2018年2月19日

2月19日 南相馬市 小高ワーカーズベース(1)

今朝は、福島県南相馬市の、「小高ワーカーズベース」についてお届けします。

東日本大震災とそれに伴う福島第一原発の爆発事故によって避難区域となった南相馬市小高区。2016年夏に避難指示が解除になりましたが、今年1月末時点での居住者数は震災前の約1万3千人のうち、約 2千5百人にとどまっています。

とくに若い世代が町に戻らない現状を変えようと立ち上がったのが、「小高ワーカーズベース」を立ち上げた和田智行さんです。まずはプロジェクトの概要と、設立に至る経緯について伺いました。

◆まずは昼間に人が集まるスペースを
福島県南相馬市小高区という原発の避難区域なった場所で、帰還する住民の暮らしを支えるサービスを作るためにスタートしました。目指すは「地域の100の課題から100のビジネスを創出すること」。まずは暮らしを支えるスモールビジネスを作るために。最初に始めたのがコワーキングスペース。何か物を始めるにもそのための物理的な環境がなかったので会員の人が自由に使えるスペースを整備。次におだかのひるごはんという食堂(現在は終了)。復旧工事や除染作業働きに来ている人たちの食べる場所がなかったことからスタート。次に仮設スーパー「東町エンガワ商店」という仮設スーパー。南相馬市のからの委託を受けてやっている。やはりコンビニやスーパーなど日頃の買い物ができる場所がなかったので帰ってくる住民の日用品を提供する店舗ということで始めました。次にガラスアクセサリー工房兼店舗「HARIOランプワークファクトリー小高」。特に女性の働く場所を作るために、耐熱ガラスを使ったアクセサリーの製造、販売の拡大も。南相馬市の避難区域は2012年4月に日中の滞在が認められた。そのタイミングでいろんな人が視察に来たが、何も生まれない。一方、他の被災地では外から来た人が地元の人と手を組んでいろんなプロジェクトを生み出している。その違いは何か考えた時に、そもそも避難区域の中は物理的に座ったり屋根の下でお茶を飲んだりする場所すらなかった。まずはその拠点をなる場所を作ろうと思った。ちょうどコワーキングスペースが東京にあるのが話題になり始めた頃。ワーキングスペースを利用するような人たちは、避難区域にコワーキングスペースがあるのを面白がってくれると思い始めました。


2014年に和田さんが「小高ワーカーズベース」を立ち上げた当初は、まだ避難指示解除前。いろいろな人が視察に来るけど、なにも生まれない。ほかの地域では、外部からの協力でいろいろな計画が生まれて実現しているのに。その現状を打破しようと立ち上がりました。

「小高ワーカーズベース」公式サイト

2018年2月16日

2月16日 我妻和樹監督「願いと揺らぎ」3

東京・東中野の映画館などで まもなく公開がはじまる、映画『願いと揺らぎ』の我妻和樹監督のインタビューです。

宮城県南三陸町、戸倉半島の北側にある小さな漁村「波伝谷(はでんや)」に2005年から通い続け、撮影を続けてきた我妻監督。映画『願いと揺らぎ』は、東日本大震災から1年後の2012年を中心に、被災後の住民の方々の不安や葛藤、リアルな心境も丁寧に伝えています。完成した映画、当事者である波伝谷の方々はどんな風に見たのでしょうか。

◆波伝谷の人たちに見せるのは怖かった
これは結構、波伝谷で上映するのが怖かったんですよね。結構デリケートな人間関係を描いていて、ただでさえ震災が起きた地域の人間関係のデリケートさがあるなかこの映画を上映することによって、地元の人に見せることによって悪影響与えたらどうしようという不安があったんです。ただ実際に見てもらったら、思っていた以上に皆さん、前の作品よりも良かったと受け取ってくださって、それは何故かと言うと、自分で言うのもなんですが波伝谷の人たちが抱えていたいろんなものと言うものを、それなりにちゃんとよかったことも大変だったことも含めてかけているからなのかなと言う気がするんですね。ちゃんと掘り下げられているというか。でも震災後っていろんなことがありすぎて、被災された方々も覚えていないことがたくさんあるんですよね。いろんなことが過ぎ去ってしまっていて。その中で改めて、当時の自分たちのことを振り返るとと言う意味では、皆さんには残してもらえて良かったと言う事は言われましたね。


ちなみに、我妻監督によれば、「これまで波伝谷のみなさんは僕のことを"あがつまくん"と呼んでいたがこの映画をさかいに、"監督"と呼ぶようになった」なんてことも話していました。一人前の映画監督として、町の人が尊敬の気持ちを込めた・・・ということかも!最後に、南三陸町 波伝谷の「いま」を教えていただきました。

◆高台移転後の波伝谷
2つの高台に団地を作って、そこに一軒一軒家を作り、個人の土地で家を作った人もいるんですけれども、今現在は37〜38軒くらいです。もともとは80軒弱だったのでちょうど半分以下くらいという感じですね。波伝谷の獅子舞の行事もそうなんですけれども、行事の時にちゃんと若い人や子どもたちが手伝うために帰ってくるんですよね。その中でお酒を飲みながら世代間の交流があって、震災前から見てきた"波伝谷らしさ"と言ったらすごく漠然としているんですけれども、ならではの地域のつながりが震災があってもちゃんと継承されている印象を受けますね。ただやっぱり高台に建った家ってみんな新しい家じゃないですか。今までの家と違ってインターホンがそれぞれ付いていて、扉で外と家の中が仕切られちゃっている感じがして、そういう意味ではだんだん、波伝谷も都会化してきていると言う話を地元の人たちからも聞いたりして、そこは大丈夫なのかなと心配するところもあります。



映画「願いと揺らぎ」は、東京・東中野「ポレポレ東中野」で2月24日(土)から公開。全国でも順次公開が始まるということです。
詳しくは「願いと揺らぎ」公式サイトをご覧ください。
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パーソナリティ 鈴村健一

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