2020年1月30日
宮城県雄勝町の 「御留石」4
引き続き、宮城県石巻市雄勝町からのレポートです。
書道用具の硯の生産地として、数百年の歴史を持つ、雄勝町。特に、「御留山」という山からとれる石は、かの伊達政宗も認めた良質な材料として知られています。しかしこの御留山は、復興事業の一環で、道路を通す計画が進み、今後、石が採れなくなる可能性が高まっています。
そんな中、雄勝の地元組合から依頼を受け、東京・浅草の硯職人が雄勝を訪れました。
青柳貴史さん。『情熱大陸』などでも紹介された、日本を代表する硯職人です。
◆採れなくなる前にできることを
2種類考え方があって、硯はなくても人々は生きていけるものなので、僕たち硯に従事している者としては愛すべき存在なので何に変えても残したいという気持ちはありますけど、ここを道路にするインフラ整備が生活に寄り添ったものであるならば、それは仕方ないと思うんです。ただそこにはいろいろな事情があると思うので、山の持ち主ではないし僕はここの住人ではないので、無理強いというか自分の意見を通すことができないですけど、僕の願いとしてはやはり残ってほしいと思います。やっぱり北海道から屋久島まで、さらに中国の全土の硯材をほぼほぼ網羅してきた僕としては、日本でこれだけの良材が取れている場所って今のところ僕は見たことがないんですね。ここは日本で一番、硯に向いています。なので、取れなくなってしまう前にできる限りこれを採石して、何かの形に残しておいた方が良いんじゃないかという話を組合の方からいただいたときに、そうだと思ったんですね。実際にテコで取る、そういったことも僕たちはやったことがないので技術的なことも含めて、組合の若い子たちもいるので、これからの技術継承ということにもなりますし、この石材を使って、伊達政宗が「ここの石は非常に石が良い」と、自分の硯をお作りになりましたけれども、当時の名工がこの石にどのように向き合って政宗公の硯を作ったか、そうした当時の名工の気持ちに思いを寄せて、それぞれ僕たちが、いただいた硯材で硯制作に取り組んでみる。山からいただくところから名材とどのように向き合うかと言う、そこを念頭に僕も作りたいと思います。
ということで、東京 浅草の硯職人・青柳貴史さんは、御留山から石を採って、硯づくりを進めようとしています。雄勝は去年、学校を卒業して2人の若者が硯業界に入ってきているので、青柳さんは、その若い職人の卵たちと一緒に硯づくりをする考えです。
※昨年春に硯業界に入った徳水辰博さん(28)
目的は、硯文化の担い手に、地元ならではの技術を伝えるため。そして故郷の石材で、採石から硯づくりまですべてを経験させるため。ちなみに御留石のような質の高い石は、手作業で慎重に採石しないとヒビが入ってしまうため、採石できる量は限られるのだそうです。
明日もこの続きをお伝えします。
書道用具の硯の生産地として、数百年の歴史を持つ、雄勝町。特に、「御留山」という山からとれる石は、かの伊達政宗も認めた良質な材料として知られています。しかしこの御留山は、復興事業の一環で、道路を通す計画が進み、今後、石が採れなくなる可能性が高まっています。
そんな中、雄勝の地元組合から依頼を受け、東京・浅草の硯職人が雄勝を訪れました。
青柳貴史さん。『情熱大陸』などでも紹介された、日本を代表する硯職人です。
◆採れなくなる前にできることを
2種類考え方があって、硯はなくても人々は生きていけるものなので、僕たち硯に従事している者としては愛すべき存在なので何に変えても残したいという気持ちはありますけど、ここを道路にするインフラ整備が生活に寄り添ったものであるならば、それは仕方ないと思うんです。ただそこにはいろいろな事情があると思うので、山の持ち主ではないし僕はここの住人ではないので、無理強いというか自分の意見を通すことができないですけど、僕の願いとしてはやはり残ってほしいと思います。やっぱり北海道から屋久島まで、さらに中国の全土の硯材をほぼほぼ網羅してきた僕としては、日本でこれだけの良材が取れている場所って今のところ僕は見たことがないんですね。ここは日本で一番、硯に向いています。なので、取れなくなってしまう前にできる限りこれを採石して、何かの形に残しておいた方が良いんじゃないかという話を組合の方からいただいたときに、そうだと思ったんですね。実際にテコで取る、そういったことも僕たちはやったことがないので技術的なことも含めて、組合の若い子たちもいるので、これからの技術継承ということにもなりますし、この石材を使って、伊達政宗が「ここの石は非常に石が良い」と、自分の硯をお作りになりましたけれども、当時の名工がこの石にどのように向き合って政宗公の硯を作ったか、そうした当時の名工の気持ちに思いを寄せて、それぞれ僕たちが、いただいた硯材で硯制作に取り組んでみる。山からいただくところから名材とどのように向き合うかと言う、そこを念頭に僕も作りたいと思います。
ということで、東京 浅草の硯職人・青柳貴史さんは、御留山から石を採って、硯づくりを進めようとしています。雄勝は去年、学校を卒業して2人の若者が硯業界に入ってきているので、青柳さんは、その若い職人の卵たちと一緒に硯づくりをする考えです。
※昨年春に硯業界に入った徳水辰博さん(28)
目的は、硯文化の担い手に、地元ならではの技術を伝えるため。そして故郷の石材で、採石から硯づくりまですべてを経験させるため。ちなみに御留石のような質の高い石は、手作業で慎重に採石しないとヒビが入ってしまうため、採石できる量は限られるのだそうです。
明日もこの続きをお伝えします。