2016年9月1日

9月1日 なすびのエベレスト挑戦4

引き続き、今年5月に世界最高峰・エベレストの登頂に成功したタレント、なすびさんのインタビューをお届けします。



今年5月、4度目の挑戦でエベレストの登頂に成功。山頂から、復興の願いを込めたメッセージを叫び、その後は、福島はじめ各地でこの体験を語りながら、復興支援を続けているなすびさん。

エベレストに登ることに、どんな意味があるのか。そんな疑問を投げかける人もいると言います。それでもなすびさんは、このメッセージが福島の人々に届いていることを少しずつ、実感していると話します。

◆「ありがとう」の声に実感
福島で町を歩いていると、「なすびくん、ありがとう!」って言ってもらえるんですよね。普通に道を歩いていて人からありがとうと急に声をかけられることってまずあり得ないと思うんですけど、実際に福島の方たちがこうしてすごく前向きに捉えてくださっている実感を感じさせてもらえるのは嬉しいし、ありがたい。未だに疑問は持たれているかもしれないですけど、福島に元気と勇気、夢と希望というぼくが抱いていた思いが少しは届いたのかなという手応えというか、実感は少しずつ得られてきていますね。


その一方、震災直後から福島に寄り添ってきたなすびさんは、今もまだ、被災された方の苦しみが続いていることを、痛感しています。

◆震災関連死を食い止めたい
実は福島は、震災で直接亡くなった方・・・津波や地震で亡くなった方は1600名と言われているんですね。岩手や宮城に比べると0がひとつ違う数字なんですね。ただ震災から4年、5年が経過した今は関連死と呼ばれる、震災後に避難先や仮設住宅などで亡くなったり、自ら命を断ってしまった方が福島では2000人を超えてしまったんですね。これって体力やいろんなことを含めてかもしれないんですけど、やはり故郷を奪われた、福島でこれから生きていくのに希望や将来を奪われてしまったという(ことが原因なのではないか) 直接死はこれ以上増えないけど、関連死はまだ増えてしまう可能性があるのでそれをなんとか食い止めたいなという思いが強いです。あとは福島で生まれ育つ子どもたち、これから世の中に出て行く時に残念ながら区別・差別を受けてしまうおそれがあると思う。それはやっぱり広島や長崎で過去にあったようなことが起こりえるかもしれない。そういうのを食い止めるためには、誤解なく福島を理解してもらうための努力は、僕らが世の中を変える努力をしていかなきゃならないし、力になれたらいいなと思いますね。


◆なすびと福島の山へ行こう!
「次はどこの山に登りますか」と聞かれるんですが、ぼくは登山家ではないので山という意味では、福島にも素敵な山々があるし自然もたくさんあるので、じゃあなすびと一緒に福島の山を登りましょうとか、福島に足を運んでもらうきっかけになると思うので、そういうところでお力になることはありえるのかなと思いますね。



ということで、次はマッターホルンに挑戦!みたいなことはないそうですが、なすびさんはこの夏、各地でエベレスト登頂の報告会を開催、その中で、福島の現状も伝え続けています。

2016年8月31日

8月31日 なすびのエベレスト挑戦3

引き続き、今年5月に世界最高峰・エベレストの登頂に成功したタレント、なすびさんのインタビューをお届けします。

震災以降、故郷・福島県内でボランティア活動を続けてきたなすびさん。その活動の中で感じた、「風化」をなんとかしたいと考え、たくさんの人にメッセージを伝える手段として、「登山経験ゼロからエベレストを目指す」ことを決意したと言います。

ただ、その計画は簡単には行きませんでした。最初のエベレスト挑戦から足掛け4年。登頂に至るまでを振り返っていただきました。

◆成功へ繋がった「三度の断念」
1年目は何人かの支援者だけだったんですが、頭を下げて借金して、登山費用を出来るだけ削減するために僕も登山の隊の方たちにいろいろお願いして。ちょっとでも削減するために、他の人が飛行機で移動するところを僕は徒歩とクルマで全部移動、荷物もポーターを雇わず20キロ〜30キロを自分で背負って、ちょっとずつの努力を積み重ねて、なんとか1回めはそれでまかなえた。でも2回めはやはりそんなにお金があまりないので、クラウドファウンディングを立ち上げた。1000万円くらいかかると言われましたが、なんとかそのクラウドファウンディングで600万円くらい集められた。だから非常にプレッシャーを感じながら向かいました。1回めは体力の限界と天候の悪化で引き返して、2回めは現地で大きな雪崩事故が起きて残念ながら登山自体をネパール政府が中止と発表してしまいそれ以上続けられず。今度こそ、3度めの正直だと思った去年はネパールを大きな地震が起きてしまった。4月25日は僕らもベースキャンプにいましたが、そこに大きな雪崩事故が発生して、僕らも当然雪崩の被害でテントを潰され、人的被害は無かったんですがこれ以上は登山を続けられないということになり、現地に残って1ヶ月くらい支援活動をやっていたら、帰国後に「なすびよくやった、それはエベレスト登頂よりも尊いことだ」と言ってくださる方がいて、それが4回めの挑戦に繋がりました。


この挑戦、最初は、売名行為ではないか・・・といった批判もあったそうです。それでも、なすびさんのあきらめない姿勢は共感を呼び、たくさんの人たちが、4度目の挑戦を後押ししてくれたと言います。

そして今年の5月19日・午前11時すぎ。なすびさんは4度目の挑戦で、世界最高峰の頂上に立ったんです。



◆頂上で叫んだ「奇跡はおこせます!」
登頂日は青空で風が強かった。風で撤退する隊があったことも聴いた。そして登頂日が集中してしまう現象が起きていて、5月19日は渋滞が発生していた。ルートは基本的に1本しかないので、その1本の道に数百人が連なる状態ができてしまい、酸素残量がどこまでもつかという問題があった。渋滞を想定したボンベの本数は持ってきていないので、底の部分でいつ隊長さんから「撤退しよう」と言われるかという緊張感が漂いながら、頂上が少しずつ近づいてきて、これは頂上まで何が何でも行くしか無いという強い思いがあった。正直、登頂した時は、8848mというところですから酸素不足というか頭が混乱しているところもあって(笑)ただ僕は、福島への思いがあったので、自撮りの動画で、酸素マスクを外して思いを叫んだんですが、今思えばちょっと恥ずかしいですけど、福島、東北の皆さんの応援で登頂することが出来てありがとうございました。そして人間はやればできるんだ、奇跡だって起こせるんだと。東北・福島は絶対に復興できます、僕がエベレストに登れたんだから奇跡はおこせますと叫んだのは・・・うすらぼんやりですけど覚えていますね(笑)


こうして登頂に成功した なすびさん、エベレストでは体調もばっちりだったのに、帰国直前に食中毒になるトラブルで、軽い笑いも誘いながら6月に帰国。いまは、これまで同様 東北各地の復興イベントに参加したり、エベレスト登頂の報告会で、復興を応援するメッセージを伝えるなどの活動を続けています。

明日もなすびさんのインタビューお届けします。
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パーソナリティ 鈴村健一

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