2018年5月4日

5月4日 南阿蘇村「おふくろ亭」(3)

今週は震災から2年を迎えた熊本からのレポート。今朝は引き続き、南阿蘇村で営業を再開した食堂、「おふくろ亭」の話題です。


「おふくろ亭」は崩落した阿蘇大橋に近い、南阿蘇村の黒川地区にあり、震災前は東海大農学部〔阿蘇キャンパス〕約1000人の学生が住んでいた、いわゆる“学生街の食堂”でした。

店主の橋本としえさんは、震災前学生や地元の常連客に腕を振るっていましたが震災で自宅が崩壊。6時間もの間、自宅の下敷きになりながら九死に一生を得ました。大けがをして入院し7月に退院。お店の建物が無事だったこともあって、いつか戻って来る学生のためにと、9月にお店を再開しました。

しかし今年春、東海大農学部の新キャンパスが益城町に整備されることが決まり、黒川地区が震災前のように、“学生が住む町”に戻ることは無くなりました。いまは工事関係者や、阿蘇大橋の崩落現場を見に来た方に、週に5日ランチを提供しています。

◆自慢の「あか牛丼」「煮込みホルモン定食」700円!
ここに橋が崩れたところを見に来られた方で、言って頂いた方には地震の時の状況とか、自分の知ってる限り話をしたりとか、主人が撮ったこの地域の昔の写真とかも置いて、以前はこんな感じだったんですよ、みたいな話をしたりしてます。
あんまりメニュー無いんですけど、「煮込みホルモン定食」っていうのが最初からやってるんですけど、にんにくをこの店の横に植えてるんですよ。そのにんにくを使って、味噌煮込みやってるんです。あと主人がいまいろんなところから人が来てるから、ここはひとつ赤牛の牛丼を食べてもらいたいと・・・(笑)赤牛牛丼高くなるからどうするの値段は!でも高かったら人は入ってくれないんじゃないかな〜とか思って・・・一緒で700円で出してるんです。ホルモンも結構手間がかかって大変なんですけど、美味しいと思いますのでよろしくお願いします(笑)


阿蘇の名物「あか牛」の牛丼が700円で食べられる!ということに衝撃を受けつつも・・・(ほかの店ではだいたい1400円以上)ここはやっぱり、イチオシの「煮込みホルモン定食」を注文することに!


◆学生が戻らないと、だんだん気力も失せてくる
(最大でこれ6人ですか?椅子を足せばもうちょっと入るかな)多い時は8人ぐらいかな。でも今あんまりそこの道が通行止めになったから人来ないかなと思ったら、旗が見えたからやってるんだと思ってぐるっと回って来てみましたっていう人もいて、ありがたいなと思って。(いま仮設はどこなんですか?)場所はシモノヤマダですね。ここを上って左の方にずっと入ったところです。車で10分ぐらい行かないといけないんです。(そこでご主人と?)主人と二人です息子は出まして。四畳半二間で台所。いまは主人が一部屋、私が一部屋みたいな感じです。(ここ阿蘇大橋が目の前。そうじゃなかったらすごい景色ですよね)そうですよ。もう一年目は岩がゴロゴロゴロゴロ落ちる音ばっかりしてました。その時はもうちょっと元気あったんです。あの頃あんなのに負けたらいかんと思ってから、最初はなんかすごい元気だったんですけど、2年も経つとだんだん気力が落ちてくるんですね。(学生が居なくなった下宿屋さんとか皆さん閉じてるんですか?)下宿屋さんはぜんぶほとんど解体。アパート残ってる下の所に作業員の方が住んでいる。(まだあと2年ぐらい続くんでしょうね)お待たせしました、ホルモン定食ですどうぞ〜(やばい美味しそうちょうだい)〜〜〜



「煮込みホルモン定食」。
味噌のコクとホルモンの甘みある脂、そしてにんにくの香ばしさが口に広がる、それはそれは旨い煮込ホルモン。

まだ復興工事が続いている黒川地区。「おふくろ亭」の前の道も通行止めの区間になっていますが、お店までは特別に通行できるよう措置がとられています。美味しい美味しい「煮込みホルモン定食」を求めて、訪ねてみてはいかがでしょうか。

2018年5月3日

5月3日 南阿蘇村「おふくろ亭」(2)

今週は震災から2年を迎えた熊本からのレポート。今朝は引き続き、南阿蘇村で営業を再開した食堂「おふくろ亭」の話題です。

「おふくろ亭」は、南阿蘇村の黒川地区、東海大阿蘇キャンパス近くにあるいわゆる“学生街の食堂”。店主の橋本としえさんは、学生や地元の常連客に腕を振るっていましたが震災で自宅が崩壊。その時、6時間もの間自宅の下敷きになりながら、九死に一生を得ました。橋本さんは救出された時、担架にカバーをかけられていて、自宅や町がどんな状況になっているか、その時は見ることが無かったんですが、それから3か月後に退院して初めて被災した自宅と店舗を見に行きました。


◆無地だった
ほんとびっくりしました。家がつぶれてカーテンゆらゆら、なんかもうちょっとショックだったですけれどもね。ここから助けて頂いたんだなと思って。(お店は見に来られたんですか?)店、その時見に来ました。で、“無事だったんだ”と思って。どうもなってないと思って。ほんとびっくりしましたね。ほとんど無傷、どこも手を入れてないです建物自体は何もしてなくて。そのかわり周りは土地が隆起したり、波打ったりしてましたけど。で9月の終わりぐらいに、それこそ学生さんとかボランティアさんに手伝って頂いて、中をきれいにして頂いて、そこから再開して今に至っているところです。


自宅は1階がつぶれて全壊したものの、お店はほぼ無傷。学生やボランティアに手伝ってもらいその年の9月にお店を再開しました。ただその時、被災した東海大阿蘇キャンパスからは学生が消え、住民の多くも仮設住宅などに移っていて、お店を再開しても人が来るかどうかは分からない状況でもありました。それでも店を再開しようと思ったのは、どんな思いからだったんでしょうか?

◆学生はいなくなったが、復旧作業にあたる方のために
なんだろ・・・いま自分にできることは何かなって思った時に、店があるから店で再開して、仕事、作業に来られている方とか、普通の方もいらっしゃいますし、ちょっとでも人の役に立てればいいかなって感じで始めたんですよね。その時は近所の人とか来ても寄るところも何も無いんですよね。だからちょっとでもここに来てゆっくりしてもらいたいなって気持ちもあったりして。何もないところで店があって、なんとなくこうチカラになるじゃないけど元気になるとか、そんな感じのことも言われたり、で、“あーやっぱり頑張らんといかんな”と思って。学生さん・・・入学したばっかしで親子3人で食べに来られて、“今からこっちの方に住みますからよろしくお願いします”って言って頂いて、“じゃあよろしくお願いしますね”とか言って、そういう会話した方が地震の後に来られて、“こんなことになって”みたいな感じで話をされたりとかですね、“ここ店が開きましたね〜”みたいな話をしたりとかですね。まあ今から来てもらえるのかな〜みたいな、ギリギリのところで頑張ってるところです。いつの日かもうちょっと商売になるように頑張りたいですけど。だんだん人が少なくなるしちょっと心細いところもあるんですよね。ここに住んでた人がみんなは帰ってこないし、まあ世の中なるようにしかならないからと思って、まあ今のところは作業の人が来てるし、道が通れば普通に仕事帰りの客さんとかも寄って頂けるんじゃないかなと思ってるんですよね。以前お店開けてた時に会社帰りのお客さん来て頂いたりしていたので、どうかな〜と思ってるとこですね。もうまったく先が読めない状況なんですよね、いま。


「おふくろ亭」は、今は週に5日、昼のみ営業しています。
以前は客の6割が学生だったが、今はほとんどが復興工事の関係者。まだ周囲は自宅再建もままならず、工事が続いていて、今回の取材でも辿り着くのに苦労しました。そんな状況にもかかわらず、まるで暗闇に灯りをともすように、お店を開けている橋本さんの「おふくろ亭」。「煮込みホルモン定食」がイチオシということなんですが、明日はそんな「おふくろ亭」のメニューについてお届けします。
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パーソナリティ 鈴村健一

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