帯のうち9割が台風が来るより前、町の避難指示が出る前に安全な避難所への移動を終えていたことは、すでにお伝えしています。

これは過去の水害を教訓に、住民が主体となって綿密な避難訓練を続けていたことが、実を結んだわけですが、その一方、1割の方は、避難をしなかったことになります。また、台風が去った13日の朝、自宅の様子を見に戻ってしまったため、危険な状態に陥った住民の方もいたそうです。中粕川地区・赤間正区長は、ここに大きな反省点があるとおっしゃっています。

◆台風19号が残した教訓
(中粕川地区は)浸水したことがないので、ここは水が来ても軒下とか1階ぐらいまでで済むだろうという思いはあったのかもしれないですね。あとペットとかの部分はあとで聞いたら高齢者の方なんかだと、猫が子供と同じくらいの存在。ペットを飼ってる方ってみんなそうなんだと思うんですが、一緒に避難というのは、避難所はペットのほうは準備をしていない。人の避難を前提にしていましたので、それは今後の課題かもしれないですね。あとはどうしても呼びかけても「俺はここに残って大丈夫だ」という方が何人かいらっしゃったので、今回こういう事例があったので今後は100%に近いくらい避難をやってくれると思うんですけどね。(危機が迫っているのに帰っちゃった人たちも)それは残念というか、やっぱり晴れたので今回も避難所にいた高齢の方が「様子を見たくて出たい」という思いの人は何人かいましたので、避難所に入る時も受け付けし、出る場合も担当の方に断って出る仕組みにはなっているんですけれども、やっぱりその辺ちょっと守れなかったというのが反省なのかなと。私もあとで聞いてなんで? と驚いてしまったんですけど、戻った方は日が明けると同時ぐらいに戻ったのかなと。


台風が過ぎたあとの13日あさは、お天気は晴れていたそうです。川の氾濫は、雨がやんだ後も注意が必要。大郷町の住民の方は、おそらくそれを認識してたはず。でもリスクを過小評価してしまった可能性があります。

そして避難所のペットの問題は切実に感じる人も多いはず。ぜひ地元の避難所がペットOKかどうか確認しておきたいところです。災害時は行政職員も人手が足りず、避難所も住民の自主的な運営が求められる可能性もあります。だからこそ地域の防災がどうなっているか、そしてペットの問題どうするか話し合っておくことも重要です。

2019年10月31日

宮城県大郷町?「届かなかった住民の訴え」

今朝も、台風19号で大きな被害を受けた地域のひとつ、宮城県大郷町からのレポートです。

台風19号が通過した翌日の朝。13日の午前7時すぎ。大郷町・中粕川地区のすぐそばを通る吉田川の堤防が100mにわたり決壊。川から溢れ出した水が、町を襲いました。被害は甚大で、ブロック塀も倒され、アスファルトがめくれ上がった場所や、建物がなく土台だけになったお家までありました。浸水の深さは、深いところだと4mを越えていたといいます。

実はこの吉田川、住民の方のあいだで、氾濫を懸念する声は以前からあったのだそうです。なのになぜ、被害が出てしまったのか。中粕川地区・区長の赤間正(あかま・ただし)さんに伺いました。

◆「想定外」で片付けるな
ちょっとそちらご覧になっていただきたいんですけど、重機のところにコンクリ壁がありますね。あそこが(堤防が)切れたあっちの端まで300メートルくらい。他のところより1メートルくらい(堤防が)低いんですよ。一番危ない場所じゃないかということでかさ上げするとか何かして欲しいという事はかなり強く、町を通じて要望していたんですけれども、なかなか全然、要望に応えてくれなくて、今回決壊した。だからやっぱり「あそこが切れたな」と皆さん思っているんですよ。要は普通、越流堤みたいな感じは集落のところには作らないで、万が一に越流しても、(住居を守るために)田んぼや畑や農地とかを越すような仕組みというのが越流堤なんです。ただ現実的にはそういう(住居が浸水する)状況になっていたんですよ。そこをなんとかしてほしいという要望をしていたにも関わらず全然手を打ってくれなくて今回の形になったんですね。ですからよく想定外と一言で片付けられますけれど、それは想定内という言葉にはならないと思うんです。国交省でも年に一度「この堤防のここは要注意のあれだよ」という事だけは確認していながら全然対処してこなかった形なんですよ。私もこの校舎の後ろに家があるんですけれども、震災後に建てたんですけどね、ですから想定外という話をされるとすごい憤りを感じるというか、やることをやらないで想定外と一言で片付けられることじゃ無いんではないかと言うね。


「越流堤」というのは、堤防の一部を低くして水をあえて越流させて「調整池」という場所に水を “逃がす”ことで住宅街に水がいかないようにする仕組みなのですが、管轄する国土交通省・北上川下流河川事務所によれば「これは越流堤ではありません」とのこと。また「なぜ堤防の一部が低くなっていたかは今後、調査検証していく段階だが、低い部分も“計画通りの高さ”は保っていた」との回答でした。


※左奥のブルーシートがかかっている部分が、決壊した堤防

ただ、以前から町や住民は、国交省にその危険性を訴えていました。しかし対策は取られず今回の災害が起きてしまったことに、赤間区長、ときおり声を震わせ、
悔しさをにじませていました。

明日も大郷町からのレポートです。
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パーソナリティ 鈴村健一

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