2016年6月2日

6月2日 熊本の畜産業 菊池農業2

熊本地震では県内の畜産業も大きな被害を受け、県の調査では乳牛、肉用牛を合わせ、畜舎85棟が損壊、115頭が死傷しています。その中の一つ、熊本名物の「あか牛」を飼育している菊地市の菊池農場を訪ね、代表の臺典子さんにお話しを伺いました。


◆もう胸がつぶれましたね。
これで全頭なんてことがあったら続け切らないと思ったかもしれませんね。二頭だったから・・・。でもこれ片付けるだけでも相当お金かかると思うともうがっくり。


臺さんの営む菊池農場は育成状態に合わせた3つの牛舎を運用していましたが、そのうちの一つ、母牛18頭、子牛3頭がいた繁殖用牛舎が4月16日の本震で崩壊、母牛2頭が犠牲となりました。

◆2頭とも大きくていい牛だった
16日はもう揺れた時にばしゃっと潰れたと思います。6強くらいでしたね。今回潰れた牛舎はひとりで産めるベテランお母さんのところ。けっこう古かったんです。学校の校舎を移築したところで、「ああやっぱり」というのはありました。「2頭挟まってる」って。子牛も一頭挟まってたんですけど、子牛は小さいので引き出せました。そこは親牛が13頭いたんですけど11頭はばっと運動場に逃げて運動場から道路にまで出てましたけど無事でした。下敷きになった牛の一頭は即死んでて、もう一頭は腰を打って立ち上がれない状態で、19日の日に屠畜場に持って行って。2頭とも大きくていい牛だったんですけど・・・残念です経済的にも。
11頭と子牛2頭含めて、5頭は泗水へ、6頭は肥育の牛舎へ詰め詰めして入れました。ちょうど4月20日が阿蘇の牧野に入れる入牧式だったんです。ですけどもちろん出来ない、道路も行ける状態じゃなかったので、1か月延びたんですけど、とにかく妊娠してる牛は山に上げようということで。補助も無ければ当分このままにしておこうかと思って考えてたんですけど、本当は人が住む家が優先なんですけど県も牛舎の被害が多いので、牛舎の方も出ると聞いています。粗末な牛舎でも構わないかなと思ってますけど、もう一回建てることになるかなと思ってます。


3つの牛舎のうち残った2つの牛舎に牛を振り分けて急場をしのぎ、子供をお腹に抱えた母牛は放牧へ。そして近いうちにもう一つの牛舎もなんとか再建したいということ。ただ県内には、復旧のめどが立たなかったり、廃業を考える畜産業者もいるそう。酪農はもちろん、畜産も熊本を代表する産業の一つですから、なんとか自治体の支援を活用して持ちこたえて欲しいです。

そんな熊本の「あか牛」、「九州産直クラブ」の宅配サービスを利用するか、熊本県内のレストランや旅館で味わうことが出来ます。また数は少ないですが、取り扱っているオーガニック食品のお店もあるようです。

2016年6月1日

6月1日 熊本の畜産業 菊池農業

熊本地震では県内の畜産業も大きな被害を受けました。県の調査では、乳牛、肉用牛を合わせ、畜舎85棟が損壊、115頭が死傷したということです。

その中の一つ、熊本名物の「あか牛」を飼育している菊地市の「菊池農場」を訪ねました。

お話しは菊池農場の代表、臺典子さん。菊池農場は育成状態に合わせた3つの牛舎を運用していましたが、そのうちの一つ、母牛18頭、子牛3頭がいた牛舎が4月16日の本震で崩壊、母牛2頭が犠牲となりました。熊本の名物「あか牛」とは、どんな牛なんでしょうか?

◆阿蘇の草を豊富に食べさせた赤牛
熊本に昔からいた牛で最初は田んぼを一緒に耕すのに使ってたり荷物を引くのに使ってたり、どの農家にも1〜2頭は赤牛が居ったよ〜ってみんな言いますね。それがトラクターが入ることによって肉牛になっていったと思います。赤牛はお肉としたらサシが入りにくい分、赤身が美味しい。牛の特徴としたら大人しくて体が丈夫。子牛も丈夫です。うちではお母さん牛はお腹に赤ちゃんが居る時に阿蘇の山に放牧に出して、放牧に出すと歩くし太陽にいっぱい当たるでしょ?で草をたくさん食べて、すごく健康になるんです。でたくさん運動すると人間もそうですけど安産になる。いろんな育て方があって即離す、ミルク栄養でというのも有りますが、うちでは3〜4ヶ月は母乳だけで育てます。母牛に付けて。エサは草をたくさん食べさせて穀物類を少なく。草はすべて熊本県産。食べたいだけ食べさせるというやり方です。もともと牛は草食動物なので穀物を食べるようにできていないと思うんです。穀物類をたくさん食べさせると早いうちに成人病じゃないですけどメタボになって、内臓とかにも負担になる。私のところでは内臓の廃棄とかは全くないです。そのかわりあまり太らないのが悩みの種です。牛肉というとどちらかというと贅沢な肉っていう感じですけど、私としてはそうじゃなくてカレー用でもなんでもいい、子供たちに自信をもって「食べて」と安心な安全なものを作りたいなと思ってやっています。
震災あっていろんなことがありましたけど、やっぱりとても豊かな農業県なんですよ。草を熊本で調達するのに苦労しない、牛にしても豚にしても育てられる環境があります。だからそれも田んぼとか山とか畑とか無いと手に入らないので、普通のところだと草もアメリカとかオーストラリアから輸入した飼料がいっぱいあるんですけど、草は豊富に手に入るのでいいなと思います。そしてああいう自然の中で母牛も育てていけるのでですね・・・


草原で放牧して、草をお腹いっぱい食べさせて・・・牛本来の育て方に近い方法で飼育しているのが、臺さんの「あか牛」なんですね。安心安全という言葉も印象的でした。

そんな臺さんの「菊池農場」を襲った熊本地震。明日は震災後の取り組みについて伺います。
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パーソナリティ 鈴村健一

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