2019年12月18日

大熊町の放牧農地「もーもーガーデン」?

今なお町内の大部分が避難指示区域となっている福島県大熊町で、放牧農地「もーもーガーデン」を運営する、「ふるさとと心を守る友の会」代表、谷咲月さん。



谷さんは2011年から大熊町との関わりを続け、現在、町内の避難指示区域の中に、放牧農地「もーもーガーデン」を開設。畜産農家が置いていくしかなかった牛たちを、同じく耕作を放棄するしかなかった農地に放牧。牛を生かし農地を保全する、という取り組みを続けています。

大熊町の避難指示区域にある「もーもーガーデン」ですが、周辺の放射線量は下がってきた、また、草を食む牛の糞からは高い線量が出ない、ということも話していました。

現在は支援者たちに協力をしてもらいながら、11頭の牛たち(草刈り隊のモーモーイレブン)たちが、60枚以上の農地に放牧され、雑草を食べるなど農地の保全につとめています。



ご覧のように牛を話した農地は、荒れ放題だったのがウソのようにきれいに整地されています。

そんな「もーもーガーデン」、現在の課題についても、伺ってみました。


◆「問題はエサ不足」

「すっごい1日60キロ1頭あたり食べるんですけど、こんな田んぼ一枚すぐぺろっと食べちゃうんですね。だから最初田んぼ一枚から始めたんですけど、もう翌日にはないんですよ。柵つくって入れたらもうなくて、“えっ、もう食べたの”みたいな。じゃあ2枚目って広げて、現在60枚分以上は広げて来てるんですけど、やっぱり依頼があるんですね。ウチのも荒れちゃっててと・・・10メートル以上の木がいっぱい生えてて森になってるんですね。そ、それを牛たちが、木も倒して、その上の葉っぱが食べたいから。きれいに整地してくれて、農地の状態に戻してくれるんですね。で、口コミで広がって依頼がどんどん増えて、農地を拡大してきたんですけど、課題に関しては、エサがやっぱり足りないと。もっと広い範囲の草、それを持ってくる仕組みを作らなきゃいけなくて、そこが制度的な部分とか、やっぱりすごいハードルがあるので、そこがやっぱり厳しいなと思います。ココ草刈ってるけどそれは中間貯蔵に持ってかなきゃいけないとか、焼却施設持ってかなきゃいけないとか、なかなか頂けなくて草を。だから自分で刈って、それを持ってくるっていう仕組みを作りたいんですけど、そこの部分には行政の協力がとても必要で、そこの部分が課題だなと思ってます。あ、お金ももちろんですよね。ウチのホームページに牛の里親さんを募集してます。あとサポーターだったりとか募集してるので、そちらでご協力を頂けたら嬉しいです。」





大熊をはじめ周辺の町村の刈り取った草は、基本的に中間貯蔵施設に運ばれていく。それを飼料用に使うには行政の協力が不可欠で、そこには高い壁があるといいます。とくにこれから冬で農地の雑草も少なくなっていくなかエサ不足は牛にとって死活問題です。

そうしたエサの購入資金等を得るために、現在、谷さんの「もーもーガーデン」では、里親やサポーターなど、活動の支援も募っています。詳しくはこちらのオフィシャルサイトに掲載されていますので、ぜひご覧になってみてください。

2019年12月17日

大熊町の放牧農地「もーもーガーデン」?



今なお町内の大部分が避難指示区域となっている、福島県大熊町で、放牧農地「もーもーガーデン」を運営する、「ふるさとと心を守る友の会」代表、谷咲月さん。谷さんは2011年、原発事故の影響で避難指示区域となった大熊町で、畜産農家が置いていくしかなかった牛たちを世話するボランティアに参加。次々と牛たちが餓死して、農地が雑草で荒れ放題になっていく中、大熊町との関わりを続け、そして農地を柵で囲って牛を放牧し、牛を生かし農地を保全する「もーもーガーデン」の取り組みに行きつきました。じつは谷さん、それまでの東京での生活を捨て、隣町のコンビニでバイトをしながら、なおもこの活動を続けています。

福島第一原発が立地する避難指示区域の町で、住む人もなく、放射線量の不安もあるなか、何が谷さんをかりたてのか、ここまでの経緯について伺いました。


◆「迷いは・・・」

「最初は私、農家でも何でもないので、牛の命を助けて欲しいという農家からの依頼で入ってました。4月22日に警戒区域に設定されたんですけど、完全には入れなくなっちゃってっていう状況で、電気が無い、電気が無いと水も供給されないんですよ。で、水が無くて、ポリタンクで川から水を運んで、上げても上げてもぜんぜん足りないんですね。牛って1日当たり40リットルは飲むんですね。もうどんだけやっても砂漠の中の水一滴でぜんぜん足りなくて、で、エサも運び込むけどそんなのぜんぜん足りないわけですよ。エサ不足、その前に水が無いから、みんなバタバタ死んでいって、農家さんたちはすっごいすっごい苦しんでて、それ見るのがこっちも苦しいので、何とか助けられないかってことで、それでやってく中で、牛が離れて逃げたのがいるっていうのを知って、で、農家さん達と一緒に「一時帰宅」とかで探して、そしたら牛のいるところだけ本当にきれいなんですよ。夏ぐらいになると草がぶわーってなるじゃないですか。もうその時から荒れ始めてるんですけど、牛がいたところだけ本当にきれいになってて、なんか雑草をこんなに喜んで食べてるんだっていうのが分かって、それで、農家の人たちが自分の農地を見ると荒れてて、それを見て農家さんたち泣いてるんですね。それでその二つがつながって、“あ、これで解決するんだ”って思って、どんどん広げてきた感じですね。迷い・・・無かったわけじゃないと思いますけど、あまり覚えてないというかもう必死で毎日が無我夢中で何も考えてる余裕なくて・・・(笑)」



こう笑いながら話す谷さん。死んでいく牛たちや荒れていく農地に胸を痛める人たちを放っておけなかった・・・理由は本当にその一点だけだったのかもしれませんが、それを今なお(バイトまでしながら)続けているというのは、凄まじい熱意というほかありません。

現在「もーもーガーデン」では、活動の支援も募っています。詳しくはこちらのオフィシャルサイトをぜひご覧ください。


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パーソナリティ 鈴村健一

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