2018年3月12日

3月12日 「あなたはそこに〜小野寺翔君」

多くの命と、故郷の風景を奪った東日本大震災。
あの日から、昨日で7年が過ぎました。

震災直後から現地へ足を運び、被災地の「生」の声を伝え続けてきたこの番組も、間もなく放送開始から7年を迎えます。

現地で聞いた、たくさんの声。
震災後、辛い想いをされた中でも、前を向いて歩いている姿…
本当にたくさんの「笑顔」に出会いました。
でもその笑顔の裏に、“あの日亡くなった、あの人の分まで”
という想いを、たくさんの方から感じさせていただきました。

そこで『LOVE&HOPE』では、
“忘れない、1人1人の7年を。あの日亡くなった、あなたのことを”
をテーマに、番組オリジナルのキャンペーンスポットを制作しました。

これまで番組が取材を重ねてきた方にあらためてマイクを向け、今なお胸の中に生きて、背中を押してくれる人のことを話して頂きました。そこへ、谷川俊太郎さんの詩、「あなたはそこに」が寄り添います。

今日はその中から、南三陸町戸倉出身、小野寺翔くんの回をお届けします。
戸倉中学2年の時に被災した小野寺翔くん、“忘れられない人は誰ですか?”


谷川俊太郎 作 「あなたはそこに」

本当に出会った者に別れはこない
あなたはまだそこにいる

小野寺くん 
「あなたの名前は、猪俣さとし先生。
南三陸町の戸倉中学校の理科の先生でした。
とにかく暑苦しいぐらい、誰よりも戸倉が大好きっていうような先生で・・。

当時の中学生の僕としては、なんかかっこいい職業につきたくて、自衛官かパイロットになりたいって話を、まあこっそり先生にはしてて、それをなんかこう、真剣にきいてくれて・・」


7年前のあの日、南三陸町戸倉で恩師を亡くした、小野寺翔君。
中学生だった彼は今、ふるさとの木、南三陸杉を守り伝えようと
林業を学んでいます。
小野寺君。猪俣先生が、今、君を見たら、なんて言うかな?
    
小野寺くん  
「今そうですね、上から見てるとしたら
『戸倉はやっぱいいべ』みたいな。 
あとは 『あれ?パイロットじゃないの?そんな田舎臭い仕事にしちゃったの?』っていう、ビックリもあるかもしれないですねー。」


本当に出会った者に別れはこない
あなたはまだそこにいる
目をみはり私をみつめ くり返し私に語りかける
あなたとの思い出が私を生かす
                 
復興支援番組「LOVE&HOPE」。
今日も被災地の声をお届けしています。

忘れない。ひとりひとりの7年を。
あのとき亡くなった、あなたのことを。

詩/谷川俊太郎 朗読/益岡徹
ナレーション/大後寿々花 音楽/古澤巌
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このキャンペーンスポット、この他に、見つからないご主人に宛てた手紙が恋文大賞を受賞した、気仙沼「すがとよ酒店」の菅原文子さんのバージョンがあります。これからもシリーズを増やしていく予定。

『LOVE & HOPE』、明日は、福島県富岡町から、元気な子供たちの声をお届けします。

2018年3月9日

3月9日 大川伝承の会 語り部ガイド(5)


東日本大震災の津波で、児童ら84名が犠牲となった、宮城県石巻市、旧・大川小学校。被災当時のままの姿を遺す校舎では「大川伝承の会〜語り部ガイド」が継続的に行われています。

先週末行われた会では、津波にのまれながら奇跡的に助かった当時小学5年生、只野哲也さんも語り部として参加。校庭から逃げて津波にのまれるまで。そして気絶から目が覚め、山で過ごした寒い夜について淡々と語ってくれました。けれど只野くんが伝えたいのは、こうした悲劇ばかりではありませんでした。

◆「大川がすごいいいところだっていうのを少しでも多くの人に伝えたい」
今ここは砂利ですけれども、当時芝生があって、一輪車にみんな乗れたっていうんですけど自分は苦手で、なかなか練習したけどあんまり(笑)まあそこそこ乗れて。そこの野外ステージの前で鬼ごっこして鬼から逃げて昼休み終わったのにいつまでも教室に戻っても“まだあいつらやってるよ”みたいな。あと土俵で隠れて泥団子を作っていて、ここ粘土なんでいい泥団子できるんですけど、本当はしちゃいけないんですけど(笑)そういう昔の楽しい思い出がここに来ればふっとすぐ出てくるんで。震災遺構として残る、震災の教訓とか、これからの防災に対して何が必要なのかって伝えていくのが必要なんですけれども、自分はそれ以上に、大川がすごいいいところだっていうのを少しでも多くの人に伝えていきたいなって思います。(この春から大学生になるわけですが目指すところは?)まだまだ大学に今から入っていろいろまた勉強することもあると思いますし、将来の夢もまだまだ決まってないんですけれども、やっぱり震災直後から、警察官か消防士、直接カラダを張って助ける仕事に就きたいという思いを、そこは変わらない思いなので、どういう仕事に着くかわかりませんが、やっぱり人を助ける、人の命を救うような仕事に就きたいなって思いはあります。


只野くんは、同じ大川小学校に通っていた妹、そしてお母さんとお爺さんを亡くしました。お母さんは只野くんにヘルメットを届けに来た帰りに、津波に襲われたといいます。現在は、お父さんとお婆ちゃんの3人暮らしの只野くん。この7年を振り返って思うのは、“お婆ちゃんへの感謝” でした。

◆「お母さんに親孝行できなかった分、おばあさんにしっかりしていきたい」
小さい頃から自分はおばあさんに育てられてたっていうか、妹が母親のお腹にいた時に母は体調悪くて、なのでどっちかというとおばあさん子で、おばさんが自分にとっては母親みたいな感じで。今は免許も取ったので、おばあさんを乗せてご近所回りしたり、今まで乗せてもらった分こき使われてるんですけれど(笑)。逆に自分のお母さんに親孝行できなかった分、おばあさんにしっかりできるよう、ま、親父にもしなきゃいけないんでしょうけれども、まずはしっかりおばあさんにできるよう時間を大切にしていきたいと思います。今年で72になりますけど、結構まだ活発で、喧嘩でも口が強いんで俺がすぐ折れちゃうんですけれども。おばあちゃん自分で運転もやりますけど、○○行くよ!とか言われて、“はい、わかりました〜”みたいな。頭が上がらないすね。震災後もずっとご飯作ってもらったりお弁当作ってもらったんで、家事とか家の事をやってもらったんで71歳という年で・・・本当におばあさんに頭が上がらないですね。


今回ご紹介しました、大川小学校の「語り部ガイドと勉強会」、あの場所で起きたことを自分に置き換え、考える機会にして頂けたらと思います。
大川伝承の会 facebook
小さな命の意味を考える会

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震災から7年を迎える、3月11日、午後1時から、一部の放送局を除いて
『LOVE&HOPEスペシャル 7年目の春だより〜ふたつのふるさと』をお届けします。

福島県富岡出身の小学校五年生の男の子たちが見た、自分たちのふるさととは?
そして福島県浪江町では、父と娘が漁を再開します。

政治学者の姜尚中さんとお送りする「7年目の春だより」3月11日 午後1時から。ぜひお聴きください。
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パーソナリティ 鈴村健一

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