2017年5月4日

5月4日 南阿蘇村 地獄温泉の今(4)


今週は 熊本地震により大きな被害を受けた南阿蘇村から、ある温泉宿の「再起にかける想い」をお伝えしています。
お話を伺ったのは、阿蘇の南山麓で二百年以上にわたり、湯治の湯として愛されてきた「地獄温泉 清風荘」の代表、河津誠さん。旅館は熊本震災と、豪雨による土砂災害で今も復旧困難な状況が続いています。

しかし、「地震はマイナスばかりではない」「南阿蘇村の人々は、観光復興への想いと共に、力強く固まりつつある」と河津さんは語ります。

◆「元気なところも、動けないところも、両方知ってもらいたい」
マイナスばかりじゃないんですよね、同じ村にいても疎遠だった人も、この地震のおかげでものすごい近くなって、南阿蘇盛り上げていこう!と今までなかったことが出来てますし。名前が長いんですが「南阿蘇村観光復興プロジェクト交流協議会」というのをつくっています。これは地獄温泉・垂玉温泉の2軒が手をあげさせてもらって、今100社が参加しています。この南阿蘇村でもいろんな立場があるんですよ。全然前と変わらない生活が出来ている人と、ちょっと被害を受けている人と、全くうちみたいに動けない人と。そうすると気持ちがどんどん離れていくんですよね、それでもまだ離れきってはいないのでとりあえず手が触れる位置まで近寄ってみましょう、集まってみましょうという作業が1つ。若い人材、リーダーを育てようというのが一つ。40歳以下の若いリーダーが自由に話せる場所を作ってあげて今まで知らなかった南阿蘇の引き出しをいっぱい開けてもらって、今まで埃かぶってたけどこれ磨けそうだね、というのを見つけてもらうというのが1つ。もう1つがモノづくりに対しても提案しましょう、という3つを掲げて頑張っているところです。ペンションのオーナーですけど地震があってこの協議会で知り合って、その方も土地ごと全部ぶっ壊されて、九州第一号のペンションですけど解体され、うちと同じく時が止まっている方など、時が止まった5人ぐらいがめちゃめちゃにやられて自分のことに手がつけられないメンバー5人で執行部を作って、どんなに自分のところにピカピカなもの建てたって村にお客さんが戻ってきてなければつぶれますよね、と。じゃ今は南阿蘇の元気なところをさらに元気にしてどんどん注目してもらうとか、真実を知ってもらう。めちゃくちゃにやられて動けないところも、元気なところも両方知ってもらうことをやりましょう、と進めているところです。一年目の目標はとにかくイベントをやろうと。そこに少しずつ共感するクリエイターさんやプロデューサーとかが無償でお手伝いいただいて、そういう支えがあって1000人ぐらいの集まりを開催しようと思っています。


被災した旅館やペンションなどでつくる「南阿蘇村観光復興プロジェクト交流協議会」主催で熊本地震から1年目の4月16日、地元の中学校体育館で復興イベントが行われました。まずは地元の人の心をつなげたい、と開催されたこのイベント。来年も4月16日に開催したいと河津さんは話しています。

南阿蘇村観光復興プロジェクト交流協議会 Facebookページ

2017年5月3日

5月3日 南阿蘇村 地獄温泉の今(3)

今週は 熊本地震により大きな被害を受けた南阿蘇村から、200年の歴史ある温泉宿の「再起にかける想い」をお伝えしています。

阿蘇五岳の一つ、鳥帽子岳に湧く「地獄温泉」。古くから湯治場として栄えてきた【清風荘】では、湯船の底からボコボコと源泉が湧き出すなど3つの源泉を楽しむことができる人気の宿でした。しかし、昨年4月の地震で周囲の山が崩れ道が閉ざされ帰宅困難なエリアに。また6月の豪雨で旅館に土石流が押し寄せ、1年が経った今もほとんど手つかずのままです。

阿蘇山麓で200年を超す歴史をつなぐ「清風荘」。
2重の災害にもめげず、“2年計画”で旅館の再建を目指します。

◆「過去200年の歴史と、これから200年先の未来をつなぐ」
8月には解体作業を始めて、それが始まれば生き残った1つの温泉の営業をはじめます。これも道路の修理が進んで車で自由に来れるようにならないと無理ですけどね。それがうまく進めばこんどは来たお客様のためにお食事を出す場所を作る。それをふまえた上で2年目に宿泊施設を少しずつ直していく2年計画ですね。この130年の本館の修理も含めてです。地震で倒れそうになってますので、いっぺん裸にして立て直す必要があります。壊して新しく建てれば安く済むんですけど、2度と取り戻せない歴史がありますので丁寧に解体しながら材料しっかりとって復元します。せっかくなら昭和の後継ぎ達が、その時流行りのサッシにしてしまったのを木の窓に戻したり、お得意さんがこの建物大好きなのでそのお得意さんが、さらに古くなったね!みたいな感じにしようかなと思ってます。本館がギリギリ土石流本体にかからないでいてくれたことが奇跡的にこれを活かそうと思うもとになってます。(諦めちゃう方が楽かな?とこの状況見ると思うんですけど・・)そこはありがたいことに、気持ちの納め方は、血でつながった感覚なんでしょうけど二百十数年やってますんで、僕の立っている位置の過去は213年あるんですね、立ってる次の責任は次の213年にあるわけです。420−430年のスパンで考えると、こういう事はあるということに心をおさめるんです。諦める理由は何もないということになります。ここの歴史は神話レベルからあります。ただ二百何年と言っているのは書き物に残っている年号の一番古いものが江戸の末期です。それを考えるとやめる理由はないわけです。過去の人たちもこういうことにあってますし、実際に母も昭和28年の熊本大水害があってその時もここ本館1階土石流にのまれています。それも立ち直ってますからね。


LOVE&HOPE、明日も河津誠さんが語る、南阿蘇村の今をお伝えします。

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パーソナリティ 鈴村健一

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