2017年5月31日

5月31日 「たたみかた −福島特集−」3


今週は、雑誌「たたみかた」の編集長、三根かよこさんのインタビューです。
雑誌「たたみかた」は、「30代のための新しい社会文芸誌」。創刊号のテーマは「福島」です。
クリエイターや起業家、哲学者、僧侶と、執筆陣はバラエティ豊か。デジタルメディア「BussFeed Japan」の記者、石戸諭さんは「言葉を探している」というタイトルで編集長の三根さんと対談しています。

◆「あなたはどう思う?」
石戸諭さんの記事は「みんな言葉がないというが、僕は言葉を探さなきゃいけないと思う」とおっしゃっていて。まさにわたしは震災から6年間言葉を探していた。自分が「この件について話す言葉や文脈がない」ということを生まれて初めて経験して、迷って、言葉を探して、編むという活動をして、まさにこの「たたみかた」ができたということがある。石戸さんの「言葉を探している」というのは、「自分が話していることや考えていることは、実は人の言葉ということがありませんか」いう問いでもある。普段自分が話したり、考えたりを話そうとしたとき、誰かの言葉だったり考えだったりに自分が憑依しちゃうことってあると思う。自分の純粋な言葉って意外と少ない。その言葉をわたしも探していきたい。わたしの二つの目から見えているもの、聞いたことしか自分は語れないんだということに立ち返ることの大切さを、まさに石戸さんから教わったこと。

この雑誌で一貫して問いたいことは一つ。それは「あなたはどう思う?」この雑誌に「答え」や「主張」があるわけではなく、主義があるわけでもなく、わたしはわたしの主張しか語れないが、読んでいるあなたはなにを思ったか、なにを考えたかと聞いてみたいというのがあって。世の中でいろいろななことが起こっていると思ったときに、自分がそれをどう見ているのか、心はどんなことを言っているかを聞こうよ、というのがひとつの提案。だから、一人ひとりの言葉を頭からお尻まで全部読んだときに、自分の心の中に沸き立つものや言葉を発見してもらいたいなと思っている。


『LOVE&HOPE』明日も、三根かよこさんのインタビューをお届けします。

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2017年5月30日

5月30日 「たたみかた −福島特集−」2

今週は、雑誌「たたみかた」の編集長、三根かよこさんのインタビューです。

三根さんが創刊した雑誌「たたみかた」のコンセプトは、「30代のための新しい社会文芸誌」。三根さんは、創刊号のテーマに「福島」を選びました。
創刊号の巻頭には、福島県いわき市の小松理虔さんのエッセイを掲載。タイトルは「千円の大トロ」です。

◆「千円の大トロ」
小松理虔さんに関しては、震災から3年ぐらいたったとき、ようやく東北の地にはじめて足を踏み入れたときに迎えてくれた人。小松さんは6年間に渡って、福島だけでなく東京などでも福島のことをずっと語ってこられた方で、すごいこの人の話は安心して聴いてよさそうだな、という兄貴のような人。その方が6年越しで見出した答えが「千円の大トロ」というエッセイに詰まっていると思う。「千円の大トロ」は端的にいうと、福島のことを考えろとか、福島のものを食えとか俺は言わないけど、あなたの日常の足元を問い直してみると福島につながるかもね、ということを伝えているエッセイ。いつも食べているランチとかに福島のコメが入っているかも、電気は福島で作られているかも、というように東京の人が「あ、わたし福島とつながっているかもしれない」と、福島とのつながりを自然に見出すために自分の日常を問い直してみることは誰でもいつでも今日からできること。なので、創刊した雑誌「たたみかた」の巻頭に持ってきたいと思ったエッセイのひとつでした。


また雑誌「たたみかた」には、清水公太さんなどITや医療の分野で東北と関わる、3人の男性の鼎談も掲載。それぞれ出身は福島、横浜、そして千葉。話題は「支援の在り方」や「地域の自立」に及びます。

◆「よそ者だった僕らの視点」
「たたみかた」の中で、「よそ者だった僕らの視点」という鼎談があるが、これはまさに東京から福島や宮城に支援にいった人たちが、なにを思っていたのかを棚卸ししてもらおうかなと思ってたてた企画。誰がを助けたい、とか一丸となってなにかと挑むとき、人は「ひとくくり」になったほうが「団が組みやすい」という側面があるけれ、団になったゆえに、微細な声が見えにくくなってしまうということをこの3人から教わったと思っていて。例えば同じ津波を経験した人たちでも、それぞれの経験は全く違ったもので。それをどう6年間で自分の言葉として落とし込むとか、言葉にさえならないとか、いろんな状態があるというのが見えなくなってしまっている。「一つの地域としてどう考えるのか」という視点と、「地域の中の解像度をより高めたときにどういう声が存在しているのか」を両方見ることが必要なんじゃないか。これが、この3人が経験から語れた言葉なのかなと思いますね。


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パーソナリティ 鈴村健一

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