2017年4月4日

4月4日 ISHINOMAKI2.0 松村豪太2

引き続き中西哲生が取材した、宮城県石巻市の町づくり団体「ISHINOMAKI2.0」の「いま」お伝えします。

震災直後に立ち上がった、地元の若い世代・ボランティアによるISHINOMAKI2.0。“世界一面白い町”を目指し、次々と新しいプロジェクトを生み出しています。中でも2.0が今、力を入れているのが「ローカルベンチャー」の後押しです。ISHINOMAKI2.0代表・松村豪太さんに伺いました。

◆ローカルベンチャーが地元の雇用を生む
(※聞き手:中西哲生>
「ローカルベンチャー」というキーワードが最近言われている。地方ですき間産業でなおかつ高度な、今までにないアイデアで事業を興す・・・というのがローカルベンチャーの発想。石巻はそういうことにチャレンジできる場所だよという風に外に発信して、もっとチャレンジしたい人がこの町に来られるように、あるいはすでにここで活躍している人をもっと外に発信して彼らがもっと稼げる、活躍できる状態を作るということを、とうとう我々は石巻市・行政とタッグを組んでチャレンジャーが来やすい状況を作ろうとしています。実際にいくつか可能性のあるローカルベンチャー的な取り組みが生まれて活躍していますね。代表的なものだと、僕ら石巻2.0の仲間が元寿司職人で二代目の若旦那なんですが、家具メーカーを立ち上げちゃって。それは「石巻工房」というものなんですけど、六本木のIT企業のオフィスを丸々任せられたり。けっしてそれは被災地の応援ということではなくデザインの面白さや質の高さから声がかかって、海外進出も積極的にしているみたいですね。他にもIT研究開発をする教育機関の「イトナブ」というチームがここ(IRORI)のすぐ裏にあって、そこは小学生にアプリのつくり方を教えています。これも5年目なので、当時小学校高学年だった子が高校入学しだしていて、彼らのスキルもメキメキ伸びていて、彼らをいまイトナブはアメリカの西海岸に連れて行ってたり、そういうこともやっていますね。あとは例えばYahoo!が最初は被災地支援として復興ベースという拠点を置いたんですが、今では被災地支援というところを離れて、新しいことを始めています。サイクルツーリズムということで石巻を自転車の町にしようとたくさんの人を連れて来たり、あとはカッコいい漁師を作っていこうという「フィッシャーマンジャパン」という活動を後押ししたり、そういうITの主体も石巻には大事なプレイヤー、仲間として参加してもらっていますね。(今までは企業を誘致して、企業の方々に、座る“椅子”を作ってもらう…というのが主流だったと思うんですけど、石巻2.0や松村さんは、自分たちで“座る椅子”を作っている感覚があります)その表現を使わせて頂きます(笑>まさに新しい価値を生める状態を一緒に作っていきたいと思っています。企業や工場の誘致ではなく人の誘致という呼び方をしています。面白い人や変な人、新しいことを楽しめる人がこの町を選んで、この通りを歩いてくれる状態を作ると、仕事も単に人が移動してきたという量の問題ではなく質として作れると思いますし、そういう人の椅子をこれから一緒に作っていきたいですね。



ちなみに、ISHINOMAKI2.0の「2.0」は、文字通り町を“バージョンアップする”という意味。アメリカ西海岸…つまりシリコンバレーに地元高校生を連れていく!なんて企画まで実現しているこの町では、町そのものだけでなく人もバージョンアップを続けている印象がありました。

また、お話に出た家具メーカー石巻工房は4月6日(木)から東京渋谷ヒカリエのD47ミュージアムの企画展にも商品を出展予定だということです。

明日も中西哲生の石巻レポートです。

2017年4月3日

4月3日 ISHINOMAKI2.0 松村豪太1

今週は、中西哲生が、宮城県石巻市の町づくり団体「ISHINOMAKI2.0」を取材した模様、お伝えします。

ISHINOMAKI2.0は、震災直後の石巻で、地元の若い世代・ボランティアで町にやってきた人たちが立ち上げた団体です。津波ですべてが流された町を、ただ再生させるのではなく、“世界一面白い町にしよう”…という目標を掲げ、様々な企画を生み出しています。そして番組では、2011年からこの団体を取材しています。震災から6年。中西哲生は久しぶりに 代表の松村豪太さんと再会。場所は彼らの活動拠点「IRORI」。石巻のメイン通りに面したこの場所も、さらに進化していました。


◆ 人が集まり、新しいモノが生まれる場所
(※聞き手:中西哲生)
(石巻2.0の事務所だった場所が、カフェに変わりましたね。)2011年冬にガレージを手作りで回収して、何かモノが生まれる、集まれる場所ということで「irori」は誕生したんですけど、もっと多くの人に開いていきたいなということで倍の広さになって。使い方としてはカフェやコワーキングスペースというレッテルを張らずに、自由に使える場所、でも快適に使える場所として生まれ変わりました。(コーヒーもおいしそうですね) 一杯一杯ハンドドリップで淹れて。やっぱり町が変わっていくには美味しいコーヒーが必要だよねということで、新しいiroriの中核の部分ですね。(この場所に来て思うのは、人が色々交流できる場だなと)理由がなくても来てもらえることが大事だなと思っていまして、今ではランドセルを背負って、変わったお兄ちゃんお姉ちゃんにちょっかいしたり、コーヒーを飲むお金はないので「水ちょうだい」と水をここで飲んでいったり(笑) あとはミーティングに使ってもらうのも大歓迎で、作戦会議とかプロジェクト、何かをやってみたいという人の話す場にも使ってもらっています。



IRORIは、ISHINOMAKI2.0から生まれた「石巻工房」という、木製家具メーカーのテーブルや椅子が使われ、ウッディでとっても素敵な空間。
カフェと、時間制/月ぎめのミーティングスペースやシェアオフィスも併設しています。また、ISHINOMAKI2.0から生まれた別の会社や プロジェクトもオフィスとして活用しています。そしてまた、町を”世界一楽しくする”アイデアが生まれていくわけです。
一方、町全体の復興はどうなのでしょうか。

◆ボランティアから移住へ
(現在の石巻中心部の復興状況は)ハード面、土木インフラはできてきています。近くに新しい橋がかけられている途中ですし堤防も作られつつあります。でも人々の普通の生活は、仮設住宅にもまだ3分の1の人が残っていて、まだ2011年から動き出せていない人がかなりいるんだろうなというところはありますね。(震災後に訪れた方と元々暮らしている人たちの交流は)石巻市だけで最初の1年で28万人のボランティアが来ている。その方たちはすっかり離れてしまったわけではなくて、継続的に交流しに訪れてくれたり、あとはボランティアからそのまま移住しちゃった若者が相当数いるんです。これは住民票などで調べるのは難しいんですが、肌感覚のリサーチでは200〜300人はいるんじゃないかなと思っています。ある人は仲間と一緒に手作りでクオリティの高いレストランをオープンさせたり、被災した大漁旗を材料にしたアパレルブランドを立ち上げたりとか、多様な、素敵な暮らし方をしている人たちがいて、その人たちが町の方たちと良い関係性を作っているなと感じますね。


明日もISHINOMAKI2.0 代表松村豪太さんのお話です。
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パーソナリティ 鈴村健一

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