2016年3月24日

3月24日 福島県相馬市出身 大学生のいま

月・火と、福島第一原発の現場レポート。きのうは福島の放射線教育の最前線をお伝えしました。そして今朝は、福島県で生まれ育った、若い世代の「いま」お伝えします。

荒優香さん。以前、県立相馬高校・放送局の部員として紹介しています。震災後、放送部員として様々なドキュメンタリーを制作。原発事故以降のリアルな高校生の声を表現した作品は、全国で反響を呼びました。

そんな荒さん、現在は東京の大学生。自分の体験を世界に伝えるため、国際関係学という分野を学んでいます。荒さんが体験した原発事故、そして「いま」東京で考えていることを伺いました。

◆東京のイルミネーションの輝きに思うこと
中学校2年生の春でしたね。原発も爆発して周りの家の方も「危ない」と逃げてくるんですけど、私のおじいちゃんが区長をやっていまして「ギリギリまでいよう」ということでトラックに荷物を積んでいつでも出られる準備をして、夜はトラックの明かりで生活していましたね。でも最終的にそのままいたんですけど、ある程度時間が経つと、特に私は女性なので家族も気にしてくれて、もしかしたら将来結婚する時に差別があるかも知れないという話を聞いて。えっそんなにひどいことなんだ、みたいな(笑)というのは震災1か月くらいで出た話でした。はあ・・・という感じで。今は全然福島の放射能は解決していなくて、今
汚染水は漏れていますし、(線量が)高い地域はありますし。やっぱり怖いなって。私たちも毎年やっていますが甲状腺検査も子どもたちは毎年やっていて、今は問題なく、大丈夫だと言われても、だったらなんで検査をやるんだよと。だからって検査をやらないと怖いんですけど。やっぱり不安ですね将来が。これが正しい、絶対と言うのは無いので。やっぱり怖いです。何かあったらどうしようと。でも一番変わったのは、東京のイルミネーションがすごくきれいだと思うんですけど、ただこの光ってどこで作られているのかなってちょっと考えちゃうんですよ。自分の家も実際東京電力なんですけど。東京電力さんだけじゃなくて、どこの場所で作られた電気なんだろうっていうのを時々ふっと思っちゃいますね。やはりまだ帰れていない人もいっぱいいますし、全然復興は、私はしていないと思いますね。まずはやはり、私は今大学生なので大学に行けるチャンスをもらったのでまずは自分が学べることをちゃんと学んで、やっぱり身に着けたことを、せっかく国際を学んだので地元をアピールするという方法もあると思いますし。実際福島って原発もあると思いますけどものすごく魅力がいっぱいあると思うんですよね。だからそういうのを震災とともに世界に発信していけるのがいいのかなと思っています。震災以降、やっぱり地元を改めてみて、津波はあったけど海がきれいなところとか、あとはやっぱり地域の人たちが暖かいところとか、原発があっても放射能があったとしても私の故郷なので、無条件で私は相馬が好きですね。(帰ったら何がしたい?)おばあちゃんの野菜のお料理が食べたいです(笑) 
         

毎年冬になると東京はじめ各地の繁華街は、とてもきれいなイルミネーションに彩られます。もちろん最近はLEDなどで電力の消費量は抑えられているところも増えましたが、その電力はどこかの発電所で作られたもの。荒さんの言葉の重み、あなたはどう捉えますか。

2016年3月24日

3月23日 南相馬市 放射線教育の今

今日は、福島の放射線教育の現場からのレポートです。
以前にもご出演いただいた、東京大学医科学研究所の坪倉正治先生。坪倉先生は、震災直後から福島に通い、南相馬市立総合病院の非常勤内科医として地域の皆さんの被ばくと向き合ってきました。

まず伺ったのは、震災から5年となる、南相馬市の放射線被ばくの「現状」です。

◆内部被ばくと外部被ばくの「現状」
被爆というのは内部被ばくと外部被ばくがあって、内部被ばくは汚染された食べものを取り入れることで身体が被ばくすること、外部被ばくは身体の外にある放射性物質から放射線を浴びて被ばくすることをさす。いま現在、この2〜3年は内部被ばくに関しては、ほとんどの方から汚染を検出することはない。ごくまれにきのこや山菜など、汚染されやすい食べ物を選択的に継続的に食べるような方から汚染が見つかることはあるが、通常南相馬市内で日常生活を送っている方から汚染(内部被ばく)を検出する方はいなくなった。
外部被ばくに関しては、山側や避難区域に接する地域にやや高めの区域が残存していることは確かだが、いわゆる街中であれば西日本の平均の線量と変わらない。


そして坪倉先生が力を入れているのが、福島の小、中、高校生を対象にした放射線教育です。南相馬市や、近隣の市町村の学校に赴いて、「放射線」や「被ばく」について語り続けています。

●坪倉先生から生徒へ
僕らは医者としてずっと放射線の検査をここでしてきましたが、この被ばく量で君たちの健康がおかしくなったりするレベルでは全然ないです。それで子どもが産めないというようなことには全くならない。いま現在であれば、自信を持って前向きに生活するための後押しとなるような教育が必要だと思う。もちろん汚染が起こったこと、ある程度被ばくが起こったことは確か。ただ、医学的に言えば、これで健康を害されるという量には全く達していなかったということが、5年間積み重ねてきた検査で言えること。確かに被ばくはあったが、無茶苦茶な量ではなかった。そういうことを子供たちには自分で説明できるようになってほしい。結果的に子どもたちの将来に一番影響してしまうのではないかと思うのは、周りからの偏見だとか、自信がなくて黙ってしまったり、外に出ていくことができなかったりする子供が必ずいる。そういった子供たちが妊娠、出産と進んでいくなかで、放射線の基礎的なことを知ってもらって、いま自分たちはこういう情況だとか、こういった検査をしてきたとか、ちゃんと説明することができるようにすることで、自信を持って生活やっていけるんだ、自分たちは健康を害されているわけじゃないんだということを、正しい知識を身に付け、自分の言葉で言えるようになってほしい。


●授業後の生徒感想
女子生徒「放射線のことはあまり詳しく知らなかったが、今日の授業を通して、放射線は光であるとか、どこにでもあることとか、いろんな話を聴かせていただいたので自信を持って大丈夫なんだなと実感しました」
男子生徒「もっと危険なものだと思っていたが、量がなければ安全なものだとわかったので、よかった。」
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パーソナリティ 鈴村健一

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