2018年1月22日

1月22日 宮戸つばめ食堂(1)

今週は、宮城県東松島市の食堂、「宮戸つばめ食堂」についてお届けします。

日本三景「松島」の一部でもある「奥松島」。美しい海岸線と松が繁る小島が浮ぶ風光明媚な場所として知られています。その主要部でもある宮戸島には、震災後、地域の女性たちが切り盛りする食堂「げんちゃんハウス」がありましたが去年春に閉店。“民宿以外で飲食できるお店がゼロ”という状態が続いていました。そんな宮戸島に、先月15日待望の食堂「宮戸つばめ食堂」がオープン。オーナーの横山淑恵さんに伺いました。

◆海の見える飲食店、震災後に夢が叶った
松島は全国的にも有名な観光地かと思うんですけど、ここは奥松島と呼ばれていて、有名な松島は「表松島」と言われるんですけどこっちは「奥松島」で、松が生えた島がいっぱい浮んでいて、それは松島と似ているんですけど・・・ま個人的な意見なんですけど・・・松島はちょっと洗練されたきれいな景色だと思うんですけど、こっちってけっこう荒々しい自然の雄大な海の景色が楽しめる場所というか。あと船着き場があって「嵯峨渓遊覧」っていう奥松島を小舟で進むものがあるんですけど、海にある洞窟とか島の近くに行けたりとか。あとお店の道路はさんで向かい側に大高森という歩いて10分くらいの小山があって、そこを登りきると奥松島のきれいな景色が一望できる素敵な場所です。で、3月くらいに唯一合った食堂が閉まって、そのあとは民宿とかたくさんあるんですけど、こういった食堂という形の飲食店はまったく無かったんで、地元の方がご飯を食べる場所がないとか、奥松島の観光に来た方が立ち寄って食べるところが無いというのは聞いていました。私も実家が近いのでよく来てはいたんですね。海すごくきれいなので見てるだけで癒されるんで。ただやっぱりきれいな海を見ながら美味しいコーヒーを飲んだり美味しい食べ物を食べたりする場所があるともっといいのにな・・・っていうのは地元民としても思っていて、海が近いから海産物、今だと牡蠣とか海苔とか美味しいのがすごくあるので、そういった魅力も楽しめたらより奥松島を好きになってもらえるんじゃないかなと思って。震災をきっかけに飲食店を始めたんですけど、震災前、東京に居たんですね。で震災があってからすごく地元に帰りたくなって、で、日常の中で小さな幸せを・・・日常が日常でなくなった部分が震災だったので・・・小さな幸せを日々毎日ちょっとずつ、地元の故郷の人たちに提供する方法ってなんだろうなって思ったときに、簡単に、“美味しいもの食べると人ってすぐ幸せになる”って思って、私は海の傍で育ったので、夢は〔海の見えるところでカフェを開くこと〕だったんですね。で4月に東松島市の小野というところでカフェを開いて、そこは海、近くないんですよ。なかなか震災後、海の近くに新しい建物建てるとかけっこう基準が厳しくなって出来なかったんですね。その時ここの施設まだ無かったんですけど、たまたま市の方から、“ここの物件空いているので、市内の飲食店さん、誰かやりませんか?”って声がかかって、それで私は、“海も見えるし”と思ってここのお店を始めました。



「大高森」登山口の目の前に、復興再生多目的施設の「あおみな」が去年完成。その一角に「宮戸つばめ食堂」はあります。
「宮戸つばめ食堂」は、現在、金、土、日のみの営業。

宮戸つばめ食堂facebookはこちら

2018年1月19日

1月19日 仙台市荒浜「海辺の図書館」(2)

今朝は引き続き、宮城県仙台市、荒浜地区で活動を続ける「海辺の図書館」のレポートです。

仙台市の中心部から車で20分程の距離にありながら、いまだ野ざらしの景色が広がる荒浜。もとは美しい浜辺と松林が広がる風光明媚な場所でした。
災害危険区域に指定され人が住むことは出来ませんが、この場所にふたたび人が集い、震災前の人の営みや文化を元の住民と交流しながら“本を読むように”体験するのが「海辺の図書館」です。図書館とはいえ、本が置いてあるわけではありません。2014年の立ち上げから数人のメンバーと共に、波の音が聴こえるベンチでの読書会やまちあるきイベント、音楽会やBBQイベントなどを開催しています。

そもそもこの荒浜がどんな町であったのか?館長の庄子隆弘さんに伺いました。

◆震災前の荒浜の暮らし
あそこは800世帯あって、それだけの人が住んでいたんですよね。海があって、海の恵みを受け、その手前にある松林で採れるキノコや松ぼっくりを燃料にして何かするとか、そういった暮らしに私も小さい頃から常に触れていた。なぜ触れられていたかというと、そこに住んでる人たちの顔が見えている。いまそういった部分が無くなっているところが多くて、コミュニティというものが見直されてる部分があるかと思うんですけど、それは決してユートピア的なものではなく、もちろん煩わしさとかもあるから今の都市生活をしてる人たちが捨ててきたものが、なにかいいバランスで私の時は残ってたなと思うんですね。あとは気候がいいってみんな言う、私もそう思うんです。震災後に訪れた私の友人なんかも“リゾートみたいだね”って言うんです。青空があって、広い土地が・・・下にある瓦礫さえ見なければ・・・本当にリゾート地に来てるような感じだという、まさにそうなんだよねという魅力があったかなと思います。


大手書店の図書館部門で責任者を務めながら、生まれ育った荒浜の魅力を伝えていこうと「海辺の図書館」の活動を続けている庄子館長。その背中を押している原動力についても伺ってみました。

◆そこの場所に自分が居たいと思い続けること
よく“なんでやってんの?”って言われるんですけど、今の原動力は、“荒浜に訪れている人の多さ”ですね。世間から言われているような「風化」であったり、“震災なんか忘れられてるよ”っていう声を感じられないんです私あそこに居て。みんな常に怒ってるし笑ってるし考えてるし。そういった人たちが集まっているところで、その場所に身を置くことが心地いいんですやっぱり。だから残しておきたいというところがあって、なによりそこの場所に自分が居たいって思い続けてることじたいが原動力になってますね。

やはり荒浜に人が来て欲しい。来てまずいちばん最初に行って欲しいのが、海ですね。震災遺構の荒浜小学校からバスで降りて、おそらく降り立った時に、“大変なことがあったんだな”って最初に思うかもしれないです。で、まだ基礎が遺ってる部分のところを歩きながら、堤防を上って、見える景色っていうのが、やっぱりすごい、ほかでは見られないかなって思います。広がりっていうか、荒浜の魅力と分かってもらえると思いますね。

荒浜地区は、今後、公園や商業、農業のエリアとして整備され、いまはまだ更地です。住民はすでに集団移転が進められています。間もなく7年が経つ仙台市、中心部のすぐ近くの町でもこの状態という現実があります。

海辺の図書館
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パーソナリティ 鈴村健一

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