2016年5月13日

5/13 映画『サンマとカタール〜女川つながる人々』

今朝は、宮城県女川町を舞台にしたドキュメンタリー映画「サンマとカタール〜女川つながる人々」をご紹介します。

若い世代が中心となった新しい街づくりが、被災地の希望の象徴として取り上げられ「復興のトップランナー」と呼ばれることもある女川町。2011年3月11日の東日本大震災による津波では、住民の1割近くが犠牲となり、8割以上が家を失っています。そんな女川町の復興のストーリーのはじまりに、じつは中東の国「カタール」の支援が大きな影響を与えていました。

「サンマとカタール〜女川つながる人々」、乾弘明監督にお話しを伺いました。

◆復興の教科書のような映画になればいい
女川はサンマで有名で水揚げは日本有数。サンマの町として水産業をまず何とかしないといけないというのが復興のテーマで、そこで最初に必要になるのが「冷蔵庫」だった。で仲買の方たちが奔走しますが、なかなか国の予算も降りてこない。そこに支援をしたのが、カタールの「カタールフレンド基金」でした。カタール自体もじつは天然ガスが出る前は水産業の国でした。なので水産業を発展させていくのが大事だということに気づいていて、「現在」にお金を出すんじゃなく、永続的にそれを使って産業が発展していくものを、ということで20億円が支援され、それで巨大な冷蔵庫が出来ました。その冷蔵庫「マスカー」が瓦礫の中にポンと建つんですが、それが女川のシンボルとなってそこから復興していく。中心人物となった仲買人の石森さんという方を主人公にしたドキュメントを作ろうとしたんですが、町へ行ってみると更地で、これからいよいよ女川の町づくりが始まるという段階だったので、石森さんと話して、「僕よりもこれから復興に立ち上がっていく若い奴らを撮った方がいいんじゃないか」と。「それを記録してほしい」というのもあって、この映画がスタートしました。若いリーダーたちが中心となった「復幸祭」を映画のメインに取り上げているんですが、震災後から始めたお祭りで、津波の記憶を忘れないため「復幸男」といって低地から高台へ一気に走っていく、スタート合図が「逃げろー」と。お祭りとしてそれを残していこうっていう気概を持って。ただ震災前は若い人たちのネットワークはあまりなかったんだそう。深いつながりは。それが復興祭をやることによって、若い人たちの横のつながりがすごくかたくなって何人もの優れたリーダーが出てきた。で、それぞれがみんな個性があって魅力的で、それが一緒になって街づくりを進めているという、すごい町だなと感じますし、誰と話してもこちらが感動するような言葉がボンボン出てくる。優秀なリーダーが偶然なのか居て、下の世代もそれに触発されるように付いていってる。で、年配のベテランの方は、「俺らは一歩引く。これからの町はお前らの住む町なんだから、めんどくさいことは俺たちがやるから、お前らの好きなようにやれ」っていう気概と、若い人たちを信頼するあの気持ちってすごいと思います。見てて僕らが熱くなるので、暗いイメージが無い作品になってるかと思います。前を向いていくっていう姿勢を逆に被災地から頂く、日本って震災はどこでも起きる、じゃそのあとにどうしていくんだろう、その気構えと震災を受けた後の復興を考えた時に、女川のやり方、あのパワー、前を向いていく姿勢を知っておくといいんじゃないかと。でもしもそれがちょっとした教科書みたくこの映画がなってくれるといいかなと思ってます。


◇「サンマとカタール〜女川つながる人々」
東京では「ヒューマントラストシネマ有楽町」、仙台では「桜井薬局セントラルホール」で公開中。
明日からは「名古屋・名演小劇場」、 5 月 21 日(土)からは「大阪・シネ・リーブル梅田」、岐阜県大垣市の「コロナシネマワールド」と全国各地で順次公開されます。

「サンマとカタール〜女川つながる人々」オフィシャルサイト

2016年5月13日

5月12日 熊本地震 西原村の現状(4)

今週は、熊本地震で甚大な被害を受けた地域の一つ、西原村からのレポートをお届けしています。震度7の激しい揺れで、家屋の多くが倒壊した西原村。今なお総人口の約1割に当たる約650人が避難所で生活をしています。この西原村にいち早く駆け付けて支援活動を行なっているのが阪神・淡路大震災を機に立ち上がり、長年ボランティア活動を続けている「被災地NGO恊働センター」。
お話しを伺ったのは、元代表で現在は顧問の村井雅清さんです。

いまだ避難所やテント、車中で生活をしている方も多い段階ですが、西原村での今とこれからの課題とはどういうものなんでしょうか?

◆遅れている罹災証明の発行 他県に応援を頼むべき
応急危険度判定はやっと終わって、次急がないといけないのは罹災証明の発行です。益城町とか西原村とかは、役場の職員が避難所に付いています。お世話をしたり。そうすると本来業務が出来ないっていう状況が続いていて、罹災証明も順調に出せていない現実があります。これは経験のある自治体にどんどん応援を頼んで、どんどん来てもらったら済むことなんですが、それが理解されていないのか、他県に応援発信というのをあまりしていない気がします。九州圏内はやってるんですけれど。応援を求めても災害救助法で出る範囲なので、呼んだ自治体がお金を払わないといけないものでもないんです。お互い様なのでどんどん呼んだらいいんです。被災者一人一人が再建をするには、すべてこの罹災証明が必要なんです。これを早く出してあげないといけない。
次に、ボランティア的に一番の課題は、GWが終わって夏休みに入るまで、非常に厳しい状況ですね。なので近場の地域から何とかボランティアを入れてくれるようにしないと厳しい。こういうことは経験的にわかっているので、たとえば私たちの関係者が福岡の駅前でボランティアを集めてバスを出す。佐賀の駅前に行ってバスを出す。そういうやり方をどんどん発信すれば手伝ってくれる人たちは出てくるであろうと。これはそれぞれ地元の社協さんなりNPOがやれば済むことなんです。私たちが出しゃばってやることじゃないんですが、気が付くまでは私たちがやるしかないということですね。


そしてボランティアに参加しようと思っている全国の方に、こんなメッセージも頂きました。

◆ボランティアは想像力が求められる
ボランティア参加者はもう少し考えないといけない。例えば北海道から行っても雨だったらできないし、その費用とか考えたらもったいないなあと。それをほかに回したら違うのになあと思わなくはないですね。もちろん北海道であろうと海外であろうと、何か力になりたいという気持ちは、もちろん受け止めないといけないし、積極的に行って頂いたらいいです。ただ、いまの状況というのはまだまだ落ち着いていない状況だから、どういうことが想定されるかということは調べていけば分かるので、それに対するリスクは自分で責任を取らないといけない。まず自己完結、自己責任。最初から想像して分かる人は単独で行ってもいい活動をして帰られる。そして単独でもいいんですが、経験のある団体に問い合わせて、そこに入らせてもらうという知恵も必要だと思います。そういう意味で活動拠点への支援金もお金に替えられない効果があるというか、役に立つことも多々これから出てきますよね。


村井さんの言うようにGWが終わって、これから夏休みまで、ボランティアの数が減る傾向すでに出てきています。近い地域の方はぜひ積極的に参加を考えて、遠い地域の方は、義援金やボランティア団体への支援金で協力することも大きな力になります。

◇熊本地震による被災地の様子、ボランティア活動の状況は「被災地NGO恊働センター」のブログで確認できます。
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パーソナリティ 鈴村健一

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