2018年6月26日

6月26日 SNSでデマを拡散しないために

今朝は大阪北部地震でも問題となったSNSで拡散する「デマ」について取り上げます。
熊本地震でもありましたが、今回の地震でも「京セラドームに亀裂が入った」「シマウマが脱走している」といった根も葉もないデマ。そして「外国人が犯罪をしている」といった差別的なデマ、というか大嘘が広がり問題となりました。

まったくもって腹立たしい話ですが、ここは冷静に、こういうデマをSNSで拡散しないために我々ができることを改めてお伝えします。お話は、法政大学准教授で、災害時のSNSに詳しい、藤代裕之さんです。

◆デマを拡散しないために
災害時のデマ情報というと、「ライオンが動物園から逃げた」とか、東日本大震災では「石油会社の爆発で人体に影響のある雨が降る」というようなことがあるんですけど、その時ちょっと止まって考えてみるということも大事。チェック事項があります。まず流れてきている情報の発信者を確認してほしい。facebookやTwitterは知らない人の情報も流れてきますので、その方が被災地にいる人なのか。被災されている方に非常に近いところにいる方なのかを確認する必要がある。発信された情報だけじゃなくその方のアカウントを確認して、それ以外にどんなことを発信しているかを確認するとある程度わかる。もしかしたらこの人はコピーしたりデマを流している人なのでは?というように確認できます。もう1つはその内容を検索してみると、すごくたくさんひっかかる内容かもしれない。それだとデマかもしれないですよね。なのでまずは発信者を確認する。それから内容を検索する。その2点を確認するだけで随分自身がデマを拡散してしまうことが減ってくると思います。


そしてもう一つ。良かれと思って、人を助ける目的で 情報を拡散したものが、逆に混乱を招くケースもあります。引き続き藤代准教授のお話です。

◆正しい情報が「デマ化」する
実は災害の現場ですごく困るのは救助情報や支援情報が適切では無い、正しくない状態で拡散され続けるというのがかなり被災地の負担を多くすることになります。
「助けて、いま生き埋めです」というものが拡散される。助かったとしても、「助けて」の情報はずっとSNS上で拡散を続けることがあるんですね。これも研究でわかっていて、「助けてください」というツイートはすごく拡散するんです。しかし「助かりました、ありがとうございました」というツイートはほとんど拡散しない。「助けてください」だけがSNS上に残り続けてずっと拡散し続けるということがあるわけなんですね。それで被災地の現場が混乱するということが実際に起きているということです。
ですから拡散するときには、例えばTwitterだったら<リツイート>で拡散するというやり方があります。本文をコピーして、自分でツイートするのではなくて、流れてきた情報を<リツイート>すれば、元の情報が消えた時にそのツイートも消えるという仕組みにTwitterはなっているんですね。そうすると「もう助かりましたよ」「物資はもう来ましたよ」ということになって、元の発信者の方がツイートを消した場合、リツイートだったら自然と消えてデマにならない。良かれと思って情報をコピーして別のSNSに投稿するということもあるわけです。LINEの情報コピーしてTwitterに載せたり、Facebookの情報をTwitterにコピーするということも実はSNS上でデマが消えない要因になっているんですね。当事者以外の方が、別のSNSから投稿コピーしたり、心配だからとツイートのコピーをまたツイートするということは控えていただきたいなと思います。


「助けてください」は拡散しやすい。 一方、「助かりました」は拡散しにくい。我々は、センセーショナルな情報を人に広げたくなる生き物だということを認識したい。その上で、その書き込みが「いつ」「どこで」「誰によって」発信されたものなのかちゃんと確認。内容を検索する。これが大切。災害への備えの一つとして、SNSの特性をしっかり知っておく必要があります。

明日も大阪北部地震を受けて、防災減災の情報をお伝えします。

2018年6月25日

6月25日 都市災害・ブロック塀の課題

今朝は大阪府北部の地震で小学校のブロック塀が倒れ、女子児童が犠牲になった問題をうけて、そこから見えてくる「都市防災、ブロック塀の課題」について専門家に伺います。

ブロック塀の危険性が認識されたきっかけは、40年前の宮城県沖地震。ブロック塀の倒壊による犠牲者やけが人が相次ぎました。これをうけて、建築基準法が見直され、高さの上限が3mから2.2mに下げられ、1.2mを超す場合は補強するための「控え壁」が必要となりました。しかし、その後も多くの地域で対策が不十分なブロック塀が、多く残されています。おととしの熊本地震では益城町で2人が下敷きに。地震後、益城町のブロック塀調査したところ、基準を満たさない塀はおよそ9割だったといいます。

なぜ宮城県沖地震の教訓は活かされていないのか。兵庫県立大学大学院 都市防災を研究する 室崎益輝教授に伺いました。

*********************************

Q:子供たちの安全を守るための小学校で、危険な壁が放置されています。宮城県沖地震をきっかけにブロック塀の耐震化が見直されたのになぜこれだけ対策がされていないのでしょうか?

一言でいうと、ブロック塀の危険性が忘れ去られてしまったということだと思う。阪神大震災だと建物の倒壊で耐震補強、東日本大震災では津波の被害が大きかったので高台移転というような防災上の課題が指摘されてきた。その中で宮城県沖地震でもその他の大きな地震でもブロック塀の倒壊は起きているんですけどさほど大きな話題にならなかったということだろうと思う。同時にブロック塀の回収作業に膨大な労力がかかるんですけどかなり手続きが面倒なので、ついつい面倒なことを後回しにしてしまう風潮があったと思います。

Q:小学校というと、校舎や体育館の耐震化も気になりますが、こちらの対策はどうなっていますか?

小学校の校舎の耐震化は文科省も力をいれて目標を明らかにしてきたので全国で8割〜9割が耐震化できていると思う。東日本大震災で体育館の天井が落ちたのでこれについても耐震化が進められてきているとは思いますが、ブロック塀については文科省の耐震化の点検項目にもいつの間にか抜け落ちていたので、点検項目がないので学校側もチェックをしなかったということもありますし、それから学校の先生方もブロック塀の危険ということをしっかり生徒たちに教えてこなかったし、知らなかった先生もいたと思う。だからブロック塀の危険も知らないし、建築基準法に違反していても、それが子供命を奪うものだとは思わなかったのではないかと思うので、先生方の意識の問題もあると思います。

Q:同じブロック塀でも、鉄骨が入っているか入ってないか。「控え壁」があるかないかは見分けることができない。大きな地震が来たらやはり塀から「離れる」しかないのか?

まず、40年前の宮城県沖地震より前に作られた古いブロック塀はほぼ100%鉄筋は入っていない。だから古いブロック塀には近寄ってはいけない。ところが今回のようなブロック塀は新しく作られたブロック塀でも法律が守られていないので、どうしようもない。
私は宮城県沖地震以降、子供たちに教える機会があるたびに、ブロック塀の横は通らないようにと教えているんです。にも関わらず今回の件もブロック塀の横にわざわざ通学ラインをひいていたということで、やはりブロック塀の危険を行政や学校が気づいていなかったということだと思います。

Q:もし新たなものに作り替える場合、なにか良い方法はあるのですか?

今回、プールの中の子供たちが外から見られては困るということで目隠しをしたいという意図だったんだけど、見通せなくて安全だということだと「生け垣」が一番いいんです。樹木を上手に植えて外からも見えないようにするし倒れても被害が少ない。
生け垣にするというのは学校だけではなくて市街地でもブロック塀を止めて生け垣にしようというのはかなり取り組まれてはいる。自然との共生にもつながるし命の安全にもつながるという意味で生け垣化を進めたいとおもいます。


兵庫県立大学大学院 都市防災を研究する 室崎益輝教授に伺いました。

«前の記事へ || 1 | 2 | 3 |...| 226 | 227 | 228 |...| 1066 | 1067 | 1068 || 次の記事へ»

パーソナリティ 鈴村健一

メッセージ、ご意見、プレゼントご応募はこちら

特別番組 LOVE & HOPE ~10年目の春だより

TOKYO FM 特別番組 HANABI

「LOVE&HOPE~防災ハンドブック2015」PDF版ダウンロード配信中

アーカイブ

  • いのちの森
  • Support Our Kid's
  • TOKYO FM
  • JFN