2018年1月24日

1月24日 宮戸つばめ食堂(3)

今朝も宮城県東松島市の食堂、「宮戸つばめ食堂」についてお届けします。

日本三景「松島」の一部でもある「奥松島」の宮戸島にオープンした、地域で唯一の食堂「宮戸つばめ食堂」。隣町の東松島市小野で、ベーカリーカフェ「ル・ニ・リロンデール」を営む横山淑恵さんが、週末の金、土、日だけ開いているお店です。

宮戸島出身の横山さんは東京の大学を卒業後、そのまま東京で就職。12年間を東京で過ごしていましたが、東日本大震災を機にUターンしてお店を開きました。震災前とは一変した故郷の今の様子を、横山さんはどう見ているのでしょうか。

◆この町の持っている素材がすごくいい
最寄りの駅が野蒜駅。そこから車で10分くらいなんですけど、野蒜もそうですけどやっぱりまだまだ工事中というか、海岸もずっと堤防工事してたりするので。宅地ももとあった場所にはまったく建てられなくなってしまって新しい場所に山を切り拓いて新しい宅地が出来たんですけど、前の景色はもう無いけれども新しい場所でみんな頑張っていくしかないかなと気持ちを切り替えて次に向かって頑張っていくのかなって感じはします。昔のきれいな景色も大事なんですけど心の中にしかないですからね。牡蠣やってる人も宮戸で牡蠣やってるけど住んでるところは車で離れたところなんで、なかなか残る人と戻る人は高齢者の人が多いですよね。若い人は戻ってこないっていうか。でもやっぱり何年か住んで仕事を始めたりしていくと、同じ志を持った人がたくさんいるなっていうか、若い人はやっぱりこの町の持ってる素材がすごくいいので、食材だったり景色だったり、そういったところをもっと市内の人市外の人、県外の人にもっと知ってもらって、いろんな人がたくさん来て、経済的にもにぎわい的にも活性化していくといいなってみんな思ってるんだって思って、なんでやっぱりたまに疲れちゃったりすると、そういった人たちがいっぱいいるんだと思うと、みんなでそれを叶えていきたいなって思いますね。


新しく高台に野蒜駅が出来たり、宮戸島の月浜海水浴場が再開したりと少しずつ復興は進んでいるものの、震災前は毎年5万人近くが訪れたという東北最大級の
野蒜海水浴場はまだ再開のめどが立たず、かつての宅地も野ざらしのまま。そんな町で飲食店を営むのはかなりのチャレンジだと思うんですが、そもそも宮戸に飲食店が少ないのは、もう一つ理由があるんだそうです。

◆海を見ながらコーヒーを飲むのがいまの夢
ここって海水浴とか浜がいっぱいあるので、夏は観光客の方けっこういらっしゃるんですけど、冬は観光客の方激減するんですね。そういった中でほかの飲食店さん、気にしてたのが、冬、集客が見込めるのか?っていうところで、市からお声がかかった時に誰も手を挙げなかったのかなって思ってて。でもカフェやってて思ったんですけど、そんなに東京みたいに娯楽が溢れた町じゃないので、一日なにをして過ごすか?と遠くのカフェに行ったりとか、美味しいものを探してドライブしたりみたいな休日の過ごされ方をする方が居るので、いい場所があれば冬でも来てくれるんじゃないかなって経験上思ったんですね。ここいま店の前工事現場なんですけど震災復興系の資材置き場になったりしていて、来年度にはこれがぜんぶ撤去されると店の目の前が海になるので、より良い景色がお客さんぜったい喜んでくれるっていうか自分がすごい見たいので、そこで海を見ながらコーヒーを飲むのがいまの夢ですね。震災で海が嫌いだっていう人もいると思うんですけど、私なぜか海すごく見てるだけで癒されるっていうか、いつまでも見てられると思いませんか?



隣町の小野という場所で、ベーカリーカフェ「ル・ニ・リロンデール」を営みながら、週末に宮戸島で「宮戸つばめ食堂」を開いている横山さん。
ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

2018年1月23日

1月23日 宮戸つばめ食堂(2)

今朝も宮城県東松島市の食堂、「宮戸つばめ食堂」についてお届けします。

日本三景「松島」の一部でもある「奥松島」の宮戸島にオープンした、地域で唯一の食堂「宮戸つばめ食堂」。隣町の東松島市小野で、ベーカリーカフェ「ル・ニ・リロンデール」を営む横山淑恵さんが、週末の金、土、日だけ開いているお店です。

宮戸島出身の横山さんは、東京の大学を卒業後、そのまま東京で就職。12年間を東京で過ごしていましたが、東日本大震災を機にUターンを決意しました。

◆つばめ食堂開店前は東京に居た
震災がなかったらずっと東京に居たと思うんですけど、でも地元に帰りたい帰りたいとすごく思って、で仕事も忙しいのでなかなか実家にも帰れなくって、震災の直後ほんとうに家族と連絡が取れなくなって、“みんなもしかしたら・・・”って思ったんですね。“東京で一人になってしまった・・・”って思ったときに、“何でもっと帰らなかったんだろう”って思ったんですよ。で、落ち着いて、みんなが無事だったっていうのを知って、ちょっとこう、傷ついた姿を見た時にやっぱり自分ってこんなきれいな自然の中で生まれ育ったのをあらためて知って、そういった人たちや環境によって今の自分が出来てるんだって思うと、そういった人たちに今は自分が何かしら恩返しがしたいなって思ったときに、いまお店でパンも焼いてるんですけど、朝から散歩とかウォーキングとかランニングしてて、パンの焼ける薫りとかコーヒーの薫りがして来たらそれだけでちょっと幸せになれるんじゃないかなと思って今の仕事を始めたんですが・・・もともとはマスコミをやってたんですよ(笑)。ハードワークだったんでいま頑張れるっていう。で、取材で何回か帰ってくるじゃないですか。もう取材で帰ってきたくないんですよ。こう、東京からちょっと被災地に行って、聞かれたくもないことを聞いて帰って、切り取ったことだけを・・・なんかちょっとしたすごく葛藤があったんですよ、はたして正しいことをしてるのかなと思って。そういうのもいろいろあったんですけど。


ということで横山さん、じつは東京でテレビのお仕事をされ取材で故郷を訪ねることもしばしばあったとのこと。そうした中での葛藤もあって帰郷を決意、飲食店経営も経験がない中でカフェを開き、そして先月は食堂も開きました。ここまでの手ごたえはどうなんでしょうか?

◆やりたいことがあったらすぐやろうと決めた
けっこう疲れる(笑)・・・疲れるんですけど、震災の時すごく思ったことがあって、私の家族はみんな無事だったんですけど、明日もしかしたら日常が日常でなくなったり、明日もしかしたら命が無くなるかもしれないってあの時みんな思ったと思うんです。もうやりたいことがあったらすぐやろうって決めたんですよ。それまでってけっこう慎重にっていうか、“いつかやろう”とか、“定年したらやろう”とか思ってたんですけど、やりたいことがあったらすぐやろうって決めたんです。でチャンスがもう目の前にあったんで、やってしまおうと思いました。疲れるけど、来た方が“美味しかったよ”とか、隣同士で近所の方が話してる姿を見てるだけでその疲れは一気に癒されるというか、少しでも地元の人のためになってるかもしれないって思うと、“よしまた明日も頑張ろう”っていうか、“もっともっと喜んでもらえるために頑張ろう”って思うので、身体は疲れるんですけど心の面でどんどん頑張れるって思いましたね。


隣町の小野という場所で、ベーカリーカフェ「ル・ニ・リロンデール」を営みながら、週末に宮戸島で「宮戸つばめ食堂」を開いている横山さん。
ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。


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パーソナリティ 鈴村健一

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