2017年5月8日

5月8日 3.11後の霊体験を聞く(1)

今週はノンフィクション作家、奥野修司さんのインタビューです。

東日本大震災では、死者、行方不明者が1万8000人以上に上りました。そんな東北で、失くした家族を身近に感じるといういわゆる「霊体験」を取材しまとめたのが、奥野さんの著書「魂でもいいから、そばにいて 3.11後の霊体験を聞く」です。
奥野さんは大宅壮一(おおやそういち)ノンフィクション賞など、数々のノンフィクションを手がけてきたベテラン。当初、この取材にあまり乗り気ではなかったといいます。ノンフィクション作家として、これまで「事実の検証や客観性」にこだわってきたからです。そんな奥野さんが、それでも「東北の被災地の霊体験」を取材しようと思ったきっかけを伺いました。

◆魂がそばにいて自分を見られている感覚
2012年当時、東北被災地の各地にお化けが出るという噂がたくさんあり、それを取材してみないかといった話があったんです、石巻に津波で流されたおじいちゃんの霊が出ると聞いたおばあちゃんが、夫の霊がでてくれるなら会いたいといって、じっと十字路で待っているという話があり、その話にすごく感動して、幽霊じゃなくて霊体験を一つのきっかけとして、亡くなった方と生き残った方の霊体験の物語を書いてみたいと思って取材をスタートさせました。
例えば石巻の遠藤さんは、一番可愛がっていた3歳のお子さんを津波で流された。亡くなったことが受け入れられず、普通は骨になって49日過ぎたら納骨するわけだが、なかなか納骨できない。納骨すると縁が切れてしまうように感じて、そういう状態が続いていた。震災の後、もう一人お子さんが生まれて、しっかりしなきゃと思ったときに、食事をしているときに、仏壇の前に(津波で)亡くなった子どもが座っている気持ちがしたと。それで、頭の中で「おもちゃを動かしてほしい」と思ったら、動いたという。遠藤さんはそれまですごく落ち込んで、生きるか死ぬかという瀬戸際の状況だったときに、「(失くした子どもに)見られている」という感覚、魂の存在を感じ、魂がそばにいて自分たちを見ていると感じたら、亡くなった子どものために、自分がしっかりしないといけないと生きる希望が湧いてきたという。亡くなった人と霊体験した人の間に物語があれば、霊体験は全然怖くないんですね。子どもや奥さんや旦那さんが出てきても、怖くないどころか、むしろ何度も出てきてほしい、とおっしゃるんです。


ノンフィクション作家、奥野修司さんの「魂でもいいから、そばにて 3.11後の霊体験を聞く」。津波で亡くした家族の霊体験を取材しまとめた本です。
この本の中には、お話に出てきた遠藤さんのエピソードなど、16人の方たちの「不思議」としか言えないような霊体験が綴られています。

2017年5月5日

5月5日 阿蘇「森のレンガ館」

今朝は熊本県、阿蘇山を望む高森町の宿「森のレンガ館」のレポートです。

風光明媚な阿蘇山周辺訪れる観光客に人気のあった「森のレンガ館」。去年起きた熊本地震では建物への被害はなかったものの、道路や鉄道の寸断や風評もあって客足が途絶えたまま。熊本地震から1年余り。オーナーの谷口雅裕さんに、現在の状況について伺いました。

◆「予想以上に客足は遠のいている」
あんまりよくない状態ですね。昨年は「ふっこう割」が起爆剤となって一時予想以上に良く年末まではお越し頂いていたんですけど、今年に入ったらひじょうによくない状態が続いてますね。それは予想してたんですけどふっこう割が無くなって落ちるだろうなと思っていたら、予想以上に客足は遠のいている感じですね。やっぱり開通した道が2本、ミルクロードと俵山とありますけどどっちも山道ですので。あと不評なのがナビで来られるお客様が多いのですので、迷われるんです。橋が落ちた立野地区まで行かれて、ナビはそっちに誘導しちゃうもんですから。それで「いま立野に居るんですけどどうしたらいいですか?」っていう電話が結構かかってきますね。やっぱり道がないというのがいちばんネックになってますね。


大動脈である国道57号線は不通のままですが、俵山トンネルが去年末に開通して、熊本空港や熊本市からのアクセスはかなり改善しています。それでもふっこう割が終わってから客足は激減のようです。

4部屋のみの小さな宿で、行き届いたおもてなしが自慢という「森のレンガ館」。

ちょうど草原や周辺の森も青々と色づいて、最高の観光シーズンを迎えている阿蘇。この場所の魅力と「森のレンガ館」の楽しみについて伺いました。

◆「赤牛のシャトーブリアンを安く提供できる強み」
草原の緑と山の空気ですね。「凛とした空気」ってよく言うじゃないですか?ああいうのを肌で感じられると思うんですけどね。たとえば今からでしたら「青の時間」というのがあります。青いんです。外が。そういう時間が夕方にあるんです。とにかく他にはない景色がいちばんの売りだと思うんですけど、その中でゆっくりして頂いて、うちではなるべく美味しい料理を召し上がって頂くっていうのがいちばんいいかなと思うんですけど。地元の食材が安く手に入りますし、赤牛はシャトーブリアンを使ってるんですけど、やっぱちょっとお高いんですけど、宿屋なので安く提供できるっていう強みもありますね。



このGWは盛況だった「森のレンガ館」ですが、この先も客足が戻るかどうかは分かりません。熊本地震からここまで、そしてこれからについて谷口さんの思いを聞きました。

◆「全壊のペンションに比べたら悲観的になっちゃいけない」
正直、自然のものだったのでなるようにしかならないなっていう、割と悲観的にならないようにっていう感じではあります。ほかのペンションとかもじっさいひどい状態だったんで。それに比べたらウチなんかぜんぜん被害無いようなものだったんで。全壊のペンションもたくさんありますのでね。悲観的になっちゃいけないな!っていう感覚ではいました。もちろん大変は大変なんですけどね。だから正直、阿蘇はたくさんファンがいて頂けるところですので、あんまり心配はしてません。道さえつながればまた来て頂けるかなとは思ってますので。


「道さえ戻れば・・・」という期待は、阿蘇周辺の事業者、住民、皆の願いでもあるはずです。夏ごろには「長陽大橋」が開通の予定。阿蘇山の北側を通るルートがもう一つ増える見込みです。



くつろぎと料理の宿「森のレンガ館」公式サイト
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パーソナリティ 鈴村健一

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