2018年4月17日

4月17日 熊本地震から2年 地獄温泉「清風荘」(2)

今朝も引き続き、熊本地震から2年を迎えた南阿蘇村からのレポートです。

阿蘇の山麓で200年以上にわたり、湯治の湯として愛されてきた「地獄温泉 清風荘」。地震と豪雨災害によって大量の土砂が旅館に流れ込み、 一部を残して建物の解体を余儀なくされました。

そんな2重の災害にもめげず、清風荘の代表、河津誠さんは「すぐに復興しよう」ではなく、“100年先・200年先”を見据えています。その心の支えとなっているのが、130年前に建てられ、取り壊しを免れた「本館」と、1つだけ残った温泉「すずめの湯」でした。

◆誰も入ってないのにここで沸き続けている
中)そこまで聞くとお湯に入りたくなる
河)もう1つ僕らの元気を支えてくれて、常に変わらぬ態度で接してくれるものがあるんですね、だから僕らがブレない気持ちでいられる。それを見にいきましょう
中)うわ〜香りがすごい!
河)これは世界でも珍しい、源泉に直接入るお風呂です。普通こういった濁った硫黄泉というのは熱くて入れないんです。だけど奇跡的にあの石垣の下から天然の水が沸いてそれが絶妙にブレンドされているんです。
中)乳白色でものすごいきれいな色で美しいですよ
河)ボコボコ沸いてるでしょ
中)じゃ、実際に手を入れさせていただきます・・・ちょうどいい!!!
河)誰も入ってないのにね、とにかくこうやって沸き続けているんですよ。
中)もう、10日ぐらいここに居ていいですか
河)お得意様はここに入りますね。この角。静かにしていただくと、ボコボコだけじゃなく、シャンパンみたいな「シャーー」という音がします (実際にシャーーっと炭酸水の様な音が聞こえます)
やっぱりこれがあるからお客さんに入っていただきたいと思いますよね
中)これは僕も日本全国の方に入っていただきたいですね、どうしても。
あとは源泉に直接足を入れさせていただいていますけど、この贅沢はないですね。
河)まずは道路が入れるようになることが第一条件ですね。一応来年4月の予定なんですけど遅れると言っています。
今はベストな状態じゃないんですよ、白い幕が張ったりしてるでしょ、これはうまい循環になってない、まだ、ただ沸いているただのお湯です。これを僕らが営業してお客さまが入るという循環が加わるとはじめて温泉になる。というのも地震で休んではじめてわかったことですね。こんなふうに以前はなってなかったから。
でガスの中に硫化水素が含まれているので囲えないんです、囲うと人が死んじゃうんです。それで男女混浴に。これから外国のお客様も迎えないといけないので湯浴み着を付けて入ることにします。思い切って。


唯一残った「すずめの湯」は、地震後も止まることなくボコボコと沸き続けています…ここだけ時が止まってないような、震災なんてなかったかのように入浴する人を待っています。


★現在、この「すずめの湯」や本館の再建を目標としたクラウドファンディングが始まっています。(今年の3月〜来年の3月まで受付)金額に応じた入浴券や宿泊などの特典があります。
詳しくはコチラをご覧ください

河津さんのさらなる復興への想い、明日もお伝えします。

清風荘ホームページはコチラ。

2018年4月16日

4月16日 熊本地震から2年 地獄温泉「清風荘」(1)

今朝は、熊本地震で大きな被害を受けた、南阿蘇村からのレポートです。

今回中西さんが訪ねたのは、熊本地震と豪雨災害によって甚大な被害を受けた阿蘇の地獄温泉、200年の歴史を誇る老舗旅館「清風荘」です。
もっとも被害を大きくさせたのが、震災から2ヶ月後に阿蘇地方を襲った豪雨による土石流。大量の土砂が旅館に流れ込み、一部(本館)を残して建物の解体を余儀なくされました。宿に通じる道は現在も閉鎖されたままで、土砂を運び出す作業が今なお遅れています。

昨年の風景


本館を残して建物の解体が進んだ2年目


そんな2重の災害にもめげず、一歩ずつ、“温泉の再開”に向けての活動が始まっています。「清風荘」の代表、河津誠さんに案内していただきました。

◆「壊したことでいろんな夢が見られるんです」
中)風も気持ちいい、鳥の鳴き声もするし、素晴らしいところですね。歩いているこの辺りすごく硫黄の香りがしますね
河)この辺りお湯も沸きますし、ガスもどんどん沸いている場所です。
熊本地震から2ヶ月後の6月20日の大雨による土石流で、あそこに自動販売機が何台か転がっていますが、流されちゃったんですね。川の音が聞こえると思いますけど、その川が土砂で堰き止められて溢れて、この宿を壊しながらこっちに流れて、地獄温泉の敷地内を川が流れている状態で。新館も旧館も泥だらけです。
これが本館です。明治の中期、およそ130年前ぐらいに建てたものですが、今回解体したことによって大昔の人のものすごい執念のこもったものが出てきました。ちょっと見にいきましょうか・・・


中)すごいしっかりしてますね、床もものすごい丁寧に作られている・・・ 
河)そうですね130年前は今車で来た道もなかった、歩いてしか来れなかった時代にこんなでかいのをこんな山の中に作ってるんです。
解体前は全くこれ見えなかったんです。

中)あ、(本館裏の床下に)石垣が。
河)この辺りは沼地なんです。制御しないとここに建物建てられないのでまず掘って石垣作って水を逃がしたんです。それをまだパワーシャベルもない頃に全部手でやってる。この石運んできたと思いますか?歩かないといけないのに絶対に運んでないですよね。ここから出てきた石をきれいに削ってのっけて。お城並みなんですよこれ。なぜこんなことしたかというと、歩いてしか来れないので日帰りで帰ってくれなんて言えないじゃないですか、お風呂入りに来た人に。だからどうしても泊めたいと思ったんでしょうね。ゆっくりしてもらいたい、痛みを治してもらいたい、傷を治したもらいたい。じゃ泊るところが必要。じゃここ基盤づくりから始めましょうと。というのを僕ら今回の地震ではじめて知ったわけです。「なにめそめそしているんだ、このぐらいのことで」と、そういうメッセージが伝わってきます。そのエネルギーはスゴイですよ。そうなると諦める理由にはならないでしょこの状況は。ま地震はあったけどこの先祖たちの苦労に比べれば全然楽だと。今度はこの沼地もロケーションとして活かしちゃおうと、水が出るんだったら水の庭にしようと、壊したことでいろんな夢が見られるんです。その夢はあと100年磨きましょうと、一生懸命この方たちがやったように。そうすれば新しい技術が次の伝統になっていませんか?というコンセプトです。


旅館の解体をして見えてきた老舗旅館の歴史。本館の裏、山の水をハケさせるための石垣は、河津さんや兄弟も知らなかったそうで、先月この石垣を発見した
ことで目標がクリアになり「この夢を100年磨くとすれば自分の代では完結しないので、思いっきりじっくり考えられる」ととても明るい表情で話してくれました。
そしてもう1つ、河津さんに元気を与えてくれているのが、今も変わらず沸き続けてくれている源泉です。復旧への想い、続きは明日お伝えします。
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パーソナリティ 鈴村健一

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