2016年5月17日

5月17日 熊本地震「法律」による支援(2) 近隣トラブル

今週は熊本地震で被災された方への、法律による支援・サポートの情報お伝えしています。

お話を伺ったのは、にほん弁護士連合会 災害復興支援委員会・委員長で、弁護士の中野明安さん。

熊本地震の被災者の方を対象とした法律に関する電話相談も担当しています。中野弁護士は特に、近隣のトラブルに関する相談が大変多いと話します。

◆隣のお家とのトラブルを解決するには
今回の熊本地震では、相隣関係、相隣問題という隣近所とのトラブルが多い。具体的な相談内容としては、「隣の家の瓦が落ちてきて、自分の家の壁を壊してしまった」「大事な植木鉢を割ってしまった」「ブロック塀が倒れ掛かってきて、屋根を壊した、クルマに傷がついてしまった」というものについて、隣人の賠償世紀うすることは可能かという問題が非常に多い。良く言われるのが、震度5弱の地震でこういう状況になった場合はきちっとした管理ができていなかったんじゃないかと言われることがあるが、裁判例でいうと震度5を超えるものについては想定しがたいものであるので過失はない、責任は追及できない、損害賠償は請求できないという判決になる場合が多い。今回の場合がより複雑なのが、どの地震、何回目の地震でそのようなことが起こったのかということについて、みなさんはっきりは分からない。そういう中で不可抗力・過失無しという判断になるのか、それとも管理に手落ちがあったということになるか、判断は別れてくる。我々弁護士が相談を受けた場合は、事実としてそれまでどういう状況だったのか、具体的にいつの時点で損害が発生したのか、、より細かくお調べいただきたい。我々弁護士の間では「被災者ノートを作ろう」といっている。自分たちが地震後にどんな生活をしていて何を不自由に思い、何が財産として失われたか、壊してしまったかを記録しておきましょうということ。メモではなく写真も撮ってもらいたい。みなさん今後は罹災証明書、被災証明書の申請をされると思うが、その時にはどういう被害状況なのかを分かりやすく説明できるために写真を取っておいてもらいたい。被災した状況が分かりやすく説明できるような写真をぜひ今の家の撮影しておいていただきたいと思う。


ただ、ご近所同士で損害賠償や裁判というのはあまり、気が進むものではありません。これについて伺いました。

◆話し合うで解決するためにも弁護士へ相談を
相隣関係について、裁判はやはり適切ではないと考えている。責任があるかないか、ゼロか百かで決めるような問題ではないと思う。そのためにはどういうものがあるかというと「調停」という制度がある。お話し合いをする機会を裁判所が持つ。ADRといって弁護士会その他の団体が裁判外で話し合いをする制度がある。そういうものをつかって話し合いで解決するというのはどうですか、というのを提案したいと思っている。なぜならばそれは近隣だから。隣同士で納得をして解決するということをしないと今後の生活が大変になってしまう。ぜひそうした方が良いと思う。それは裁判、賠償請求を受けた側もする側も非常に大事なことだと思う。


中野弁護士によれば、熊本地震に関する相談ではこの「話し合いで解決する」「調停」がふさわしいケースが多いそう。調停に関する手続き費用の免除といったことも検討されているようです。詳しくは、まずとにかく弁護士の方に相談することが大切だということです。

〇熊本県弁護士会において、全国の弁護士の支援を受けて、電話による無料の相談・情報提供を行っています。
電話番号:0120-587-858(フリーダイヤル)
開設時間:10時00分〜16時00分(無休)
料金:無料
(土日については6月末までの実施を予定)

◯法テラスサポートダイヤル 
0120-078309 (おなやみレスキュー)
解説時間 平日9:00〜21:00 土曜9:00〜17:00
料金:無料
法テラス情報サイト

〇また、大分県弁護士会でも無料法律電話相談を行っています。
電話番号:0120-225-506
相談時間:平日10時〜14時(土日祝日除く)
相談期間:平成28年5月16日(月)〜平成28年6月15日(水)
料金:無料

明日も法律による被災者サポートの情報、お伝えします。

2016年5月16日

5月16日 熊本地震「法律」による支援(1) り災証明

熊本地震から1ヶ月。今も1万人以上の避難者の方が不安な日々を過ごしています。この不安の解消、そして生活再建へ向けてまだまだ様々な支援が必要です。

今週は、「法律」による支援、サポートの情報です。
お話を伺ったのは、にほん弁護士連合会 災害復興支援委員会・委員長で、弁護士の中野明安さん。


熊本地震の被災者の方を対象とした法律に関する電話相談も担当しています。まずは、現在どんな相談が多いのか伺いました。

◆罹(り)災証明書は持家、賃貸に関わらずもらう必要があります
よく相談であるのは、罹災証明書の交付手続きについて。知っている方は罹災証明書はもらうのが当然だと思っているかもしれないが、こういう相談が多い。「罹災証明書は貰う必要があるんですか?」・・・貰う必要があります。今後の色々な支援を受けるための第一歩の証明書ですから、申し込みをして下さい。自分の住んでいる家が壊れたということの証明書が「罹災証明書」。借家人でも罹災証明書はもらえるのかという相談もある。これももらえる。借家だからもらえないなんて思う必要は全く無いので、ちゃんと罹災証明書を求めて下さい。そうしないと震災に対する支援が受けられなくなってしまう可能性があるので注意。もう1つよく言われるのは、大した損害ではないんだけど罹災証明書は手続きして良いのか、という質問。大した損害かどうかはその後判断されるので、罹災証明書の交付申請はやって頂きたいと思う。その中で半壊だとか全壊だとか一部損壊といったランクが分かれてくるが、それぞれの支援メニューがあるので、ぜひ受けて頂きたい。


そして、気をつけなければいけないのが、「り災証明書」のほか「被災証明書」という別の制度があることです。

◆被災証明書とは
罹災証明書は建物だけなんです。自分の住んでいる家。その他に、クルマや建物以外が壊れたという場合は「被災証明書」という制度がある。財産が壊れたことをきちっと証明する。今後の保険金などを貰う場合に公的な立場で、壊れたことを証明する制度。同じく市町村で発行する。わかりにくいしなぜそうなの、と疑問に思う人もいると思うが、罹災証明書は被災者生活再建支援法の適応の前提になる。我々日弁連も問題にしているが、建物が壊れたかどうかで被災の程度は判断できないのではないかと言っている。職場がダメに成って仕事ができなくなるのも大きなダメージだが、現時点の制度は建物が壊れたことで被災の程度を決めるということになっている。そのための罹災証明書になっている。ですので罹災証明書と被災証明書は別のものだという説明をして、罹災証明書は今後のメインとなる被災者生活再建支援法の支援金をもらうにあたっての、大事な証明書ということになっている。制度としては改善すべきだと思うが、現時点はそういう制度なのでみなさん忘れずに罹災証明書は取って頂きたい。


中野弁護士によれば、法律による支援メニューがまさに準備されているところなので、まずはとにかく弁護士に相談してほしい、とのこと。現在、熊本県弁護士会が避難所での出張相談を行っているほか、電話による相談も受け付けています。

電話相談窓口、お伝えしておきます。
〇熊本県弁護士会において、全国の弁護士の支援を受けて、電話による無料の相談・情報提供を行っています。
電話番号:0120-587-858(フリーダイヤル)
開設時間:10時00分〜16時00分(無休)
料金:無料
(土日については6月末までの実施を予定)

◯法テラスサポートダイヤル 
0120-078309 (おなやみレスキュー)
解説時間 平日9:00〜21:00 土曜9:00〜17:00
料金:無料
法テラス情報サイト

「LOVE&HOPE」
明日も法律による被災者サポートの情報、お伝えします。
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パーソナリティ 鈴村健一

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