2018年3月28日

3月28日 環境再生プラザ(3)

今朝は引き続き、福島市にある「環境再生プラザ」の取り組みについてお届けします。

震災による津波を引き金に起こった、東京電力福島第一原発の爆発事故から7年。いまの福島の現状や前例のない除染事業の詳細、環境回復の歩みなどを伝えている拠点が「環境再生プラザ」です。館内では、VTRの放映やパネル、模型展示、専門スタッフによる解説や相談も行われ、県内外はもちろん、海外からの来館者も少なくないといいます。さらに「環境再生プラザ」では、市町村や町内会、学校などへ専門家を派遣して講習会も開いています。詳しいことを「環境再生プラザ」ディレクターの渡部拓哉さんに伺いました。

◆県内の放射線の学習
福島県では年間2時間から3時間程度、“「放射線学習」を実施してください”と、これは義務ではないのですけれども、実施が好ましいと県の義務教育課から言われておりますので、各学校は授業だったり、いろんな時間を割いて授業をしております。そこに対して我々が今までの放射線や除染の知識などを蓄積したものをプログラム化したものがありますので、そちらを提案させて頂いております。いちばんは放射線に対する正しい知識と情報を理解して頂きたいということと、風評払拭に繋がって頂ければと考えております。いちばん最初に取り組んだのが、まず学年別に考えていかないと理解度が違う。なので低学年、中学年、高学年という形でプログラムを考えました。低学年に関しては紙芝居を多用しております。中学年に関しては霧箱というものがあるんですけれども霧箱というのは放射線の飛跡・・・飛んだあとを観察できる、どのように放射線が飛んだのか観測できる実験をやっております。高学年に関しては、線量計を使った測定だったりとか、あとは風評被害について学んで頂いたものを、どういう風に発信していくかっていうことを学習して頂いております。話を聞く前に、“放射線は怖い”とか、悪いイメージがあったということが多々あったんですけれども、専門家による講義だったり、市町村の方にも入って頂いて、町の取り組みとしてお話しを頂いているんですが、その話を聞いたうえで、やっぱり怖いものだけではないという形で理解して頂いてると思っております。他の県では実際に放射線の学習というのは行われておりません。なのでそこでやはり県内と県外の温度差というものは非常にあるかと思います。そこでどうしても福島県では当たり前のことが、福島県以外では当たり前じゃないということが、いじめなどに繋がっているのではないかと考えております。ご紹介させて頂いた低中高学年のプログラムのツールは、環境再生プラザのホームページから全てダウンロードできるようになっております。そちらをご参考にして頂ければと思います。


環境再生プラザのホームページでは、低中高学年向けのプログラムをダウンロードできるようになっています。学びの参考にして貰えれば、ということ。
一方、国が直接行っている除染と、市町村が行なっている除染は違う。「環境再生プラザ」では市町村が行なっている除染の地域に対して学習の提案をしている。除染する地域の状況によって学習内容も変わってくるので、そこは今後の課題という。つまり“不必要な不安”じゃなくて、除染してない森や林など、線量の高い場所についての“必要な不安”の学習や情報提供が出来ていない、ということでもあります。環境再生プラザで教育活動を担う渡部さん。どういう思いを持って活動に向き合っているのでしょうか。

◆まず福島県内の今の状況を知って頂きたいと思います。県内の情報を正しく知った上で、どう考えるかというのは個人個人違うと思いますし、我々がそれを押し付けることではないと思っています。ただ間違った情報が入ってしまいますと、どうしても偏った考え方になってしまったりということが、いろんなことで風評被害になってしまうかと思っておりますので、そこは正しい知識と情報をいかに得るかっていうことが大事ではないかと思っております。

「環境再生プラザ」のホームページでは、学習プログラムのほか、放射線や除染などの資料や教材をダウンロードすることが出来ます。

福島の現状や課題を知ることが出来る「環境再生プラザ」。10:00〜17:00オープン。月曜が定休日。
詳しくはオフィシャルサイトをご確認ください。
*****
また、今日までお届けした「環境再生プラザ」の取り組みについて、あなたが聴いて感じたこと、ブログのメッセージフォームから送ってください。抽選で5名様に3000円分の図書カードをプレゼントします。

2018年3月27日

3月27日 環境再生プラザ(2)

今朝は引き続き、福島市にある「環境再生プラザ」の取り組みについてお届けします。

震災による津波を引き金に起こった、東京電力福島第一原発の爆発事故から7年。いまの福島の現状や前例のない除染事業の詳細、環境回復の歩みなどを伝えている拠点が「環境再生プラザ」です。去年の春、復興への大きな一歩を記したのが、双葉郡の4町村で帰還困難区域を除いて避難指示が解除されたこと。ただしどの地域も住民の帰還は思うように進んでいません。「環境再生プラザ」アドバイザーの青木仁さんのお話です。


◆避難先で積み上げてきた生活基盤を元に戻すことの難しさ
除染は終わりましたけれども、除染だけではやり人はそこで生活できないということ。雇用機会もなければいけませんし、高齢者の方は案外気楽に戻りたいと思っておられる方多いと思うんですけど、今度は医療施設の整備があまりまだ進んでいないと今度はそれが不安だということで、皆さん事故からこれで7年経ちましたけれども避難先で様々な生活基盤というものは整えてきておられると思うので、それをまた元に戻るのはなかなかハードルが高いと思います。そういった社会的な条件とかを一歩一歩築き上げてきながら、いろんな方が戻ってくるだということだと思います。


住民の帰還と街の整備、どっちが先か・・・これはどの地域も抱えている問題。一度、人の往来が途絶えた町、しかも住民の帰還がなかなか進まない町に雇用機会や医療など、町の機能を取り戻すのは簡単ではありません。この状況を打開するためにも、正しい知識を得ることが重要で、そのための情報発信を行なっているのが「環境再生プラザ」です。館内では、VTRの放映やパネル、模型展示、専門スタッフによる解説や相談も行っています。県内外の子どもたちが研修で訪れたり、海外からの来館者も少なくないといいますが、ここで何を学んで感じて貰いたいか、あらためて青木さんに伺ってみました。

◆福島の現実を知って風評を払拭する
ここに来られる方は福島のことを知りたいし福島に何か貢献したいという方が来て頂けると思うんですね。そういう方々がいちばん知りたがっておられるのは、福島の実際の姿はどうなのか?実際に福島に住むとことはどれくらい放射線リスクのあることなのか?っていうこと。例えば今の放射線量の状況だとか、それから食べ物に含まれている放射線の量。そういったものをデータに基づいてご説明する中で、皆さん福島で暮らしている・・・今190万人近く暮らしてるんですけれども・・・それが本当に無謀のことをしてるとか、自らの健康を犠牲にしてそこに住んでいるということではなくて、もうほぼ避難エリアを除いては、日常生活をきちんと送れるようになってきているんだなってことが分かって頂けるということで、とくに外国の方なんかは、自分たちがいかにデマとか誇張された情報とかに惑わされてきたのかってことが分かって頂ける。農業もそうですし水産業もそうですし、林業もそうですけれども、対策を講じているので、例えば農作物であればカリウム肥料きちんと農地に与えることで、土の中にセシウムが残っていても作物がそれを吸い込まなくて済むようにできるということがわかってきていて、実際にできたものを検査してみると放射性セシウムが含まれている量は本当に少ないということが分かって頂けるので、そのことをデータをもってご説明するのと、あとは食べ物の中にセシウムがどれくらいあるのか測ることもできる機械があるので、そういったものを実際に自分で測ってみると、本当にそうなんだってことが分かって頂ける、それで納得して帰って頂ける。最初は除染の情報を提供でしたけど、今は福島の現実を知って頂いて、福島の風評を払拭すると、それが最重点課題かな思っています。放射線に関する間違った理解に基づいた不必要な不安というものを抱えているということは、福島県外に人にとっては、それは無用なストレスを感じていることですし、福島にとってみれば、たとえば福島の食べ物、美味しくて安心なのに買って頂けないとか、それから子供たち、福島県外に出て行くといじめを受けるとかいったことになるので、福島県にとっても非常に残念な状況なので、この風評払拭というのはとても重要な課題だという風に思っています


福島の現状や課題を知ることが出来る「環境再生プラザ」オフィシャルサイトはこちら
10:00〜17:00オープン。月曜が定休日。月曜祝日の場合はその翌日がお休み。入場無料。
*****
「環境再生プラザ」の取り組みについて、あなたが聴いて感じたこと、メッセージフォームから送ってください。抽選で5名様に3000円分の図書カードをプレゼントします。
«前の記事へ || 1 | 2 | 3 |...| 256 | 257 | 258 |...| 1066 | 1067 | 1068 || 次の記事へ»

パーソナリティ 鈴村健一

メッセージ、ご意見、プレゼントご応募はこちら

特別番組 LOVE & HOPE ~10年目の春だより

TOKYO FM 特別番組 HANABI

「LOVE&HOPE~防災ハンドブック2015」PDF版ダウンロード配信中

アーカイブ

  • いのちの森
  • Support Our Kid's
  • TOKYO FM
  • JFN