2017年3月20日

3月20日 女川・いのちの教科書 完成!

先週お伝えしていた、震災の経験を次の世代に伝える『女川いのちの教科書』中学生版が先日完成し、18日土曜日、その披露式が行われました。

「この活動を始めて6年になりますが、自費出版という形で教科書を出版することができました。文章を形にして世の中に出す、人に読んでもらうというのが初めてなので、伝わるかな、変じゃないかな、大丈夫かなというのがすごくあります。何回も修正して、自分たちで納得いくものをこれからも話し合って語り継いでいきたいです。」
「この教科書ができたから満足、というメンバーは一人もいないと思う。災害が起きたときに犠牲者がゼロにできたというニュースが聞けたら、自分たちがやってきたことが正解だったというか、その日がゴールじゃないですけど、もっともっとよりよいものにしていきたいです。」


子どもたちから完成した教科書を受け取ったのは、女川町の須田善明町長。
そして、保護者の代表「子どもたちを支える会」会長 山下由希子さんです。

◆「来年は震災を知らない子たちが小学校へ入学してくる」須田町長
大人になったね。高校ご卒業おめでとうございます。皆さんが中学に入学する直前に震災があって。今日は小学校の卒業式がありました。彼らはあの直後に小学校に入学した子どもたち。そして来年小学校に入学する子どもたちは2011年4月以降に生まれた子どもたち。もちろんあんな経験はしたくないが、もうあれを体験していない子どもたちが学びの段階に入ってくる。こうして月日の流れはいろんなものを変えていく。でもその中でも伝え続けなければいけないものを、皆さんはあのときからずっと時間をかけて、自分たちの手で、こういうふうに一つの形を作ってくれました。これからの世代や震災のことを知らない方たちにずっとつなげていくことを大人の責任として約束させていただいて、わたしから感謝の言葉とさせていただきます。


◆「この子たちの思いが形になるのは、次の震災でいのちが救われた時」山下由希子
わたしはいま初めてこれを手にとって、言葉になりません。今年の6年目はいままでとも違って、とても苦しい6年目でした。そんなときにぶれないで前を向いている子どもたちに力をもらっています。ここまでの子供たちに育ててくれたのは女川町。保育園、小学校、中学校。女川の土と海と空気と空がこの子たちを育ててくれたと思っています。この教科書も子どもたちだけでは作れませんでした。たくさんの人たちに支えられて一冊になりました。この子たちの思いが形になるのは、教科書と石碑でいのちが救われた時だと思います。苦しいけどまた明日もきっとこの震災を背負って、抱きしめて、生きてきたものが伝えていくのが使命。支える会ですが、子どもたちに支えられて、ちょっぴり希望のある明日をみんなと生きていこうと思います。そして最後に、今日まで6年間頑張ってきた子どもたちに感謝したいと思います。ありがとうございました。




この日、塚浜と石浜で「女川いのちの石碑」の披露式が行われました。これで目標の21基中、14基が完成。


この春メンバーは高校を卒業。それぞれの進路に進みますが教科書の作成は続きます。今後は小学生版、大人用の作成にとりかかるということです。支援サイトもぜひチェックを。   
「いのちの教科書」クラウドファンディングサイト

2017年3月16日

3月16日 女川・いのちの教科書(4)

今週は、宮城県女川町から「1000年後の命を守るプロジェクト」のレポートです。

女川第一中学校の卒業生が取り組む「1000年後の命を守るプロジェクト」。「いのちの石碑」は目標21基のうち、現在12基が完成しました。また「いのちの教科書」は今回中学生版の作成が完了しました。

高校3年間だけでも、集まった回数は100回以上。その数字からも彼らの熱意が伝わってきます。

震災当時小学校6年生だったプロジェクトのメンバーは、この春高校を卒業。それぞれの思いを胸に、新たな一歩を踏み出します。

◆海上保安官になって人の役に立ちたい
山下脩です。年上だけど一緒にサッカーとかしてくれてた人が、おばあちゃんを助けに行って流されてしまって。悲しいという気持ちと、一回高台に上がったのになんで下がってしまったんだろうと。一回逃げたのにまた助けにいって亡くなってしまうと、逃げないで流されるよりさらに悲しみが増える。そういうことがこれから起きないようにいまこの活動を続けています。
進路は京都にある海上保安学校に進み海上保安官になりたいと思っています。震災のとき海上保安官ががれきの海に潜ったりしたのを見て、自分も人の役に立ちたいなと思いました。自分はいままで海に育ててもらったので、小6までずっと女川で海からの恵をもらってきたので、震災で亡くしたものもいっぱいありますが、これからも海と一緒に生きていきたいです。やっぱり海が大好きなんです。


◆お風呂に入るように「当たり前」になればいい
渡邊滉大です。1000年先なんでいつ途切れてしまうかわからないが、自分たちは生きている限りはこの活動を続けて、いまのうちに教科書を完成させて、地域、日本、世界とどんどん広げていって、当たり前になっていけば、忘れないと思う。普段の生活で風呂に入るとかは考えなくてもやろうと思う。防災に対する意識も小さいときから教科書などで学んで知識を植え付けておけば、例えば地震が起きたら高台に逃げることが一番。あとは自分だけの身を守るのではなく高齢者や障害のある方も共助していくのが当たり前になればいいと思う。
将来は建築のほうに進みたいと思っています。女川町もコンクリートの建物が倒れてしまったので、いろいろな地域で人々が災害から安心して暮らせる街づくりに貢献したいです。


海上保安官を目指すという山下脩くん。建築の勉強をして災害に強い街づくりに貢献したい という渡邊滉大君。それぞれの進路に進みながらも、この活動は“死ぬまで継続したい”と話してくれました。


「女川いのちの教科書」は今回中学生版が完成しました。今後は小学生版、大人用の作成を続け、ゆくゆくは全国の学校に届けたいということ。現在、この活動資金、制作資金を募るためクラウドファンディングでの呼びかけを始めています。
「いのちの教科書」クラウドファンディングサイト
«前の記事へ || 1 | 2 | 3 |...| 384 | 385 | 386 |...| 1066 | 1067 | 1068 || 次の記事へ»

パーソナリティ 鈴村健一

メッセージ、ご意見、プレゼントご応募はこちら

特別番組 LOVE & HOPE ~10年目の春だより

TOKYO FM 特別番組 HANABI

「LOVE&HOPE~防災ハンドブック2015」PDF版ダウンロード配信中

アーカイブ

  • いのちの森
  • Support Our Kid's
  • TOKYO FM
  • JFN