2017年3月28日

3月28日 飯舘村 綿津見神社

引き続き、福島県南相馬市小高区「相馬小高神社」の神主・多田仁彦さんの
インタビューです。

多田さんは、相馬小高神社の神主ですが、ご実家は南相馬市のお隣・福島県飯舘村で、こちらにある「綿津見(わたつみ)神社」の神職も務められており、その飯舘村から避難して現在に至ります。そして飯舘は、この3月いっぱいで、福島第一原発の事故による避難指示が「一部を除いて」、解除されます。

◆苦難を乗り越えた先祖のためにも
(※聞き手:中西哲生)
(綿津見神社に行くことはなかなか無いんですか)そんなことはなくて、両親がおりますし70才を越えてますので様子も見に行かないということで。(ご両親は飯舘村のほうに?)うちの宮司はずっと避難しないで居たんですけど、母のほうは梁川から通って、私は南相馬からということでみんなばらばらになってしまいました。(飯舘村も3月末には避難指示が解除されるという話がありますが)それに向けて動いています。神社にはお正月の参拝の方も変わらずに来ておりまして、やっぱりいなければならないなと思っています。父親の跡を継いで戻るために神主になりましたので。(何年続いているんですか)1200年ですね。(実際、飯舘村の除染の具合は)ほとんど終わってフォローアップ除染をやっている状況じゃないですかね。私も行政の人間ではないので詳しくないんですが・・・。線量の話をするとなかなかね・・・事故当時よりはかなり低くなりましたね。(でも家族で飯舘村に帰還するのはためらわれる)そうですね。やっぱり私の意思だけじゃなくて相手の意思もありますし。なんというか難しいな・・・。(ご夫婦で戻られることは考えたいけれども難しい)将来的には夫婦でも戻りたいとは思っています。(夫婦の間でもデリケートな問題ですよね)これは私や家族だけじゃなくて、みなさん色んな問題を抱えているんじゃないかと思います。(自分が生まれ育って、1200年続く神社、思い入れのある場所がそうなってしまったことについては)本当に残念の一言ですね。ただこの前にも天明の飢饉や苦難がたくさんあったと思うんです。その時に私のご先祖や神主は乗り越えてきたわけで。なんとか一筋の光でもいいから突破口を見つけてやっていきたいと今は思っていますね。(前に進んでいる印象はありますか)それはありますね。事故当初は着の身着のままで避難したわけですから。(将来はどうなっているといいですか)農業を再開できたらいいなと思いますけど、これはなかなかね。でも水耕栽培とか色々考えている方はいらっしゃるみたいで、そういうんだといいなと思いますね。(逆に我々ラジオの前の人間が出来ることは)忘れないで、教訓として、見守っていただければと思います。


3月31日から4月1日にかけて、飯舘村、浪江町、富岡町、川俣町山木屋地区が避難指示解除となります。復興庁の調査によれば、飯舘村は比較的「戻りたい」と考えている住民が多いようですが、とはいえ3割ほどです。一方、浪江や富岡は、「戻らないと決めている」という方が5割を越えています。

2017年3月27日

3月27日 南相馬市 相馬小高神社

今朝は、福島県南相馬市小高区「相馬小高神社」からのレポートです。

相馬小高神社。国の無形文化財でもある「相馬野馬追」という甲冑姿の武者と馬による神事は番組で何度も紹介してますが。その野馬追の舞台の一つとしても知られています。鎌倉から江戸時代にかけてこの地域を治めていた大名のお城のあとに、鎮座した神社です。

そんな小高神社の神主が、多田仁彦さん。


神社のある南相馬市小高区は、福島第一原発の事故による避難指示が解除され、8ヶ月が経過していますが、いま、神社は、そして地域はどんな状況なのでしょうか。

◆避難解除から8ヶ月
7月に小高地区は避難解除になったんですが、やっぱり新しい建物が立ったり人の行き来が少し活発になってきたなという印象はあります。ただ帰還した住民はまだ少ないので夜になると真っ暗で寂しさを感じるところはある。(お店などは?)魚屋、食堂のラーメン店や寿司店はあるしコンビニも徐々に開いてきている。ただ夜になるといないので、そのあたりはもうちょっと時間をかけてだと思うんですけど。(夜になると人がいないというのは、昼間はこちらに戻ってくるが夜はまた避難先に戻るということですか)そうです。夜は避難先の原町や鹿島に帰って、昼間は家の手入れをされたりとか。あとは除染作業や復興作業をしている方々が昼間はたくさんいらっしゃっているので。(実際、線量などで不安な部分は)最初はかなり気にしていたんですけど、最近はあまり気にならなくなったというか慣れちゃったんでね。まずは居住空間が先だということで住宅などは除染は終わっていまして、農地ももうそろそろ終わりに近づいています。課題は森なんですね。森はかなり線量が高いと言われていますので、その点に関しては国や自治体がやることなので。(ただずっとこの場所にいることに意味があると思ってらっしゃるんですよね)よく言われるんですが神社はこころのよりどころと言われますが、本当に戻ってきた方がみなさん参拝に来られて、ここは桜の名所なので一面に桜が咲きますが、その桜にも手を合わせてくれるんですね。そういう(神社としての)使命感が震災後に強くなりましたね。(実際このあたりに住んでらっしゃる若い方々は戻ってきている印象はありますか)子どもさんや学校の問題があるのでなかなか難しい面があるんじゃないかと思いますね。戻ってきたという話はあまり聞かないですね。(復興庁の調べだと15%くらいしか戻らないんじゃないかという話もありますが)それをこれからどうしていくか。神社としても地域の人と協力して交流人口を増やしたり、人の出入りを増やして活性化させて補うしかないんじゃないかと思いますね。そのあとおいおい、人が住んでいくような形になればいいと思います。


この相馬小高神社、桜の名所としても知られているということです。(福島の桜の開花は4月上旬だそうです)

また、多田神主は、同じく福島県飯舘村にある神社の神職も務めています。明日は、まさにこの春に避難指示が解除されることになる飯舘村の「いま」についてお伝えします。
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パーソナリティ 鈴村健一

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