2017年11月28日

11月28日 「うみラボ」小松理虔さん(2)

今週は、福島県いわき市で活動する「うみラボ」の代表、小松理虔さんのインタビューをお届けしています。

「うみラボ」は、福島県沖で獲れる魚の放射線量を民間の手で測定し、公表するプロジェクト。いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」と共同で、福島島県沖で採れた魚を水族館の来場者の目の前でさばいて放射線量を測定する「調(た)べラボ」というイベントも開催。安全が確認された魚を調理して提供する試食会も実施しています。
来場者の皆さんの反応は?
「水戸から来ました。初めてですね、こういうの。ちゃんと測定して公開しているというのが安心できるというか。ちゃんと安全だというので出荷されているのがわかれば、買ってもいいんじゃないかと思った。試食のマコガレイもすごくおいしかった。いままで食べた中でも一番おいしかったです。」

この日の献立は、「マコガレイのから揚げ・甘酢あんかけ」。水族館へきてふらりとこの会場に立ち寄られた方たちは、講座を聴きながら美味しそうに召し上がっていました。

そして「うみラボ」の調査、福島県沖の海底の土と魚は、いまどんな状況なんでしょうか。小松さんに聞きました。

◆2013年から継続調査してわかってきたこと
「土のほうは相変わらず出ます。ただ僕ら調査し始めた当初(2013年)は三桁ベクレル/kgは確実に、というときもあったが、ここ最近は100を下回ることが多い。が、それはゼロにはならない。僕はいろんなことを聞かれますが、「出ていない」とは言わない。ただ魚から出ていないということは、魚から検出されるほどの量ではないということは確実に言えると思います。
なおかつ移動しない魚のほうが検出される、という傾向もわかっていて、海底に近い移動しない魚をセットで測るということが、魚の汚染の状況を理解していくためのひとつのきっかけになっています。なので海底の泥はこれからも測っていかなければいけない。いずれにしてもデータは下がってきています。
海にいる魚って、塩水の中で泳いでいるのにしょっぱくない。なぜか。浸透圧という言葉を聞いたことがあると思いますが、魚は塩分を体の中に入れても、それを排出する機構が備わっているんでです。セシウムは今回の原発事故で一番まかれた放射性物質ですが、そのセシウムは塩分と一緒に体の外に排出されるという特徴があって、自然に体の中から排出されていくということが科学的な知見からもわかっていたんだけど、うみラボのデータからも、ヒラメのデータをずっと測っていますが3年前は80ベクレル/kgや50ベクレル/kgというのも見つかっていましたが、2017年は最大でも5ベクレル/kgで、ほぼ9割がたND(検出せず)になってきています。つまり年代が経てばたつほどほど体の中からセシウムが放出されてきたと裏付けができるので、測っていけばいくほど、こうやって排出されていくんだなというのがわかります。なので、原発直近で海底の土を測り、魚を釣って、年齢や大きさまで測ることがより強い安心感につながるというのが、僕たち自身が実感として得られていることです。」


明日も小松理虔さんのインタビュー、お届けします。

2017年11月27日

11月27日 「うみラボ」小松理虔さん(1)


福島県いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」で2015年5月から毎月第三日曜日に開催されているのが、「調(た)べラボ!」というイベントです。福島県沖で採れた魚を水族館の来場者の目の前でさばき、放射線量を測定するというものです。取材したのは今月19日に行なわれた時のもの。この日、獣医師の富原聖一さんがさばいたのは、マコガレイやヒラメ、サメなど、福島県沖で獲れた魚、6種類でした。さばいた後は、測定に必要な分量を量って測定機にかけます。

調べラボ_富原聖一 さん
「いまから機械に入れます。キャンベラさんというところが作っている機械です。この機械だと、ヨウ素とセシウム137と134、あとカリウムが計れます。今日の魚はホシザメ。これは福島第一原発沖、3キロでとった魚。500グラムで測定開始、とやると、グラフがでてきます。セシウム137。いま一番問題になっている放射性物質。実はこれ100ベクレルを越えるようなものは、この時点でほんの数秒ですぐにわかるんです。」

この「調(た)べラボ」は、以前このコーナーでご紹介した「うみラボ」との共同企画です。「うみラボ」は、福島県沖で獲れる魚の放射線量を、民間の手で測定し、公表するプロジェクト。2015年10月に「うみラボ」をご紹介したときには、県のモニタリング調査で安全が確認され、試験操業の対象となる魚は64種でしたが、あれから2年、現在は試験操業の対象となった魚の数、182種にまで増えました。一方でいまも出荷規制がかかる魚は10種類です。
「うみラボ」の小松理虔さんに話を聞きました。

◆福島県沖の魚の放射線量を包み隠さずお見せするイベント
出荷規制がかけられた魚も着実に減ってきています。データを測ってみると、2014年、2015年というのは国の基準の100ベクレル/kgに近い、50ベクレル/kgとか、二桁ベクレルの魚が見つかっていましたが、2016年からは50ベクレル/kgを超える魚は見つかっていないし、2017年に至っては二桁の数字も出ない。最大でも、5〜6ベクレル/kgぐらいの検出量になっていて、確実に魚からもセシウムの排出が進んでいることがデータからもわかります。
「調(た)べラボ!」は皆さんの前で、線量測定の現場をそのまま包み隠さずお見せするイベント。同時に、福島県産の魚を試食するというコーナーもあって、食べながら、福島の魚から放射線量がどのくらいでるのかという測定の現場も見ることができる。多くの方は、なんの気なしに水族館を訪れて、試食につられて入ってこられて、そのついでに福島の魚がどうなっているかを科学的なデータを受け取れるような仕組み。もし科学的なデータに興味がなくても、「福島の魚おいしいね!」ということだけは持ち帰ってくれるので、参加しているほうも楽しいし、福島の魚の魅力が伝わっていくのが大きい。
いま福島県の魚についてたくさん情報が出てくる中で、福島の魚を選択しないという選択は、僕はもう尊重するしかないと思っている。どうしても不安だと言う人に無理やり食べさせるわけにもいかない。僕はそれよりも、いままで福島の魚を食べてこなかった人、福島の魚に対して漠然とした不安がある人にこそ、どんどん情報を発信していく必要があると思っています。それにはおいしさや魅力を伝える必要があると感じてるんですね。


小松さん自身、「福島の海や魚はどうなってるの?大丈夫なの?」という疑問から、「うみラボ」「調べラボ」の活動を始めました。2013年に活動を始めて4年。いまではかなりのお魚博士に。こうして、行政ではなく、“市民目線”の「民間の活動」としてやっているところもポイントです。

明日も小松理虔さんのインタビュー、お届けします。
«前の記事へ || 1 | 2 | 3 |...| 298 | 299 | 300 |...| 1066 | 1067 | 1068 || 次の記事へ»

パーソナリティ 鈴村健一

メッセージ、ご意見、プレゼントご応募はこちら

特別番組 LOVE & HOPE ~10年目の春だより

TOKYO FM 特別番組 HANABI

「LOVE&HOPE~防災ハンドブック2015」PDF版ダウンロード配信中

アーカイブ

  • いのちの森
  • Support Our Kid's
  • TOKYO FM
  • JFN