2018年5月28日

5月28日 四季彩食いまむら 5年目のチャレンジ(1)

今朝は宮城県石巻市の中心市街地に震災後オープンした和食店『四季彩食 いまむら』のレポートです。

ご主人の今村正輝さんが震災後、ボランティアで石巻に入ったのをきっかけに、石巻に2013年4月にオープン。地元の食材を存分に使った創作料理で、今では全国の食通が通う人気店に。

そんな「四季彩食 いまむら」。オープンから5年目にして、“次のステージに向けて” 動きはじめました。店長、今村正輝さんのお話です。

◆5年目のチャレンジ
今ちょうど5年。このタイミングで一回改装に入ろうかと。とりあえずお金もなかったのでお店も全部手作りで作ったんですけど、後々は直したいねというのはいっぱいあったし、たぶん方向性も変わってくるんじゃないかなというのは思ってて。それを5年の区切りの時に、6月2日で休業してもう一度自分のチャレンジ、やりたい料理をやってみたいという想いがどんどん出てきたので、それで決めましたこの時期に。


震災後、被災した飲食店の再開を手伝う中で「自分もここでお店を出して、商店街の一員としてやっていきたい」「料理人として、ここの食材を使いたい」という想いからボランティアを続けながらお店を出すことを決意。当時は資金集めなど、苦労の連続だったと言います。


本当どうなるか不安でしたよ、人通りがないじゃないですか、今もそうですけど。やっていけるのかな?というのは当時ありましたけど。勉強は近くに漁師さんや生産者さんがいるので、やってみてはじめて気づくことやありがたみ、その想いとか繋いでるバトンとかは、千葉や東京にいた頃はわからなかった自分がいた。震災があって復活するのに何年かかかって、その中で大事に大事に育てたものを預かるので、それをいかに喜んでもらえるように、そのもらったバトンをお客さまに渡したいという想いは強くなりました。生産現場に行くことで勉強になったり、想いの部分は変わりましたね。漁師さんたちもまた、僕も生産現場に近いですけど彼らも近くにお店があるのでチェックをしに来てくれる。例えば神経締めの魚屋さんで大森さんという方がいるんですけど(神経締めした魚は)みんな東京へ行ってしまうので味見ができない。それが日ごとにどうやって変わっていくかを食べに来てくれて「こう締めた方がいいかもしれない」とか、お互い向上できるように、それもここならでは。そういったことをいつもやっています。

これは石巻の金華山沖で獲れた鯛です。さっきまで活魚で先程大森さんに神経締めしてもらったやつです。今鯛を3枚におろしたところなんですけど、この鯛の身に岩塩をかけると・・・・はじまりましたね。(身がピクピクけいれんを始める)岩塩をかけることによってカラダが反応して今脱水しています。臭みとかヌメリとか、もうちょっとしたらすごい水分が出る。死後硬直を遅らすという意味で神経締めはあるんですけど、うちは更に余分なものを自分自身で抜いてもらう。これを召し上がってください。


金華山沖で獲れた鯛の神経締めし、3枚におろして切り身に岩塩をかけると切り身が痙攣して余分な水分が出てくる類を見ない産地ならではの調理方法です。

「四季彩食 いまむら」は6月2日で休業〜改装に入ります。改装前に訪れたい方、あと少しのチャンスを狙ってぜひ召し上がっていただきたいです!

改装後の店舗について、続きは明日お送りします。

「四季彩食 いまむら」サイト

2018年5月25日

5月25日 方言消滅の危機(7)

今週は、消滅の危機にあるという日本各地の『方言』 の問題、お伝えしています。

東日本大震災の影響で、岩手、三陸、福島の方言が消滅の危機にあるということをお伝えしてきていますが、こうした状況を受けて東北では、大学研究者による方言の調査研究、そして方言教育の支援が行われています。

お話伺ったのは、震災が方言におよぼした影響を調査している岩手大学の大野眞男教授。いま、東北・岩手県はじめ各地で方言の魅力を再確認する取り組みが盛んになっているといいます。

◆「やってやっぺし!」
地域の方言を自分の言葉としてしゃべってみる模擬体験も大事。一番良いのは演劇。従来演劇は観客誰でも分かるように共通語でするのが常識でしたが、地域では、地域で通じる言葉であれば別の効果がある。
田老第一中学校ではそういう試みをやっていて、田老地区の言葉で、昭和の津波のあとに、「こんなことではいけない、しっかりした防潮堤を作ることで悲劇がないようにしよう」という、昭和はじめの防潮堤作りに取り組んだ初代村長の「関口松太郎物語」という演劇をやっている。地域の素材なので共通語でなく田老の言葉でやろうと中学校の先生方がやっている。しかし先生はものすごく忙しいです。だいたいその土地の生まれでない方が担当するので、方言のシナリオ作りが難しい。そこに私ども研究者が入っていって、方言を翻訳する手伝いをしたり、地元の人に、方言訳の正しさのチェックをしてもらって、その結果出来上がった方言台本を子どもたちに演じてもらうということを2年続けてやってきました。今年も3年目で続きをやることになるわけです。

そんな地域の言葉で防潮堤を作る作らないの議論を方言でやるんですが、最後のシーンは共通語なら「やろうぜ」となりますが、地元の言葉で「やってやっぺし!」で決めるんです。そのセリフ「やってやっぺし」に、地元中学生も地元の人達も心が一つに向き合っていく。そういう地域の気持ちが同じ方向にピタッとまとまっていく瞬間が、去年も今年も劇の中でみることが出来ました。子どもたちが方言で演じるだけでなく、観ている聴衆も心がっぴったり寄り添う。これは共通語のシナリオでは考えられない。方言でやっていただいてよかった、私達も支援をして本当に良かったと思う瞬間です。


岩手県田老地区のほか、同じ岩手県釜石市は、いくつかの小学校で方言の授業、方言の昔話の語り聞かせも行われています。また、地方にはその土地の方言話者が、地元の民話を語るイベントがあり、その「語り部」が活動していることも少なくないということで、そうした活動と連携した取り組みも進んでいるということです。
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パーソナリティ 鈴村健一

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