2016年2月10日

2月10日 MADE IN 女川のギター作り3

今週は、宮城県女川町にオープンした、ギター工房「グライド」の話題です。

女川町の駅前商業施設「シーパルピア女川」に店舗を構えた「グライド」。今月下旬の本格稼働を目指して、いまオリジナルのギターとベースの試作品づくりを進めています。オーナー、梶谷陽介さんがこだわるのは、とにかく「いいギター」を作ること。そのために目を付けたのが、ニッポンの宮大工の技術です。

◆陸前高田の宮大工の技術を生かして
斬新でクオリティの高いギターをつくりたい。クオリティを高めるという意味で宮大工さんの技術を生かせないかと考えた。もともと大手楽器店でギターの販売をやっていたときからあったアイディア。ギターは大半が木でできているので、宮大工さんはものすごく高いレベルで木を扱っている方々なので、そういうレベルの技術をギターに生かしたら、絶対いいギターができるのではと前々から思っていた。
実際今回つくろうとなったときに、東北には「気仙大工」という陸前高田の宮大工さんの集団があると聴いて、ぜひお願いしたいと思って会いに行った。試作品のギターやパーツを持って会いに行ったところ、3分ぐらい沈黙が続いた。ギターを挟んで二人で沈黙。それから「やりましょう!」と言ってくれた。おそらく45歳ぐらいの宮大工さんで技能グランプリで全国で優勝したこともある方で、非常に繊細な仕事をされる。組木だけでなく木の見立てがすごい。木をぱっと見ただけで、どれくらい曲がるのかがすぐわかる。木には表と裏があるが「これは表を外側にしたほうがいい」とか、木を切る前に方角を見るとか。今回試作を行う上でも設計図は全くなしでがんがん木を削っていく。頭の中でイメージして、木をどうカットする、つなげるかが宮大工さんはすぐわかる。すごいなあと。宮大工さんサイドも後継者不足という課題があり、入り口としてギターはキャッチ―なのでギターを入り口に若い人たちが宮大工技術を学ぶ場に呼び込めないかなというふうに話している。例えば、若いギターの制作者が週に2日宮大工さんのところで研修するなど。木の見立て、見方扱い方など。それが宮大工技術の伝承になると。ギターのように日常にある製品に宮大工の技術を変えて、そういう技術を繋いでいけたらと考えている。


陸前高田「気仙大工」の発祥は江戸時代にさかのぼると言われています。神社仏閣の建設から民家の建具や彫刻までこなす技能集団。その技術力は全国的にも高い評価を得ています。

そんな気仙大工の「匠の技」をギターに応用したグライドの試作品。詳しいノウハウは「企業秘密」ということですが、でもその秘密、ちょっとだけ教えていただきました。

◆宮大工、組木の技術を活用 いい音にこだわる!
ギターは大きく「ネック」と「ボディ」のパーツにわかれる。その2つが一つになって、モノとしての一体感が強くなると、音の均等性、均一性が生まれる。そのためにギターとしての一体感を出すというところに、宮大工の組木の技術を活用している。自信はあります。クリア感の強い音、ギターとしての音をよくするというところに、いま宮大工技術で近づいている。


現在エレキギター、エレキベース、それぞれ2本の試作品が完成。エレキなんだけど木目そのままの、やさしい表情で、ぷーんと木の香りがするそうです。

「グライド女川工場」は3月にお披露目会そしてグランドオープンを予定。5月から6月ごろに商品の受注を開始する見通しです。また4月以降、ギターの制作体験会も開いていきたいということです。

2016年2月9日

2月9日 MADE IN 女川のギター作り2

今週は宮城県女川町から、ギターの話題お届けしています。

昨年12月、女川町の駅前に誕生した商業施設「シーパルピア女川」。その一角に、梶谷陽介さんがオーナーを務めるギター工房「「GLIDE(グライド)」の女川工場があります。いまはまだ内装工事中ですが、今月中旬から下旬に内装工事も終わって本格的に稼働する見通しです。

◆女川の文化を発信していく場所に
ここがギターの生産を行うグライドガレージという建物。ほんとに素敵な建物ができあがった。ここが女川の文化を発信していく場所になることを実感。ここで音楽文化を発信し、町外、県外から訪れる人を引き付けられる場所にしたい。


お店の名前「グライド」は「Guitar Life Design」「ギターのある生活」の頭文字。梶屋さんは女川工場に先駆けて、2014年11月。仙台に販売拠点をオープンしました。

目指すのはクオリティの高い、国産のエレキギターづくり。現在いろいろな木材を使って、グライドオリジナルギターの試作を続けています。

◆地元の木材だからできる音へのこだわり
斬新でクオリティが高い、いいギターをつくりたい。クオリティは素材のよさと木工技術の高さをギターに入れ込みたいと試作中。材料に関してはできるだけ近場の木を使いたいと考え、東北とか国内の木を使っていきたい。もともと日本でつくるギターのほとんどは輸入木材でつくられているが、大量に輸入した中から選定するのではなく、伐採の段階から選定してクオリティ管理した木材を使うという発想。なぜかというと、伐採から乾燥、加工までできるだけコントロールされた材木を使いたい。生えている場所、木どり(木をカットする段階でどこの部分をどう使うかを想定してカットする)、木の表裏をどう使うなど、カットの段階から想定してその場所に適した木材を使っていきたい。それがギターのクオリティをあげてくれる。いま試作品を作っていてだいたいどの木を使っていくか決まってきた。木のことをしっかり知らないといいギターは作れないですから。
南三陸は杉が有名なので、ボディトップの装飾に杉を使えないかなと考えている。杉は柔らかいので全部まるまるは使えないが、柔らかさを逆に見た目の質感などに生かせるのではと。あといま試作しているのはヒノキ(桧)、ホオノキ(朴の木)、ハンノキ(榛の木)、カエデ(楓)。女川産はミズナラという木が女川に生えていると聞いて、それが使えるなら使いたい。ミズナラは堅い木で高級家具などに使われている。ウィスキーやワインの樽とか。日本のミズナラは明治時代に伐採されつくしたが、もしそれが使えるなら使っていきたい。


地元の木材も積極的に使っていきたいというお話。木だけではありません。女川のアワビの殻をギターの装飾に使った試作品もあります。
「グライド女川工場」は3月12日のグランドオープンを予定。5〜6月めどでギターの受注に入れるよう準備を進めています。
«前の記事へ || 1 | 2 | 3 |...| 513 | 514 | 515 |...| 1066 | 1067 | 1068 || 次の記事へ»

パーソナリティ 鈴村健一

メッセージ、ご意見、プレゼントご応募はこちら

特別番組 LOVE & HOPE ~10年目の春だより

TOKYO FM 特別番組 HANABI

「LOVE&HOPE~防災ハンドブック2015」PDF版ダウンロード配信中

アーカイブ

  • いのちの森
  • Support Our Kid's
  • TOKYO FM
  • JFN