2017年3月15日

3月15日 女川・いのちの教科書(3)

今週は、宮城県女川町から「1000年後の命を守るプロジェクト」のレポートです。


女川第一中学校の卒業生が取り組む「1000年後の命を守るプロジェクト」。具体的な活動内容は2つです。一つは、津波到達地点に避難を呼びかける「いのちの石碑」を建てること。そしてもう一つが、震災の経験を次の世代に伝える「いのちの教科書」の作成です。

メンバーの一人、伊藤唯さんは「あの日の光景」をいまも忘れることができないと言います。

◆みんなの成長が羨ましかった
学校から逃げる途中に津波を見てしまって、黒い波が家を飲み込んでいきました。ずっとそれが未だに離れないんですけど、毎日震災のことを思い出しては眠れず、頭痛がひどく、親にあたったり泣いてぶつかったり、ずっと長い間続きました。でも一彦先生が授業で震災のことを取り上げてそれから活動する中で、わたしはやりたいと思わなくて、どんどん活動が大きくなる中で自分は石碑とか教科書とか絶対無理だとマイナスに考えていて。それが実際に石碑が建ったりしていったのを見て感動して。一緒にやってきたみんなも成長してて、みんなすごいなと思って。それで一生けん命やってみようかなと思いはじめました。わたしは東京の大学への進学が決まっているのでみんなで集まる機会は減ってしまうけど、活動をやめるつもりは全くなくて。今まではみんなでやってきたことだけど、わたし個人としても東京で広げていけたらこの活動のことや、命の尊さを伝えることができるんじゃないかと。春から東京に出ますけど、自分個人として行動していけたらと思っています。


伊藤さんは通信制の高校に通いながら、東京のダンススクールに通っていました。そして、この春上京して大学に進学。ダンスと勉強。そして震災の経験を伝えること。夢は広がります。

◆ダンサーになるのが夢 私のダンスで笑顔になってほしい
わたしはダンサーになるのが夢。震災のときにその思いが強くなった。震災のとき笑顔が消えてしまった。人の笑顔が好きなので、笑顔がなくなるのがすごく悲しくて。わたしのダンスを見て笑顔になってほしいし、自分みたいに先が見えなくなってなにもやらずにあきらめようとしている人たちもきっといると思うので、夢を与えたいと思っている。



「女川いのちの教科書」は今回中学生版が完成。3月18日には女川フューチャーセンターで披露式も行われます。
今後は小学生版、大人用の作成にとりかかります。その活動資金、制作資金を募るため、クラウドファンディングでの呼びかけも始まりました。
「いのちの教科書」クラウドファンディングサイト

2017年3月14日

3月14日 女川・いのちの教科書(2)

今週は、宮城県女川町から「1000年後の命を守るプロジェクト」のレポートです。

女川第一中学校の卒業生が取り組む、このプロジェクト。津波到達地点に避難を呼びかける「いのちの石碑」を建てる一方、彼らが次に取り組んだのが「いのちの教科書」をつくることでした。

「1000年後の命を守る会」会長の阿部由季さんが教科書の内容を説明してくれました。

◆小学生から大人まで 段階を踏んで自然災害のことを伝える
第一章は3月11日に起こったこと、第二章はわたしたちが活動するきっかけになった社会科の授業のこと、第三章は地震と津波のしくみを説明、第四章は体験談、第五章は中学校でそれぞれが読んだ俳句、第六章がこれからについて。
最初は友達が言ったことがきっかけで教科書をつくることになりました。小学一年生で足し算とか引き算を習うから2年生で掛け算、そして割り算ができるようになる。それと同じで、段階を踏んで自然災害のことを伝えていかなきゃいけないんじゃないかと思って「いのちの教科書」も小学生版、中学生版、大人用というふうに作ろうとなりました。一応これは中学生版。記録に残して、それを自分で次の世代に語り継いでいくことが大切だと思っています。


メンバーは教科書をつくるために、女川の災害の歴史を調べたり、町の人に防災意識に関するアンケートを実施したりと大人顔負けの行動力を発揮しました。

神田七海さんもメンバーの一人です。
神田さんは震災の津波で祖父を失くしました。

◆おじいちゃんみたいに未来のために尽くしたい
震災から1週間後ぐらいにおじいちゃんの遺体がみつかりました。自宅付近の低い場所に見回りをしていて津波にのまれたと聞いています。当初は全然実感がわかなくて。でも小6でしたが、子どもながらに「おじいちゃんは人のために命を犠牲にできる人だ」と思っていたから、聞いたときはやっぱりなと。悲しかったけど、誇らしいほうが大きかったですね。
震災の後2,3年後にすごくつらくなったときがあって。自分と同じ年頃の人がたくさんなくなっているのに、自分はここにいてこんなことしていていいのかなって。一時期学校にいけなくなったり。なんでこんなことになっているの?と考えたら、震災があったからじゃん、って。でも、そこでおじいちゃんの存在は大きかったですね。人のためになにかをする心を自分の背中で見せてくれた。わたしもおじいちゃんみたいにちゃんと未来のために尽くしたいと思って。それからは自分らしくいること、未来のことを考えることができるようになりました。この活動もすごく大きい存在だったと思います。


先日高校を卒業した神田さん。この春上京して4月からは首都圏の大学に通います。そんな神田さんの「将来の夢」は?

◆自分の言葉で伝えたい
記者さんになりたい。自分の目でちゃんとものごとを見て、自分の言葉で書いて、素敵なお仕事だなと。自分が発信することでまたなにか動くかもしれないという可能性を、この会を通して知ったから。日本だけでなく海外にも伝えて言葉で伝えて、少しでも未来に伝えることに貢献していけたら。



「女川いのちの教科書」は今回中学生版が完成しました。今後は小学生版、大人用の作成を続け、ゆくゆくは全国の学校に届けたいということ。現在、この活動資金、制作資金を募るためクラウドファンディングでの呼びかけを始めています。
「いのちの教科書」クラウドファンディングサイト
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パーソナリティ 鈴村健一

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