2020年3月20日

「復興五輪の背後に横たわる“福島の課題”」?

引き続き、「復興五輪の背後に横たわる“福島の課題”」。福島大学「うつくしまふくしま未来支援センター」特任教授、
天野和彦さんのお話しです。

26日に2020東京オリンピックの聖火リレーが福島からスタート。夏の復興五輪開幕へ向けて、避難指示の解除や、鉄道の開通など、福島では「復興」につながる動きが加速しています。

一方で、今月末には4つの町村で、仮設住宅の無償提供が終わるなど、避難者支援打ち切りの動きも加速しています。

そして溜まる一方の「汚染水」をどうするか?という問題。「海洋放出」ということになれば、福島の漁業、風評被害は避けられません。豊かな海が自慢という福島県民の一人である天野さんの思いとは。


◆「海洋放出への合意形成を作ってきた丸9年だったのでは」

「潮目の海っていいまして、親潮と黒潮がぶつかる海でプランクトンもたくさん発生してそれを餌にして魚がたくさん集まってくる、そういう豊かな漁場だった。それが原子力発電所の事故のせいで汚されてしまったっていうのは多くの方々がご存知のところですよね。私は一県民として、この状況について非常に悔しいわけですよね。それが試験操業が始まった。いよいよまたこれで本格的に漁が始まるのかと思ったら、汚染水が、あるいは計測したら地魚から検知されたんで駄目ですと、それを何度繰り返してきたんですか、今まで。それでもへこたれないで今までやってきたわけでしょ?そしてさらに今度は何ですかトリチウム水。いよいよタンクいっぱいになったんで流すしかないんですって言ってきた。これようは、溶け出してしまった燃料に地下水が触れているので、ある意味“安定して汚染水が出続けてる”んです。だからタンクがいっぱいになったってこれも当初からわかっていたはずですよ。そして時期を見て流すしかないでしょうといういわゆる専門家の意見も借りながら、合意形成というんでしょうかね、それを作ってきた丸9年であったのではないかという風に私は思っています。トリチウム水は数字的に見ればエビデンスもはっきりしてますと。これは雑菌さえなければ飲むことさえできますという風に言うわけです専門家たちは。でもそれを実際にそれが流れたらばどういう反応しますか?多くの方々はいわゆる風評被害に繋がるということは明白ですから。この点について単に「トリチウム水は大丈夫です」という風に言うだけでなくて、そのための対策を今以上にやってくべきだし、いちばん大事にしなきゃならないのは、生産者の方々、そして消費者の方というふうに思っています。」




いまも試験操業が続く福島の漁業。ただ今年2月に、唯一続いていた「コモンカスベ」の出荷制限が解除になって、これで出荷を制限していた44魚種すべてが解除となりました。漁業関係者がこれまで、少しずつ検査をクリアして、本操業へ向けての懸命な努力を重ねてきた中、いまこの「トリチウム水」をどう処理するのか?に注目が集まっています。

『LOVE & HOPE』、今週は、福島大学「うつくしまふくしま未来支援センター」特任教授、天野和彦さんのお話でした。

2020年3月19日

「復興五輪の背後に横たわる“福島の課題”」?

引き続き、「復興五輪の背後に横たわる“福島の課題”」。福島大学「うつくしまふくしま未来支援センター」特任教授、天野和彦さんのお話しです。

夏にやってくる2020東京オリンピックへ向けてか、避難指示の解除や、鉄道の開通、避難者の住宅支援の打ち切りなど、「復興」につながる動きが加速している福島。

いま避難住民が直面していることを、全国の人たちが“自分ごと”として考えることが重要と、天野さんは言います。


◆「被災地はのこってますけど避難者誰もいませんよという構図」

「オリンピックとからめて考えると、避難者減っているとお話をしましたけど、“いついつまでに戻れば引っ越しの費用も含めて支援しますよ”という風にやってくわけですね。で、それまでに戻らないんであれば“それぞれ自己責任のもとで判断してくださいね”っていう風にやるわけですね。そうするとどうでしょう、オリンピックが開会になる2020年夏までにはどんどん全体の避難者のパイというのが小さくなっていって“ほら見て下さい、被災地はのこってますけど避難者誰もいませんよ”というこの構図ですよね。私はそれが本当に恐ろしいです。いわゆる同調圧力でしょ?そう思いませんか?っていう風に言われた時に、声の大きい人、声の強い人の声が、あたかも真理であるかのように伝えられていく。どうかそのリスナーの方々、日々の生活があっていちいち被災地の問題をとらえていくっていうのは難しいかもしれませんが、でも被災地で起こってる課題ってのは、他の地域でも起こりうる課題なんだっていう風なことですね。災害が起きたからその問題が顕在化したけど、じつはそうした「芽」というのは平時のうちからじつは地域の中にあって、それが災害が起きたことによって顕在化するってのは言われてきたわけですよね。さらに被災地の問題っていうふうに考えてしまうことで思考が停止してしまうわけですから、そうせずにそれがじつは平時と裏表なんだっていうふうに考えていくことで、より自分たちの問題に引き寄せて考えることができるのではないかという風に思います。それからこれをお聞きになっている被災者の方々、どうか訴えていって欲しいのは、被災をされていないその方々へ向けて、どうかその自分ごととして、当事者として考えて頂くような問題の投げ方投げかけ方をして頂きたいなという風に思います。」




“被災地はのこってますけど避難者誰もいませんよ”という建前を鵜呑みにしてはなりません。今でもつらい避難生活を続けている方は多く、支援の手は次々と打ち切られているのです。

一方、天野さんの周辺にも、26日に福島をスタートする聖火リレーに参加する人たちがいて、それぞれ、復興を発信したい思いや、感謝を伝えたい思いなど、この9年の間の様々な思いを胸に走るといいます。そんな「思い」を、ぜひ多くの方に感じて欲しい、ともお話されていました。遠くの出来事ではなく、福島でいまなお続いていることを、自分や自分の家族に置き換えて。

『LOVE & HOPE』、明日も、福島大学「うつくしまふくしま未来支援センター」特任教授、天野和彦さんのお話です。
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パーソナリティ 鈴村健一

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