2017年2月1日

2月1日 行健除染ネットワーク

福島県郡山市在住「行健除染(こうけんじょせん)ネットワーク」の代表、鈴木洋平さんは東日本大震災当時、二人のお子さんを、郡山市内の小中学校に通わせていました。原発事故の影響で、当初は郡山市内でも放射線量の数値が高い状態でした。学校や通学路の除染に不安を覚えた鈴木さんは、有志を募って、自らの手で除染活動を開始。また本格的な計測機器を入手して子どもたちの生活空間の放射線量を測り、随時ウェブサイトで公表する活動を始めました。現在は「地域の放射線量を測ってほしい」という依頼に応じてボランティアで測定に出かけています。この日は、全町民避難が続く、富岡町と浪江町に足を運びました。

◆富岡町〜大熊町〜浪江町と、郡山のほうからずっと来て、やはり帰還困難区域と呼ばれる地域については、車の中でも整数(2〜3マイクロシーベルト/毎時)が出るので、まだまだ放射線量は高いなあと。もちろん事故直後に比べれば下がっているが、まだまだ高いというのが実感。一方、ある町の中を測っていたが、除染の進んだ場所は0.1マイクロシーベルト/毎時を下回る数字も出て、除染をするとやはり線量は下がるなあと。逆に通り一本隔てたようなところ、たぶん除染はまだしていないだろうと思われるところでは数字はポーンと跳ね上がる。そういった場所が混在しているのが現在の状態です。

全町民避難が続く富岡町や浪江町でも、今年4月から一部地域の帰還がスタートします。浪江町ではすでに「準備宿泊」を実施。自宅やその周辺の放射線量はいま実際どんな状態なのか測ってほしいという問い合わせもあると言います。

◆「被爆しないにこしたことはない」
現在は学区内を超えて、郡山市全域、福島県内あちこちにも行っているし、福島県外でも放射線量を測ってほしいというリクエストがあればお伺いするようにしている。内容はウェブ上で公開、ほぼ毎日公開している。線量の状況は事故後に比べるとだいぶ変わったと思う。ただ、当時避難されて、いま戻ってこられた方とか、当時は結婚もされてなかった方がいまは結婚して、子どもができたという方は、いざ自分の子どもを目の前にして、放射線による影響などは大丈夫かしらという不安を持つかたも結構いらっしゃる。子どもたちが地べたに手をついて大丈夫なのか、砂遊びをさせていいんだろうかと、困っていらっしゃることもある。やはり年月は経っても、いつでもそういう情報を得ることができる環境はしばらくは必要なんだろうと思っている。
ここまで申し上げていいかどうかですが、いろんな立場の方がいて、専門家の方々もそれぞれ判断をされていて、「大丈夫」という立場、そうでないという立場があるが、双方の立場の方に共通していることは、「被爆しないにこしたことはない」という一点。その原理原則は外さないほうがいいと考えている。無用な被爆はしないという前提に立って教育をしていただくというほうが(保護者としては)受け入れることができるのではないか。またわたくしどものような活動も、本来は「必要ない」と言われたときが、一番状況が元通りに近くなったと言えるんだろうと思うが、それまでの間は続けるんだろうと考えている。


放射線の影響についての考え方は人それぞれ。問題ないと判断して、自由に外遊びをさせる親御さんもいれば、やはり不要な被爆は避けるべきと外遊びや外出を控えるご家庭も。鈴木さんは「非難や批判ではなく、とにかく考えるための情報やデータを提供したい」と活動を続けていらっしゃいます。

「行健除染ネットワーク」のサイト

2017年1月31日

1月31日 福島県川俣町の「田んぼのスケートリンク」3

引き続き、福島県川俣町の大内秀一さんのインタビューです。

福島第一原発から40キロにある川俣町の山間の、小さな集落・山木屋地区。この地区では、原発事故の影響で休止していた冬の名物「田んぼのスケートリンク」が去年復活。この冬も一般開放されています。

稲刈りを終えた田んぼと、川の澄んだ水、氷点下を下回る冬の厳しい寒さで作る天然のスケートリンク。大内さんはその復活に力を尽くし、昭和59年からずっと守り続けてきました。そして、ずっとこの土地とともに生きてきました。

◆ここでしかできない暮らし
今まで葉たばことか牧畜とか、日中と夜間の温度差を利用した花とかそういう農業主体です。私はここでしかできない、ここだからできる暮らしがしたいんです。そういうつもりで、本当だったら震災の年の4月から自然塾を立ち上げる予定だったんです。塾の名前は「自然塾 山木屋村」。それをやるつもりでおりました。そういうことができる山木屋なんです。


「自然塾」ができるほど、豊かな自然のある地域なんですね。そして、今年3月をもって、山木屋地区は避難指示が解除されます。大内さんは、準備宿泊を延長しながら、山木屋のご自宅で生活。この春以降も、この土地のために、この土地で暮らしていくと話します。

◆新しい山木屋を作る
農地と住宅周辺の除染は全て終わりました。里山の除染ということで新年度から始まるようですけど、山木屋の小学校に自然観察園が1002ヘクタールほどのものがあって、そこをモデル除染ということで新年度から始まります。ただし子どもを持つ家庭はほとんど100%いまのところは戻れません。我々のように高齢者で山木屋に戻る人、あとは山木屋を必要とする人。山木屋のトルコキキョウは日本一と言われています。気候風土がもたらすものなんです。あとは山木屋の良さを認めて戻ってくる人。それでも1300人が避難して、100人戻ってくるでしょうか。そんなもんだと思いますよ。あとは逆にですね、何人いて何人戻るかっていうのは問題じゃないんですよ。本当にここに住む人間がこの地区を必要として、この地区を大切にして生きるような地域であればいいんじゃないですか。昔も享保の大飢饉などで離れざるを得なかった人がいるんですから。これから新しい山木屋を作ればいいんです。良さを見つけて必要とする人間がいる限り、山木屋は何年かかるか分かりませんけど、必ずできると思っています。私は今現在68才になっていますからエネルギーはそこまでありませんけど、少しでもここの地区のためになればとやっていくつもりであります。
«前の記事へ || 1 | 2 | 3 |...| 397 | 398 | 399 |...| 1066 | 1067 | 1068 || 次の記事へ»

パーソナリティ 鈴村健一

メッセージ、ご意見、プレゼントご応募はこちら

特別番組 LOVE & HOPE ~10年目の春だより

TOKYO FM 特別番組 HANABI

「LOVE&HOPE~防災ハンドブック2015」PDF版ダウンロード配信中

アーカイブ

  • いのちの森
  • Support Our Kid's
  • TOKYO FM
  • JFN