2016年12月28日

12月28日 南三陸町・三浦さん一家(住吉美紀レポート)1

今朝は、宮城県南三陸町からのレポートです。取材してくれたのは、中西哲生とともに、お聴きの放送局の年末年始特番を担当するフリーアナウンサーの住吉美紀さんです。住吉さんが訪れたのは、南三陸で暮らす、あるご家族です。


◆5年ぶりの南三陸町
いま南三陸町、志津川中学校に来ています。見下ろすと太陽が出ているんですけど雪がうっすら積もっています。空気は冷たいです。工事車両なんかが見えますね。6年前、ここであるご家族に私は出会いました。この校庭に建てられている仮設住宅に暮らす三浦さんご家族です。子どもたち3人、ご両親、おばあちゃんの6人家族でした。あれから5年の歳月が経ち、お子さんたちも大きくなっているでしょうね。今日は久しぶりにお会いできるということで楽しみです。


ということで、住吉美紀さんは、東日本大震災のあった2011年の年末に、三浦さんご家族を取材しているんですが今回、5年ぶりに訪れた仮設住宅の高台から見る景色は、かさ上げ工事が始まり、小高い盛り土が点在するなど、5年前と大きく変わっていました。

住宅、商店街の高台移転。いよいよ生活再建が本格化する南三陸町。三浦さん一家を取り巻く環境も、まさにこの変化の渦中にありました。

◆住宅再建の悩み
住吉:ごぶさたしています〜こんにちは。三浦家のおかあさん夕さん、末っ子の紡ちゃん。おひさしぶりです。紡ぎちゃんも大きくなりましたね。いま高校・・・?
紡:1年生です。
住吉:あれから5年なんですね、上のお兄ちゃんたちは?
夕:長男はもう社会人になったので仙台で一人暮らしをして仕事をしています。整備士をしています。
住吉:じゃああの時おっしゃってた夢をかなえて。そして壮馬くんは。
夕:大学1年になったので今は山形県で一人暮らししています。
住吉:いまの生活も引き続き仮設住宅で。
夕:そうなんです。まだ仮設に。
住吉:これからのお宅の予定、計画は。
夕:建てる予定で土地を一応予約しているんですけど、ちょっと先のことを考えるとまだまだ不安なことが多いので迷っています。結局子どもたちも出て行ってしまうので…最終的にはどうしようかなと。やっぱりこれからまた新しくローンを抱えるということを考えると。ちょっと前の家の時も、建てて6年で流されてしまって。自分の年齢を加味すると80歳手前まで支払う計算になってしまうので。あと10年後、20年後となると、できるのかな〜と。
住吉:前のお家のローンは
夕:完済させました。国の軽減措置もあったんですけど、40代の共働きは優遇されないという。手続したんですが却下されて「全部支払って下さいということなので払いました。
住吉:じゃあしばらくはまだ悩みそうですか。
夕:そうですね。一応仮設住宅も延長して。残る方が平成30年3月まで延長措置をしてもらっているので、うちもそうなんですが、あと1年ちょっとはここに居候させて貰う形で。ちょっと中学生には申し訳ないんですけど。
住吉:紡ちゃんとそういう話は?
夕:結構しているよね。自分たちは出るかもしれないという話もしていて、それを考えちゃって。結局子どもたちはここから巣立たせている感じなので、ましては前の家が6年間住んだと考えると、前の家より仮設住宅の方が長くなっちゃって・・・ここが実家になっちゃったね。だからせめて娘はちゃんとしたところから出してあげたいという気もしますけどね、どうかな〜(笑)


南三陸町でも、高台に移転するための土地の引き渡し…という段階まで来ています。ただ、土地の上に住宅を建てるのは、結局 経済的な負担となるため、土地を申し込んだものの、キャンセルする世帯もあるそう。三浦さんも悩んでいます。仮設で暮らす人たちの生活再建への道のりは、まだまだ長くなるかもしれません。

そして、今回レポートしてくれた住吉美紀さんと、中西さんは、大みそかのJFN年末年始特別番組で、パーソナリティをつとめます。「JFN年末年始特別番組 Next Future 〜こどもたちの未来へ〜」。
リオオリンピック銀メダリスト・陸上銀メダリスト・山縣亮太選手はじめアスリートのインタビュー、東北や熊本の取材の様子も交えながら、行く年を振り返り新年を迎えます。放送は大みそか、夜11時スタートです。番組ではメッセージも募集しています。2016年のマイベストニュース・子どもたちへ伝えたいメッセージを送ってください。抽選で10名の方に、5000円分のクオカードをプレゼントします。詳しくは「NEXT FUTURE こどもたちの未来へ」番組特設サイトをご覧ください。

2016年12月26日

12月26日 福島県富岡町の「除夜の鐘」

今日は福島県富岡町の「除夜の鐘」の話題です。
東日本大震災とその後の原発事故の影響で、全町民避難が続く福島県富岡町。町内にあるお寺「龍台寺」の副住職、矢内隆久さんもいわき市で避難生活を送っています。震災当初は放射線量が高く、一時は「寺ごと」の移住も考えたという矢内さん。けれども寺の再建を決意し、今年、本堂や庫裏(くり=僧侶の住まい)の解体工事に乗り出しました。

◆お寺再建の決意
除染は終わったが、本堂も位牌堂、客殿もすべてだめになってしまったので、すべて解体してゼロからのスタートという形で、9月4日に地鎮式を行って、12日に譲渡式を行う形となった。まず庫裏、客殿、位牌堂、本堂というかたちで、完成まで6年かかる予定。再建に必要な木材などの材料を集めたが、乾燥するのに2年ぐらいかかるということで、今度の本堂は、500年は優に持つ本堂をつくるということで材料も吟味して、2年後に着工ということになると思う。檀家の法事などはいまいわき市内にある「せきのホール」を借りてやっているが、常磐線も来年開通しそうなので、再来年あたりには富岡の地でできるかなと期待している。
まだわたしたちはこのように解体してすべてなにも状況なので、避難先のいわき市から通ういながら、生活している。ご覧の通り皆さんお墓なども直されてありして。やはり故郷富岡にという方が多いものだから、やはりそれを守っていくのがわたしどもの役目だから。最初は寺ごと移転しようかとも考えたが。線量も最初14マイクロシーベルト/毎時ほどあったが、いまは0.1〜0.2に下がった。安心だなと思う。ご覧の通りお花がたくさんあがっているが、お墓詣りにもかわるがわるたくさん来ていただいているので、それを思いながら復興に向けて頑張っているところ。

これは昭和59年に完成した。有志の方に鐘を寄贈していただいて、檀家の皆さんに建物をつくっていただいて、この鐘つき堂ができた。戦争中供出によって軍のほうに接収されたが、昭和59年に復興して、現状に至っている。ついてみますか?

♪鐘の音(ゴーン)

大晦日は住職はこちらにやってくるが、夜は外出許可が下りるかどうかわからないので、来年解除になってからが一歩かなと思う。夜8時以降は外出できない。除夜の鐘でもだめだと思うので、今年いっぱいはあきらめて、来年は解除になればOKだし、来年は住むことができると思うので、夜11時ごろから除夜の鐘を突ければなと思う。


富岡町では来年の春、帰還困難区域を除き避難指示の解除を行う見通し。町への帰還に具体的なめどがつきつつあります。また常磐線の竜田−富岡間も、来年12月の開通を目指しています。一方、どのくらいの人が町に戻るのか、コミュニティが復活するのかは未知数。そんな中でも「町の中心、心のよりどころとして、まず寺を復興させたい」という矢内さんの言葉が印象的でした。

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パーソナリティ 鈴村健一

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