2016年5月31日

5月31日 熊本 内牧温泉の被害2


地震のあと、数件の宿で温泉の湧出が止まってしまった阿蘇市内にある内牧温泉。いまも一部の旅館が休業を余儀なくされています。そのうちの一軒、与謝野鉄幹・晶子夫妻が贔屓にしていたという老舗旅館、「蘇山郷」の三代目館主、永田祐介さんにお話を伺いました。

温泉は、新たに源泉を掘る作業に取り掛かる予定ですが、梁が落ちたり階段にひずみが発生してたり、壁の崩落、屋根の破損があって雨漏りが止まらなかったり、建物にもかなりの傷みがあるようです。「閉館」を考えたことはなかったんでしょうか?

◆支援してくれるお客さんからの声に応えて
正直ゼロではないと思います、ただたくさん仲間もいますし、中には東日本大震災、新潟、長野の地震を経験したメンバーもいます。その辺からいろんなアドバイスを頂いたり、九州中からたくさんの仲間が駆け付けてくれたりとか、今でもそうです、いろんな仲間が来て頂いて阿蘇のために、蘇山郷のために何かできることないか?て言ってくれているんで。でたくさん支援をしてくれるお客様もいて、当日お泊り頂いた方、停電で領収書が出せないのでその時はそのままお帰り頂いたんですが、あとから何組かのお客様が適切な避難誘導のおかげで無事に帰り着けました、必ずまた行くんでその時払えなかったお金を送るので足しにしてくれとか、けっこう何組か送ってきたりとか、そういのもあるので止まっていられないというか、その方のためにも温泉掘らなきゃというのは強く思いましたね。


多くのファンに愛される内牧温泉「蘇山郷」。いったいどんな名湯なのか、聞いてみました。

◆外国のお客さんからも・・
ほんとうに100%かけ流しの天然温泉。硫酸塩泉の部類に入ります。筋肉疲労、肩こり、リウマチとかに効能があります。じつは明日あさってくらいから何も無ければオリンピックのマラソン代表である旭化成の佐々木悟選手も合宿に来てくれるはずだったんです。なのでトップアスリートの方もうちの温泉の効能をよくご理解いただいてずっと来て頂いてるくらいいい温泉だと自負しています。うちは先進的にインバウンドの取り組みをしていたので、去年なんかは4人に1人が外国人のお客様だったんです。だから居酒屋さんなんかもうちが開けてないと外国人がまったく来ないとよく言われるんで、「あんたんとこ早う開けて」って。外国からもたくさんのメッセージ頂くのでぜんぶ返信してるんですけど、もちろん57号の復旧と豊肥本線が復旧しないと、なかなか外国人の方は二次アクセスがないので厳しいんですけど、なんとかそこも取り組みが進んでいけばとは思っています。


現在、新たな源泉の掘削と、建物の修復を急いでいる「蘇山郷」。なんとか7月の再開を目指しているそうです。


そして宿の近くには、熊本の名物、「赤牛(あかうし)」を使った「赤牛丼」の名店「いまきん食堂」も有ります。肉の旨みと甘めのタレが口の中に広がって、腰が抜けるほど美味しかった!「蘇山郷」は7月再開予定ですが、通常通り営業している宿もあります。最高の温泉と最高の「赤牛丼」を味わいに、内牧温泉にお出かけください!!

2016年5月31日

5月30日 熊本 内牧温泉の被害

熊本では地震のあと、温泉の湧出が止まったり池や湧き水が止まったり、地下水脈の異変も各所で起こっています。阿蘇市内にある内牧温泉もその一つ。阿蘇温泉郷の中でも最大規模の温泉地で夏目漱石など文豪に愛された場所としても知られていますが、いまも一部の旅館でお湯が出ない状態が続いています。

与謝野鉄幹・晶子夫妻が贔屓にしていたという老舗旅館、「蘇山郷」の三代目館主、永田祐介さんに伺いました。

◆震災後お湯が出ない
厳密にいうと温泉が枯れたわけではなく、中のケーシングの管がたぶん破損ないし崩落、とにかく塞がってしまったかたちです。なので泉脈じたいが枯れたわけではないと思っています。二度目の地震、本震のあと、夜中の1時半前でしたので寝ていました。当時25名前後のお客様の宿泊がありました。私もすぐ近くに住んでいましたので、家族を起こして車に乗せて、僕はすぐにここに。完全にその時点でライフラインが止まってしまったので、水も出ない、停電もしてる、お客様も軽いパニックになられていてフロントまわりに出てきていらっしゃったので“まず余震が落ち着くまで部屋には戻らないでこちらに居てくださいってお話したんですけど、ぜんぜんおさまらないんですよね。何回も揺れてたんで、“外に避難しましょう”ということで外に避難しなおして、マイクロバスがあったのでマイクロバスでお客様を点呼して、明るくなるのを見計らってお客様はそれぞれお帰りになられました。電気が来たのが確か19日の夕方だったんですが、まずお風呂に行って、温泉をくみ上げようとしたんですけど出てこない。で検査をしようと。3日後か4日後にボーリング屋さんに来てもらって、土中にある管が潰れてたり、砂が詰まってるっていう状態が通常考えられるということで砂を除去する作業をやってもらったんですけど、砂が出てくるどころか50メートルくらいから先に機械が入っていかない。それで話を聞くと、ほか数件もまったく同じような状態ということで、50メートルから60メートル下にある堆積層が動いているんじゃないか?というところが今の状態です。


“源泉かけ流しの名湯”「蘇山郷」、温泉が止まってとうぜん休業を余儀なくされます。宿泊客が来なければ町の商店などにも影響が出る・・・少しでも早く宿を再開するため永田さんは“新しく源泉を掘る”ことを決めました。

◆新しく掘ることを決意
新しく掘った方が時間もかからないし費用もかからないんじゃないか?ってことでしたね。そこに特別な状況が発生してなければ、同じくらい、150メートルから200メートル掘れば出てくるんじゃないかというボーリング屋さんの見立てでした。なので新しく掘るためにはどうしなきゃいけないか、もちろん資金調達もしなければいけないし、少しでも公的な資金が使えればいいし、国とか県の制度、東日本大震災の時に政府が出した補助金なども調べて、そして新しく掘るとなると通常はいろんな許可が必要になる。そういうのに対しての準備や事情が事情なので掘削要件を緩和してもらえるように県と話したり、そういうことをここ2〜3週やってました。共同で掘って分湯という話もあるんですけど、入湯税で掘る分は補てんはしてくれる、でも掘れても一本か二本、配管は手出しになる。であれば、掘って150メートルくらいの話しであれば自分のところに掘った方が逆に早いと僕は考えたんですけどね。


明日も、「蘇山郷」、永田祐介さんのお話しを、お届けします。
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パーソナリティ 鈴村健一

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