2019年12月24日
「巨大台風の教訓を活かすために」片田敏孝さん-2-
今週は「巨大台風の教訓を活かすために」。2つの大災害から、防災・減災のヒントを探ろうというシリーズです。
お話は、東京大学特任教授、片田敏孝先生。今日は、東京の江東5区(墨田区・江東区・足立区・葛飾区・江戸川区)の広域避難に関するお話です。
◆広域避難には3日前から行動を
江戸川区をはじめとする東京の江東5区には250万人を超える方々がお住まいで、いずれもゼロメートル地帯。ゼロメートルというと海抜ゼロメートルのように聞こえますが、実は海抜より5メートルも10メートルも低いところに250万人の人が住んでいるわけです。海面があって、堤防という薄皮一枚で守られて、それよりも低いところに250万人が集まり住んでいるという状態です。
堤防というのは、一か所でも切れたら堤防全体が機能しません。海の高さと同じになるまで容赦なく水が入って、そして台風が去ってもその水は海の高さと同じだから引きません。これをドライにするためには2週間も3週間もかかる。そこに取り残されるとどうなるか。エアコンはきかない、トイレは使えない、冷蔵庫のものは腐り始める。そういった地域にたくさんの方が取り残されたら、それ自体が災害になってしまいます。
こうなってくると「広域避難」が重要になってきます。仮に250万人の方が域外に避難するとなると、どれだけの日数がかかるかをシュミレーションしてみましたが、3日かかります。避難の情報で一挙に人が動きはじめると考えると、皆が橋を利用するので、橋がボトルネックとなってありとあらゆる道が人と車で埋め尽くされて身動きがとれなくなる。雨風も強い、堤防も危ないという状況の中で“その時”を迎えたら、膨大な数の犠牲者が出てしまう。だからその可能性(巨大台風や洪水の危険性)があるとわかったら、3日ぐらい前から動いていただかないとどうにもならないというのが、江東5区のとても難しい状況です。
台風19号では各交通機関が早めに計画運休を発表しました。交通機関がストップすると広域避難をすることもできなくなります。また今回のように被害が広範囲に渡る場合「どこまで避難すればいいんだ!」という疑問も・・
片田さんは、「江東5区の広域避難については、もはや一地域の課題というより、国が考えるべき重要な問題」とも話していました。
片田敏孝さん、明日は「高齢者など配慮が必要な方たちの避難について」のお話です。
お話は、東京大学特任教授、片田敏孝先生。今日は、東京の江東5区(墨田区・江東区・足立区・葛飾区・江戸川区)の広域避難に関するお話です。
◆広域避難には3日前から行動を
江戸川区をはじめとする東京の江東5区には250万人を超える方々がお住まいで、いずれもゼロメートル地帯。ゼロメートルというと海抜ゼロメートルのように聞こえますが、実は海抜より5メートルも10メートルも低いところに250万人の人が住んでいるわけです。海面があって、堤防という薄皮一枚で守られて、それよりも低いところに250万人が集まり住んでいるという状態です。
堤防というのは、一か所でも切れたら堤防全体が機能しません。海の高さと同じになるまで容赦なく水が入って、そして台風が去ってもその水は海の高さと同じだから引きません。これをドライにするためには2週間も3週間もかかる。そこに取り残されるとどうなるか。エアコンはきかない、トイレは使えない、冷蔵庫のものは腐り始める。そういった地域にたくさんの方が取り残されたら、それ自体が災害になってしまいます。
こうなってくると「広域避難」が重要になってきます。仮に250万人の方が域外に避難するとなると、どれだけの日数がかかるかをシュミレーションしてみましたが、3日かかります。避難の情報で一挙に人が動きはじめると考えると、皆が橋を利用するので、橋がボトルネックとなってありとあらゆる道が人と車で埋め尽くされて身動きがとれなくなる。雨風も強い、堤防も危ないという状況の中で“その時”を迎えたら、膨大な数の犠牲者が出てしまう。だからその可能性(巨大台風や洪水の危険性)があるとわかったら、3日ぐらい前から動いていただかないとどうにもならないというのが、江東5区のとても難しい状況です。
台風19号では各交通機関が早めに計画運休を発表しました。交通機関がストップすると広域避難をすることもできなくなります。また今回のように被害が広範囲に渡る場合「どこまで避難すればいいんだ!」という疑問も・・
片田さんは、「江東5区の広域避難については、もはや一地域の課題というより、国が考えるべき重要な問題」とも話していました。
片田敏孝さん、明日は「高齢者など配慮が必要な方たちの避難について」のお話です。