2018年6月7日

6月7日 トルコギキョウの里・山木屋のいま(2)

引き続き福島県川俣町・山木屋地区でトルコギキョウの生産をされている、菅野洋一さんのインタビューです。

山木屋は、質の高いトルコギキョウの切り花などの産地として全国的に有名です。震災の影響で、数年間にわたり生産がストップしましたが、
生産者の方々は復興の先導役になろうと、いちはやく再開に取り組んできました。そして現在 山木屋では8軒の農家がトルコギキョウの生産を再開しています。

もちろん再開にあたっては、放射性物質が「検出されない」こともしっかり確認しています。懸念された「風評被害」も、大きな影響はなかったそうです。

◆山木屋のトルコギキョウのブランド力!
再開したのは4年前です。その時に市場に行ったんですけどごく一部の消費者の中にはちょっと嫌う人もいたんですが全然問題なく、前年と同じくらい販売はできていました。値段も下がらなかったですね。今は震災前よりも少し価格も高めかな。相場的なものもあるんでしょうけれども販売はできていますね。ブランド化していましたから。ですから他のものよりは何割が高く販売していましたので、今もそれは変わらないということですね。


ということで、トルコギキョウの生産は、良い方向へ行っているみたい。ただ、きのうもお伝えしましたが、人口減・高齢化の問題は根深く続いている。
とくに山木屋地区は、去年の春、避難指示が解除されたのですが、帰還された人数は、住民のおよそ4割にとどまっています。

◆これからの課題
山木屋のごく一部の地区が避難だったので、川俣町自体はそのまま生活をしているんですけれども、いずれにしろ若者が少なくなっていますよね。川俣町からも県外に避難してる人がいますからね。除染は環境省が言う分には終わったと言っています。でもそれは住宅、家の周りの20メートルですね。里山はやっていない。結局われわれは里山で生活してきたわけで、山菜をとったり木を切ったりしてきたわけですから、そこをしっかりやってもらわないと正直我々としては除染が終わったとは言えないんじゃないかなと思っているんですけども。でもなかなか国の方ではその辺はね。ですから、自分たちの生活をするところだけをやりますけれども、ただ、それ以上はなかなかできないので。あまり山には入らないで生活をする状態になるのかなと思っていますけどね。この地区は4割が帰還したと言いましたけれども、現実には若いものは戻って来なくて年寄りだけ。僕らの子どももそうですけれども、川俣町内に住んで通勤農業をしています。若者はみんなそういう形ですね。ここらで寝泊まりしているのは年寄りだけと言うことで、年配の人たちはいずれ、なくなるもんですから、そしたらこの部落はもう終わりになってしまうんじゃないかな。その辺が非常に心配なところですね。


厳しい現実はありますが、20代の若い農家さんもいらっしゃるという話しですし、ぜひ応援していきましょう!今年も、山木屋の美しいトルコギキョウ、もうすぐ出荷されます!

◆頑張って作った花です
出荷は7月の上旬から10月いっぱいくらいまで。寒暖のある所で育っていますから発色が良くて気持ちが良いですね。他の産地と比べれば日持ちがまるっきり違います。今は大変な状況で、頑張って作った花なので、ぜひともうちの花を見かけたらば、大切に扱って飾っていただければなと考えております。

                                                            
★山木屋地区の生産者グループ「あぶくまカットフラワーグループ」はこちら                                                                

あしたは、福島県楢葉町(ならはまち)を日本酒で応援する取り組み、お伝えします。

2018年6月6日

6月6日 トルコギキョウの里・山木屋のいま(1)

きのうまでは8年ぶりの山開きを行なった、福島県、阿武隈山系の霊峰、日山(ひやま)の話題でしたが、今朝は、その日山のふもとの山村に目を移します。

お話を伺ったのは、福島県川俣町・山木屋地区でトルコギキョウの農家を営む、菅野洋一さん。この山木屋地区は里山に囲まれたのどかな地域で大変 質の高いトルコギキョウの産地として全国的に有名です。震災後の影響で生産は数年間ストップしましたが、2014年には出荷も再開しています。ただ、一次産業全てが、完全な復活というところまでは、まだ、至っていません。

◆農業畜産、再開のめどは・・・
ここは農業地帯ですから、農業をずっと主力でやってきたんです。トルコギキョウ栽培農家はこの山木屋地区では震災前は11戸だったかな。この地区は準高冷地なので夜間は気温が下がるんです。ということで花も発色が良いんですね。特に紫やピンクが良い色が出るものですから、他の産地と比べるとものすごく良いものがしっかりできて、結構評価されていたんですよね。ですからここの中心的な作物になり得るのかなと言う感じはしていたんですけどもね、今年で僕らのグループは30年になるんです。僕が始めたのは平成元年で、平成2年から東京のほうに出荷が始まったんですね。その前はタバコの産地だったんですけれども、僕はタバコはやらないで製糖、畜産、野菜をやっていたんですね。ただなかなか売り上げも出ないし、それに代わるもので何かないかと考えた結果がトルコギキョウでした。残念ですがタバコはやる人はもういないですね。現実にできないです。野菜関係も大体はもう許可は出ているんです。ただタバコに関してはまだ出ないんですね。あと畜産がなかなか大変です。やはり放牧すると野原の草を食べるので、まだ許可が出ていないんですね。


山木屋地区では現在、8軒の栽培農家がグループを作り、トルコギキョウの生産を再開しています。本当にご苦労されたそうですが、再開を諦めずに活動し続けてきたのだそう。

ただ、タバコや畜産業の再開は、なかなか難しいというのが現実。そして、地域全体の人口減、高齢化も大きな問題です。菅野さんご自身も60代後半。 若い世代は戻ってきているのでしょうか。

◆地域の名産をもっと知ってほしい
全体的には4割くらい戻ってきているんですが、現実に戻ってきた人はみんな年配の方。65歳から70歳位の人なもんで、現実にその人たちが農業を再開できるかというとできる状態では無いですよね。かろうじて花を作る人たち、僕らのグループは8戸なんですが、戻ってきて花の栽培をやっています。(若い方もいる?)そうですね。若いのはうちの息子。あと一番若いのは20代ですね。子どもが戻ってきてやっているのが3戸ありますから、春に、ここでやっていきたいという若者が何人か出てきたのは良いんですけれどもね、ただ全体のコストや量が少なくなっているので、できればまだまだ違う人たちにも栽培を始めてもらって、山木屋の花はこんなに良いものがたくさん出るんだとみんなに知ってもらいたい、そういう産地にしたいと思っているんですけどね。




菅野さんが育てたトルコギキョウです。トルコギキョウは色んな色が育てられるんですね。特に紫色は、色づかせるのとてもむずかしいものだということです。

★山木屋地区の生産者グループ「あぶくまカットフラワーグループ」はこちら

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パーソナリティ 鈴村健一

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