2016年5月27日

5月27日 熊本レポート 阿蘇白川駅カフェ「75th st.」

今朝も被災地・熊本からのレポートです。
熊本地震の影響で全線運休しているローカル線「南阿蘇鉄道」は南阿蘇村と高森町を結ぶ、18キロ弱のローカル線です。今回の地震で、土砂崩れによる線路の寸断、トンネルの亀裂や線路のゆがみなどが各所で発生、復旧のめどは立っていません。

90年近い歴史を持ち、住民の足としてはもちろん、阿蘇のカルデラを望む美しい車窓の風景、トロッコ列車の運行など観光列車としても人気が高かった「南阿蘇鉄道」。その中の10ある駅のうちの一つ、南阿蘇村の「阿蘇白川駅」は水色の木造建て、とんがり屋根の可愛らしい駅舎です。そんな駅舎に入っているのが「75th st.(セブンティ・フィフス・ストリート)」というカフェです。店主のキザキ真理子さんが、駅員さんに代って駅舎の管理も行ってきました。キザキさんは、震度6の本震のわずか5日後、“地元の方にホッとした時間を過ごしてもらいたい”と店を再開。美味しいコーヒーと、南阿蘇の食材を使ったお料理を提供しています。

緑豊かな季節を迎えて、ふだんであればこの「阿蘇白川駅」にはどんなにぎわいがあったのでしょうか。

◆田んぼに駅舎が写る風景
そうですね、だいたい観光客なんですけど、鉄道ファンでちょうど今頃の季節なんですけど、駅舎と田んぼ、青空の時に、田んぼに駅舎が写るんですよ。それを写真撮りに来られます。

阿蘇の伏流水だと思うんですが、白川水源、砂地からぶくぶくって小さい泡が出て、昔から変わらず水が湧き出ているんですけど、水源も南阿蘇には十何カ所あるんですけど、そういう水が南阿蘇の田んぼを潤しています。もうほぼ田植えも終わっています。以前と変わらない風景があります。日々と変わらない風景はすごく安心します。ここの景色を見てると何ともなかった感じですけど、ちょっと先に行くと、家が壊れてたり。そういうのを見ると心か痛んだりしますね。


鉄道は止まり、観光で訪れる人も途絶えたままの南阿蘇村。「阿蘇白川駅」を守り、カフェを開いているキザキさんにいまの思いを伺いました。


◆電車が通ってないけど毎日空けて待っています
店はたいしたことなくて助かっていますけど、南阿蘇鉄道も第3セクターでそんなに収入があるわけじゃないんでどうなるか心配ですね。復興するのに50億円はかかると聞いています。
(全線不通の中でも店を再開したのは?)お客さんは来てくれないかもしれないけど、開けるだけは明けようと思って始めました。疲れたり大変なことが皆さんいっぱいあると思うんで、疲れたときに来て頂きたいと思って。でランチも半額でコーヒーも安く飲んで頂いています。「ここに来るとホッとするね」と言って下さる方が居ますので、すごくうれしいです。たどり着いてここの窓の外を見られると、「ここは変わってないね」とおっしゃったり、ホッとされるんでしょうかね。電車通ってないけど毎日開けて、管理もしてますので、これから長い時間がかかると思いますけど、ちょっとコーヒーを飲んで頂いて、少しでも気持ち安らげる場所を提供できたらと思っています。
私がいちばん好きな風景は秋。稲が実って黄金色にかわる風景が好きです。それを一緒に見て頂けたらなと思います。


阿蘇白川駅へは、熊本市から県道28号を使って車で行くことが出来ます。近くには「白川水源」などの名所もあり、ペンションなども営業中。にぎわいが戻る日を願って、今日もお店を開けているキザキさんに会いにぜひ、「75th st.」訪ねてほしいです。

また南阿蘇鉄道では、オフィシャルホームページで「復旧義援金」を募っています。

『LOVE & HOPE』、被災地・熊本からのレポート。
来週月曜日は、源泉から温泉の湧出が止まった内牧温泉を訪ねます。

2016年5月27日

5月26日 熊本レポート 西原村農業ボランティア2

今朝も、熊本地震で甚大な被害を受けた地域の一つ、西原村からのレポートをお届けします。

西原村は県内有数のサツマイモ産地ですが、本格的な作付けの時期の直前に地震が起き、片づけに追われる農家の皆さんは、
畑作業に手が回らない状態となっていました。そこで村は、ボランティアに来ていたチームや、地元農協、社会福祉協議会と話し合って農作業を専門にあっせんする「農業復興ボランティアセンター」を立ち上げました。いま村内の畑では、フェイスブックなどでの呼びかけで集まった、全国からの学生ボランティアたちが地元農家の方と一緒に、畑仕事に汗を流しています。

そんなサツマイモ畑の一つ、「シルクスイート」を作っている曽我君代さんの畑にお邪魔して、一緒に汗を流していた3人の学生にお話しを伺いました。

関西の西宮からきた関西学院大4年の花田です。ぼくたちは途上国でボランティアをしていた学生の集まりで、今回も中長期的に今後の熊本に何ができるのかニーズを探りにきた。この作業を実際は広い畑で夫婦二人でやられているということだったが、ぼくら着いてから2時間しかやってないけど明日体やばいな、と思いながらやっていて。この作業が震災で1ヶ月とか止まったと思うんですけど、この遅れを二人で取り戻すのは現実問題難しいかなと。ただ、人数さえいれば僕らでもできることはすごく多くて、2週間、1ヶ月という遅れを人材で取り戻していくというは十分感じました。

関西学院大学3年高田千佳です。西原村の農家・曽我さんのところへいって、サツマイモ・カライモの苗を植える作業をやってました。大きな農地に5人ぐらい派遣されてやるんですけど、正直やったことがないので疲れてしまったり、どういうふうにやったらいいんだろう?とか汗水流して作業したときに、ここを農家さん2人でやってるんだと思うと、日本を支えている農家ってこれなんだなとすごく感じて。この震災があって曽我さんは10日間くらい避難されていたんですけど、「ちょっとやる気失っちゃったんだよね」って言ってて、小さな一言だと思うんですけど、あ、そういう声を一番大切にしなきゃいけないんじゃないかな、と思って。自分たちができることで、若者なので体力は自信があるのでそういったところで力になりたいってさらに思うようになりました。

関西学院大学3年増原早紀です。被災状況もニュースで見るだけだったんですけど実際に行ってみて、1ヶ月は経っているものの山奥に入っていくと山が崩れていたり家屋が崩れているところを目の当たりにして、まだまだニーズはあると感じたし。きのうも足湯ボランティアで体育館でおばあちゃん達と話しても、指揉みしながらおばあちゃんが「震災の時はすごかったんだ。家も崩れて、いつ帰れるかわからない。ご飯も毎日支給されるけど食べたくない。お風呂も1ヶ月入ってないけど入りたくない。」とかいろいろ話してくださって。ただ、うんうんと聞いているだけでいいんだよとNGO協働センターの方も言ってくださって、よかったのかもしれないけど複雑な思いです。2日しかいなかったけど熊本の良さってのもすごく感じてて、自然がきれいだし人もいいし。大変なこともあるけど今復興に向け頑張ろうとしている熊本もどんどん帰ってから後輩たちに伝えて、何回か通って好きになってもらって、一緒に復興に携わっていきたいなと考えています。


3人は1995年、96年の産まれ。阪神淡路大震災を知らない世代です。それぞれが海外留学でボランティア活動をし、戻ってきたばかりの時に起きた熊本地震。3年生の高田知佳さんは「今動かないときっと後悔する」と熊本でのボランティアを決意して、二人に声をかけて、今回の参加に至ったそうです。

被災地・熊本からのレポート。明日は、不通となっている南阿蘇鉄道の「白川駅」で、駅舎と「カフェ」を守り続けている方にお話しを伺います。
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パーソナリティ 鈴村健一

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