2016年4月19日

4月19日 災害時の心のケア 下條茂さん2

今日も熊本・大分地震を受け、「災害時の心のケア」についてお伝えします。

避難生活が続く中で、どう行動し、どう不安と向きあえばいいのいか。今週お話を伺っているのは、防災心理カウンセラーの下條茂さんです。下條さんは新潟県柏崎市在住。2007年の中越沖地震で自ら被災しながらも、避難住民の心のケアにあたり、東日本大震災の際もボランティアとして活動しました。

下條さんがいま特に心配しているのが、避難生活を送る子どもたちやお年寄りのことです。まずは、子どもたちの言動や栄養面で注意するべきことを伺いました。

◆子どもの話を聞いてほしい
特にいまは弱い立場の方、例えばお子さんとか、あるいは赤ちゃんにおっぱいをあげているお母さんのプライバシーとかも少し守ってあげてほしい。水や衛生面などで不安定がくるかもしれないので、栄養状態のことも考えてあげてほしい。糖分は急にとると血糖値が上がってしまって、イライラが強くなったりしてしまうので、しっかりお水を飲んで。甘いものを過剰に摂取するとビタミンが不足してイライラしたり、落ち込みやすくなったりするので、疲れているときに糖分をとることは重要だが、それを継続すると子どもたちもイライラしやすくなったりするので、栄養面からのサポートも重要。
また子どもたちの話も聴いてあげてほしい。急に泣き出す子もいるし、赤ちゃんがえりする子もいる。暴力的にいじめっこみたいになったり。子どもたちは自分の感情をあらわに出してくるので、それを押しつぶさないでしっかり話を聴いてほしい。
話を聴くとき大事なのは、「聴く」という字は「耳に十四の心」と書くように、耳で聴くだけでなく目でもしっかり相手のことを見てほしい。十四の心というのは、いろんな心持ちがあると思うので、その子がどんなことを考えているのかなあというのを見て、聴いて。この子は本当に怒っているのか、気を引くために怒っているのか、たぶんお母さんや周りの方はわかると思うので、きちんと子どもと向き合ってほしい。できなかったらまわりにサポートしている方もいると思うし、僕らももうすぐ現地に入ることができると思うので、いまは自分たちでできる範囲のことをしてほしい。


また不便な避難生活が続き、ご苦労をされているお年寄りの方もたくさんいらっしゃいます。そんな高齢者の避難生活について気を付けるべきことは「被災者にならないこと」だと、下條さんは言います。

◆「被災者にならないでほしい」
いろんな考え方があるので自分の経験知からお話をさせていただくと、失礼だけど「被災者になってほしくないな」という気持ち。高齢者の方たちはいろいろな経験を積まれて、年を重ねられた方たちだから、子どもたちのことや環境、地域のことをたくさん知っていると思うので、その力を生かしてほしい。僕らが(被災地に)支援に行くと、お弁当が配られるのをずっと待っている人、お掃除などにも手を貸さない人などがいる。動かないと体力が弱ってくるし、つらいからと3日間寝込んでいたりすると、どんどん筋力が落ちて、そうすると次のステップに行くのが難しくなってしまう。なにか人の役に立っているという感覚を持っていてほしい。自衛隊さんに任せるのではなく、「お弁当を配るよ」とかみんなで協力して地域を盛り上げるように、みんなに仕事を与えてほしい。いま大変かもしれないし、こんなことを言うのは酷なのかもしれないけど、僕も被災しているから思うが、なにもしなくていいいよとか、全部まわりのボランティアがやってくれると「被災者」になってしまう。そうだと自分が動けなくなってしまうので、自分のことができる人は自分のことをすればいいし、ちょっとでも動ける人はまわりの人を助けること。子どもたちにもどんどん仕事を与えて、トイレのお掃除でもなんでもいい。子どもたちも動いてほしい。必ず自分たちがやっていくんだという気持ちを、いまは難しいかもしれないけど、そういう気持ちを持ってやっていってほしい。


今日は「災害時の心のケア」について、ナチュラルメディカルの代表で、防災心理カウンセラー、下條茂さんにお話を伺いました。
今日のお話のポイントを振り返ります。
※糖分のとりすぎはイライラや落ち込みの原因になるので、なるべく水分も十分とる。
※子どもたちの言動には「不安」が隠されていることもあるので、「耳に十四の心」と書く「聴く」という漢字のように、しっかり見て聴いてあげる。
※高齢者に対しては「すこし酷なようだけど被災者にならないでほしい」。
※子どもも高齢者もなにかできることを探して、とにかく身体を動かしてほしい。

あすも下條茂さんによる「災害時の心のケア」お伝えします。

2016年4月18日

4月18日 災害時の心のケア 下條茂さん1

今週は熊本・大分地震を受け、「災害時の心のケア・身体のケア」についてお伝えします。

熊本・大分地震ではいまも余震が続き、避難生活が続く中でさまざまなストレスを抱えている方も多いのではないかと思います。そこで今日はお話を伺うのは、防災心理カウンセラーの下條茂さんです。
下條さんは新潟県柏崎市在住。2007年の中越沖地震で自ら被災しながらも、避難した住民の心のケアにあたり、東日本大震災の際もいち早く現地に駆けつけました。今回の熊本・大分地震を受け、まだまだ余震も続く中で、不安な気持ちとどう向き合えばいいのか。自身の被災経験と専門知識を交えて、アドバイスをいただきました。

◆辛かったら辛いときちんと自分の気持ちを表現すること
いまわたしのところにくる相談やお問い合わせに「フラッシュバック」がある。子どもさんたちが報道やテレビなどで熊本の震災の映像を見て、自分が被災したときのことを思い出して、赤ちゃんがえりをしたり、急に眠れなくなったりするという現象。子どもだけでなく高齢者の方にも広がっているように感じる。経験者でもそういうことが起きるので、大きな地震を経験したことがない地域の方はなおさら不安だろうと思う。緊張状態がずっと続いて、眠れない日が続いたり、物事が考えられなかったり頭が真っ白になってしまったり。皆さん、息をするのを忘れてしまったりしていないだろうか。ストレスがあるときは息が浅くなりがち。ちょっと自分の呼吸を意識して、ゆっくり鼻から吸ってゆっくり吐いてみる。ゆっくり呼吸をしていると、わたし大丈夫なんだなと思える。呼吸をまず落ち着けること。一人で抱え込まないでいい。この時期はわたしが頑張らなきゃとか、弱音を吐いちゃいけないと思っている人が多いので、できるだけ吐き出してほしい。つらかったらつらい、悲しかったら悲しいと言えばいい。素直な気持ちを出すことが大事。いま我慢をしてしまうと後で出てきてしまうこともある。まわりの人を頼って、まわりの人に話をしてほしい。僕もいろんなところで活動をしていて、不安だと思うし恐怖だと思うし。少し話が違うかもしれないが、今日お肉を食べたときにシャツに汚れがついてしまった。それを隠していると「あのひと何を隠しているんだろう」と怪しそうにみえる。でも「ほら、ソースをこぼしたんだよ」と言えばいい。でも隠そうとする。隠すと怪しそうに見える。きちんと表現をすること。隠さないこと、出していいんだよということ。弱い自分も認めてあげてほしい。大変なことが起きているんだから、大変だ、つらいというのは当たり前。それを隠すと後でどこかで爆発して、急に怒ったり、もっと大変なことになったりする。子どもも大人も弱い人も強い人も誰にも起こることなので、いまはきちんと自分の気持ちを表現すること、まわりの人に声をかけることが大事。声がかけにくかったら、手だけでも握ってあげれ。子どもたちはぎぎゅっと手を握ってあげるだけで、心が落ち着く子どもたちが多いので、ぜひそうやってスキンシップを保ってほしい。


今回直接被災していない地域の方の中でも、過去の被災経験がよみがえる「フラッシュバック」を起こしている場合がある。不安を感じるのは当たり前のことと、素直に受け止めることが大切、というお話でした。また今回被災された方に対しては、「一人で抱え込まず、不安を素直に口に出してほしい」と。「被災の最初の段階で我自分の気持ちを抑えこんでしまうと、後々フラッシュバックが起きたり、急に苦しくなったりすることがあるので、不安やつらい気持ちは素直に表現してほしい」ということです。

「LOVE&HOPE」明日も下條茂さんのお話をお届けします。
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パーソナリティ 鈴村健一

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