2017年8月31日

8月31日 九州北部豪雨 朝倉市松末地区の住民2

今朝も引き続き、7月の九州北部豪雨の被災地、福岡県朝倉市からのレポートです。

記録的豪雨により、多くの犠牲者を出した朝倉市。土砂の流れ込みによって全壊・半壊した家屋は、合わせておよそ1000件。2か月近くたった今も5カ所で通行止めが続いています。


大きな被害をうけた朝倉市ですが、実は6年前から各地区で「自主防災マップ」をつくり、避難訓練をしたり、指定避難場所までたどり着けない場合の「自主避難場所」を決めていました。 ですがとくに被害の大きかった朝倉市杷木、松末地区では、こうした備えをしていても思うように避難できない状況が生じていました。

今朝は松末地区、杷木星丸に住む、高倉優仁子さんのお話です。

◆地域の再生は、山を植林前に戻すこと
本当に最初は水面が見えないはずの川が見えるところまで水面が上がってきて、それが田んぼを持って行き、木が倒れて、日が暮れるぐらいには広い川だねっていうぐらい幅になって、ふつう川には流れないような大きな物がどんどん流れてくるような状況になりましたね。この近くの避難所は松末小学校なんですけれども、小学校の手前が4時の時点で道が通れない、崩落したところもあるし、道がほぼ大きな川みたいになってしまって、雨も雷もすごくて外に逃げられない状態だったんですけど、で、なんかガラスが割れる音で下に降りてきたら一気に土砂が入り込んできて、もうどこも逃げられないって感じで、ハシゴをかけて降りてきたんですけど、隣の家まで行くのが精一杯ですね。その隣の隣はもう“川状態”で行けない状態。認知ですよね、それこそSNSとかでごく近い人とかが情報送ってくれたりするんですけれども、もう停電になるのも3時ぐらいから停電なってしまっているし、情報が本当に少ない状態でした。で、次の日の昼間に松末小学校の避難者と一緒に下まで行く時もロープを握って、けっこう大きい川みたいになってるので、自衛隊の人とかと一緒に避難して。
私は生まれも育ちもここなのでなんとなく元々崩れやすい所にいるので、あり得るといえばあり得ることが起こったんですけれども、今回その川が氾濫するというのは誰も考えていなかったことで、しかも5年前の豪雨の時にある程度綺麗に戻しましたという状態だったので、たぶん川のそばの人とかは、まさかこんなになるとは思ってなかった人が多いと思います。だからそれこそいま自分も含めてこの地域がもう一回再生するのに大事なのは、ほんとに山を戻したりとかそういう事なのかなと思っていて、それこそ自分の家にも山があって、やっぱり40何年か前に“やっぱり植林がいい”って言って、植えた木がもしこの山に合わないんであれば、それを切って、元々の山にあった木を植えるってのは、何十年かかる作業ですけれども、していかなきゃならないことだし、していきたいと思ってて、でもやっぱり早く避難するってのは大事だと思います。今までは大丈夫だったからってのはもうこの何年かで通用しない時代になってると思います。なんかちょっとおかしいと思ったら逃げる。本当に亡くなった方が結構いらっしゃるので、やっぱり逃げるのが大事だと思います。


高倉さんは、目の前の川というよりも裏山の土砂崩れに対する災害リスクは認識していました。ただそれでも、短時間のうちに避難所である小学校には行けない状況に陥ってしまい、そして停電で情報も入ってこない。災害時にはこういう状況が起こりうるのを想定して、どう行動すべきか考えておかなければならない。そして昨日は雨に弱い地質「真砂土(まさど)」について触れましたが、高倉さんは、40数年前に植林して森の形を変えたことへの懸念もお話しされていました。

今週金曜日は「防災の日」。
明日も、朝倉市で被害にあわれた住民の声をお届けします。

2017年8月30日

8月30日 九州北部豪雨 朝倉市松末地区の住民1

今朝も引き続き、7月の九州北部豪雨の被災地、福岡県朝倉市からのレポートです。

記録的豪雨により多くの犠牲者を出した朝倉市。土砂の流れ込みによって全壊・半壊した家屋は合わせて968件。2か月近くたった今も5カ所で通行止めが続いています。

こうして大きな被害をうけた朝倉市ですが、実は6年前から各地区で「自主防災マップ」をつくり、いざというときにあわてないよう避難訓練をしたり、山間部では指定避難場所までたどり着けないことを想定し「自主避難場所」を決めていたといいます。

こうした住民たちの日頃の備えで、命が守られたケース。
それでも逃げ遅れたケース。
番組ではとくに被害の大きかった朝倉市杷木、松末地区の住民に話を聞きました。


今朝は松末小学校から数十メートルの距離で被災、中嶋玲子さんのお話です。

◆避難訓練していた想定と違った
まだ娘のところに一時避難していて、片付けに毎日通ってきています。ここまだ住める状況じゃないものですんで。娘のところに夜帰ってお風呂に入ってごはん食べてまたここへ来て片づけてまた帰るという。早くここに住めるといいんですけどね。
当日は私は居なかったんです。夫はばあちゃんと2人で逃げています。
ここの旧杷木町は花崗岩の「真砂土(まさど)」でとても山崩れしやすい土砂。なのでうちは避難訓練して、その時には家族で具合悪い人をきちんと把握して逃げる練習や、暗かったり流れが速い時はみんなが一つの紐に繋がって、つまって逃げる訓練までしていたんんですけど、時間帯が昼間で若いお父さんお母さんたちがお勤めで、その中年の層が家にいない方が多かった。だから高齢者の亡くなった方が多かったのは残念なこと。だから災難はいつくるかわからないということ。想定していたようにみんながいる時に、家族が一緒になって逃げるという状況じゃなかった。自分が主体となって避難しなければいけない。それから流れがやっぱり早すぎて、流木が思ったよりひどくて急に来たから。うちの夫なんて小学校が避難所なんですけど流れが速くて、表と裏から水が来たから小学校には到底逃げられないと、だから裏から足の悪い90歳のばあちゃんを捕まえたり引っ張ったりしながら隣の隣の保育所に逃げて、ここは鉄筋だから大丈夫だと逃げたようですね。小学校に逃げていたら流れにのまれていたかもしれないですね。でも無事助かって保育所で一晩過ごしたそうです。それからそこの家のお友達は、危なくて外に出られなくて2階におられたそうですね。あまりにもひどくて外に出たくても出られない。ただ逃げなかったんじゃなくて、逃げたくても逃げられない人もいたみたいで本当に想定してないことが起こるんですね。その方も避難訓練していてちゃんと逃げなきゃいかん、というのはわかってたけど、もう行けなかったんじゃないですかね。とても恐かったみたいですね。
でも避難訓練があったからこそ大抵の人が逃げられたんじゃないかと思う。してなかったらバラバラになってたんじゃないですか。どこに行っていいかわからず右往左往する気がしてますね。


いざという時のために危機意識をもっていた松末地区の住民の皆さん。それでも集中豪雨がいかに、あっという間に「逃げられない」状況をつくるか。また想定外であっても避難訓練が無駄ではなかったこと、教えられた気がます。

また、話に出てきた「真砂土(まさど)」は花こう岩が風化した砂状の土のことで、雨に弱い地質。現地ではこの「真砂土」の土砂崩れが目立ちました。近くの山がどんな地質なのかということを知っておくことも大切なことのようです。

今週金曜日は「防災の日」です。 明日以降も朝倉市で被害にあわれた住民の声をお届けします。
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パーソナリティ 鈴村健一

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