2017年9月27日

9月27日 福島県楢葉町 鮭が遡上する木戸川(3)

今朝も引き続き、福島県楢葉町から、木戸川の鮭の現状についてお伝えします。

町の面積のほとんどが福島第一原発から20キロ圏内の楢葉町は、おととし2015年の秋に避難指示が解除となりましたが帰町した人の数は震災前の町の人口の4分の1未満。今なお復興途上にあります。そんな楢葉町を流れる木戸川は、全国有数の“鮭が遡上する川”として知られていますが、避難指示が解除されるまでの間、ふ化事業はほとんど手つかずとなっていました。2015年から事業を本格的に再開。放射性物質の調査でも木戸川の鮭はすべてND=検出下限値未満となっています。木戸川漁協 鮭 ふ化 場長の鈴木謙太郎さんに伺いました。

◆買えたらラッキー!
本当に風評被害というのがずっと続くと思ったんですけど、おととし販売所をオープンしたら、朝待ってる人がいるくらい心待ちにして来てくれる人もいて、魚が遡上が少ないというのもあるんですけど、お断りしてるくらいお客さん来てくれてるんで、そういった意味では風評被害感じられないくらい来てくれてますね。シーズンは本来でしたら10月1日からオープンして11月いっぱいまで楽しめたんですけど、今はやっぱり遡上が少ないんで、10月中旬から11月中旬くらいまでの約1か月間くらいがシーズンかなっていう感じですね。買えたらほんとラッキーです。はい(笑)


震災前は、7万匹から10万匹の鮭を捕獲していましたが、去年は稚魚の放流から4〜5年で川に帰ってくる鮭、ほぼ自然産卵で生まれた鮭が帰ってきたものと合わせて7329匹で、今年はさらに少なくなると見込まれています。販売所は争奪戦になりそうとのこと。

じつはこの木戸川、数少ない、“サケ釣りが出来る川”としても知られていましたが釣りの解禁にはまだ至っていません。秋のこの時期には、家族連れの明るい声が響いていた木戸川ですが避難指示解除から2年、元のにぎわいには遠くても、少しづつ若いファミリーの姿も増えてきているといいます。

◆子どもたちの声も増えてきた
去年一昨年からも、秋になると子供たち来てくれて、鮭を間近で見てくれたり、去年なんかは、あ、こんなに戻って来てるのかっていうくらい、もちろん他県の方もいらっしゃいましたけど、けっこう地元の顔なじみの子どもたちも来てくれて、ふ化場を見学したり、木戸川で水遊びをしたりとか、本当に徐々にですけど戻って来てるというのは感じますね。


鮭も、町の人も、少しずつ元のように戻り始めている楢葉町。今季の鮭は、来月中旬から販売がスタートしますが、あらためて楢葉の鮭の美味しさについて鈴木さんにお聞きしました。

◆いくらの粒が大きくて味も自慢!
ほんとに自慢できることは、まずいちばんがイクラですね。粒が大きくって、おそらく日本の本州でも回遊がいちばん長い距離で、自分の川に戻って来てると思うんですよね。そういった意味で、粒も大きく成長してますし、河川に遡上してすぐの鮭を捕獲してますので、最高の産卵で蓄えた状態の「身体」と「卵」ですね、粒も大きくて味も良くて自慢できますね!


町の主要産業である、鮭のふ化事業。この再生が町の復興に大きくかかわります。鮭の遡上する数が元に戻るまで、あと数年かかる見込みだそうですが、同じように町に戻る人の数も増えていくのかどうか。避難指示が解除になった町の先例としても、注目をしていきたい。

★ ★ ★
『LOVE & HOPE』、今日までの3日間は、福島県楢葉町の主産業である「鮭のふ化事業」の現状についてお届けしました。

復興へ向けて歩む、福島第一原発の周辺町村の現状の一端、あなたはどう感じましたか?
ぜひ『LOVE & HOPE』のブログのメッセージフォームへ感想をお寄せください。
今週は抽選で5名様に、3000円分の図書カードをプレゼントします。

明日とあさっての2日間は、福島県出身でさまざまなイベントなどを通じて福島県を応援する活動を続けているタレント、なすびさんのインタビューをお届けします。

2017年9月26日

9月26日 福島県楢葉町 鮭が遡上する木戸川(2)

今朝も引き続き、福島県楢葉町から木戸川の鮭の現状についてお伝えします。

町の面積のほとんどが、福島第一原発から20キロ圏内の楢葉町は、おととし2015年の秋に避難指示が解除となりましたが帰町した人の数は、震災前の町の人口の4分の1未満。今なお復興途上にあります。そんな楢葉町を流れる木戸川は、全国有数の、“鮭が遡上する川”として知られていますが、避難指示が解除されるまでの間、ふ化事業はほとんど手つかずとなっていました。2015年から事業を本格的に再開していますが、現状はどうなっているのでしょうか?
木戸川漁協 鮭 ふ化 場長の鈴木謙太郎さんのお話しです。

◆放流数はまだまだ
そこがですね、まだやはり例年の10分の1くらいしかできない状況で、今後もやはり、あと2年間くらいは厳しい状況が続くと思います。さらに専門家の声を聴くと、下手すると10年くらい、前の状態に戻るにはかかるんじゃないか、というのもあるので、その辺は不安もあるんですけど、とにかく一生懸命、前に進んで頑張るしかないと思ってますので、とにかく稚魚の放流を大事に、しっかりやっていきたいと思っています。


震災前、木戸川では年間7万匹から10万匹のサケを捕獲、1200万匹から1500万匹の稚魚を放流していましたが、原発事故の影響で町が避難指示となり事業は休止。2014年度に他の施設から購入した稚魚を試験的に放流して、2015年度から木戸川で採卵・ふ化させた稚魚を放流しています。放流から4〜5年後に戻って来るという鮭。去年あたりから戻ってきているのは、放流ではなく、自然産卵で生まれた鮭ということになります。

◆自然産卵で帰ってきた鮭、線量もND
人もつながりってあるんですけど、鮭もしっかりつながっていて、自分たちで自然産卵してちゃんと戻ってきて、その魚を見た時に、やはり自分らも勇気をもらったっていうか、力強く川の流れに逆らって遡上して来てる姿っていうのは、感動的で勇気づけられました。おととし再開した年っていうのは、例年の10分の1くらいで8443匹しか獲れなくて、昨年は7329匹ということで、徐々に減ってきてる状況なんで、今年なんかは予想だと、それの半分くらいしか来ないかなっていう予想なんで、不安はありますね。ほとんどが自然産卵のものが戻って来る年というのが、去年からだったんで、人工がすべて混ざって無くて、そういった意味では、少ないんですけど自然の力でそれだけ戻ってきてるっていうのは、ちゃんと鮭も自分たちをつなげてくれてっていうか、頑張って来てくれてるんで、自分たちもそれにつなげられるように、鮭も増やせられるように頑張っていきたいと思っています。2〜3年はほんとに厳しい状況つづくと思うんですけど、5年6年経てば、いま放流した稚魚が、ま、「回帰率」って言って戻って来る確率が0.5%くらいしかないんですけれども、1%以上帰ってくるように自分も育てたつもりなんで、それに期待してふ化事業に力を入れて頑張っていきたいと思っています。ある程度漁協でも津波の被害とか、川が形状が変わったりとか、あと瓦礫がひどかったので、瓦礫も撤去したりしたので、元の川に戻りつつあるんですけど、でもやはり一部、戻ってないところもあるので、今後はその辺も修正しながらやっていきたいと思ってます。鮭に関しては震災の次の年、2012年からモニタリング調査ということで放射性物質の調査をやったんですけど、すべて鮭はNDだったので、まあ生態もほとんど海洋の生活で、河川に居る時期も短いので当たり前の結果かなと思ってたんですけど、不安もあって、いざやってみたらそういう結果になって、ほんとにホッとはしてますね。


2014年度に試験的に放流した鮭が戻って来るのが、2018〜19年度、2015年度に再開した木戸川のふ化場で生まれて放流された鮭が戻って来るのが、2019〜20年度。ということは、今年はまったく自然産卵で生まれた鮭が帰ってくる年ということ。
2012年から行なっている放射性物質の調査では、木戸川の鮭はすべてND=検出下限値未満。

明日も、木戸川漁協 鮭 ふ化 場長の鈴木謙太郎さんのお話しお届けします。
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パーソナリティ 鈴村健一

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