2017年1月30日

1月30日 福島県川俣町の「田んぼのスケートリンク」2

先週金曜日に引き続き、今朝は、福島県川俣町(かわまたまち)にある「田んぼのスケート場」についてお伝えします。

川俣町の山間の小さな集落・山木屋地区の、「絹の里 やまきや スケートリンク」。収穫を終えた田んぼに水を張り、凍らせて作る手作りのスケートリンクです。福島第一原発の事故によって休止状態が続いてたのですが、去年1月、地元のボランティアの方によって復活。今年も、22日(日)から一般開放がスタートしています。

昭和56年の立ち上げから、ずっとリンクを守ってきたボランティアの大内秀一さんに、今年も田んぼリンクをオープンした想いを伺いました。

◆再開に込めた願い
私は実際、あの時は福島県は終わりだと思いましたから。まさかね、5年後に田んぼリンクを復活させるなんて想像もできませんでした。結局、放射線に対する考えっていうのは個人によってすごく温度差があるんです。これは毎日わたしらは実感していますけど、嫌う人は極端に嫌うしアバウトな人はアバウトに捉える。その温度差はすごい。ただし今現在の放射線量は世界中にどこにもあるものだし許容できると思っているんです。私のうちには世界中の人が集まっているんです。世界的に有名な生物学者の人達も私のうちに宿泊して、ここから浪江町津島という地区に行って小動物の放射線量の影響調査をしているんです。あとはアメリカのジャーナリストの方も5年間通ってドキュメンタリー番組の取材をしてくれています。そういう人たちの見解を聞くと「山木屋地区の線量は大丈夫だ」と。でもまわりはそう見てくれない。水も飲まないし食べ物も食べない。これじゃまるっきりやまきはゴーストタウンになってしまうんじゃないかと。そんな思いがしたものですから私はまだ避難指示が解除になっていない時に、「スケートをやるなんてけしからん」という自治会からPTAから山木屋のすべての人達の反対の声があるなか始まりました。なぜかというと果たして科学的な根拠ってどうなるんだろう、今の線量が有害っていうのは何年後に出るんだろう。危険だという根拠はなんだろう。そしたらスケートをやってみなさんどうぞ遊びに来て下さい、自分の責任においてですよ。そして来れば自然と山木屋と、個々に来てくれた人たちの距離が縮まってくるんですよ。もう風評被害を払拭するにはそういう体感してもらう手段しか無いのかなと、私はそう考えたんですよ。それで去年復活を考えました。


元々、このリンクは、地元スケートチームや、小中学校の体育の授業、さらに県外のお客さんで賑わっていたといいます。大内さんは、そんな賑わいが、このリンクに戻ってくることを願っています。

◆川俣町へおいで!
今年は新たな試みとして、リンクの情報を川俣町のホームページに、毎朝7時に載せるようにしたんですよ。と申しますのは、よそから11時ー12時頃に来ても氷が溶けちゃって柔らかくなって滑れなくて素戻りする人が結構いたんです。そういう気の毒なことは避けたいと思って町のホームページを利用しています。それをご覧になってきていただければいいなと思います。町は昨年から協力してくれていますから。川俣町にはシャモや山木屋太鼓もありますけど、その中で川俣町を代表するイベントに田んぼリンクがあるわけです。町は全面的に協力してくれています。


スケート場は、気候によりますが、2月上旬くらいまで。午前8時から午前10時オープン。
リンク整備協力費:大人500円、高校生以下:無料 (貸靴も無料)
利用については、川俣町のホームページでチェックできます。

明日も大内さんのお話、お届けします。

2017年1月26日

1月26日 APF通信社・山路徹が見た東日本大震災4

引き続き、震災後の福島・南相馬を継続的に取材しているジャーナリストで、APF通信代表・山路徹さんのインタビューです。

震災直後から福島県・南相馬市に通い続け、今回のインタビューの数週前にも南相馬を取材していたという山路さん。最後は、南相馬市の「いま」について伺いました。

◆南相馬の本当の復興とは
あれからまもなく6年を迎えようとしていますけど、今日まで定期的に南相馬には通っていて、桜井市長ともずっとお付き合いさせていただいていますけれども、なかなか人口が戻らなかったりとか、一度警戒区域になっちゃった小高区なんかはこないだ完全に帰ることが出来るようになったんですけど、なかなか人が帰れる状況が整わない。それはなぜかというと、当然若い世代の人達は子どももいて原発周辺に戻るのが不安だというのがありますし、戻ったところで生活を支えるインフラがまだ不十分なんですよね。ガス水道電気は通るようになりましたけど、まだ交通機関がだめだったり開いている商店が少なかったり、まだまだ時間がかかるなと思いますよね。南相馬に残った人たちの地域における結婚率も当然下がっているわけですよ。結婚率が下がると当然人口も減少していくわけで、それをどうしたらいいんだということで桜井市長はこないだ、まさに、南相馬で合コン・婚活イベントを市が主催して、少しでも出会いの場を増やして少しでも多くの家族が誕生して人口が増えることを願ったイベントをやっていたりしますが、今ひとつ前に進みきれていないことが否めないですよね。桜井市長なんかが言っている復興ってなんなのかというと、もとの南相馬に戻ることではなくて新しく生まれ変わることなんだと言っていて、その一つとしてクリーンエネルギーの導入をして原子力に頼っていた地域から、クリーンエネルギーを使った野菜の生産なんかも始まっています。あそこはやっぱり農産物が主要な産業でしたから、子どもの頃からやっぱり畑や田んぼを見て育ってきた若者たちが、あの時の景色を取り戻したいと頑張っていて。例えば畑の上に立体的に太陽光パネルを設置して、それによる売電収入と、その下では畑という。取り組みとしてはもとに戻るというより新しい技術をそこに盛り込みながら現場の雇用のために頑張っていますよね。ぼくの通っている南相馬のラーメン屋さんで、「らーめんすず」という店がありますけど、そこの店主の鈴木さんなんかも震災直後にいち早くお店をオープンさせて温かいラーメンを食べてほしいと頑張っていた一人ですけど、南相馬の未来に一番大事なのは何かというと、やっぱりそこの人の心が未来に向いて力強くもう一度歩いていけるかどうか。そのためには自分たちが今いる南相馬の自分たちが元気な姿を見せていかなきゃ、なかなか避難している人たちも戻ってこられない。そのためにはまず頑張る、よし、ここでもう一度やっていけるという自信を取り戻せるか。頑張ってやっていますよね。
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パーソナリティ 鈴村健一

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