2018年6月28日

6月28日 企業・教育機関の災害対策

今朝は、企業や教育機関の防止減災の「いま」についてお伝えします。
お話を伺ったのは、働き方評論家で千葉商科大学専任講師・常見陽平さん。

職場環境、企業の社員対応に詳しい方ということで、大阪北部地震を受けて、企業における、社員の安否確認などの対応について伺いました。

◆あなたのお勤め先の「安否確認」は?
近年では企業の防災では「安否確認システム」というものが入っているんですね。全社員にメールですとか、そういったものが送られてそこですぐにURLをクリックして安否を入力するみたいなことがあって、実は普段からそのシステムの動作確認などを避難訓練を兼ねて行っていたりするんですね。

安否確認のシステムには様々な方式がありますが、何か災害やあったときにスマートフォンやそういったものを経由して企業に安否を知らせる。そういうシステムがあるということです。アプリの場合もあればウェブサービスの場合もある。またFacebookにも安否確認システムが実装されていて、関西エリアにいたら無事を報告すると言う機能が動いて、僕もたくさんの方から安否の報告がありましたがそういったシステムが実装されていたりします。安否確認システムみたいなものはシステムとして売られているんですよね。それは私が会社員だった十数年前から存在しておりまして、様々な企業や教育機関で導入している状況があると言う事ですね。

また、今回の災害においてもSNS上ではいわゆる出社しろと言われたと言う声もありました。それはそれで問題だとは思いますが、だいぶここ数年は大雨・大雪・台風・地震の時には、早く帰ろうと言う意思決定が早くなってきてると思いますね。


ということで、安否確認のシステムを導入している企業は増えているということですが、ぜひ、あなたのお勤めの会社はどうなのか、確認をする必要がありますね。

そして、企業と同じくで気になるのは、学校、教育機関の場合はどうか。常見さん、大阪北部地震で実際にあった例を教えてくれました。

◆BCP 事業継続計画とは
週末にトークイベントがあって大阪に行ってきました。私が見た限りで言うと実に普通に大阪の街が動いていたという印象でしたね。大阪のトークイベントに関西の有名大学の職員が来ていて、いわゆる危機管理の話を一通り聞いたんですけれども、あっという間に休校の意思決定をして、キャンパスに何人いるかも具体的にほぼ把握したそうで、キャンパス内の宿泊施設のキャパシティーなども計算して対応を行ったんですね。

極めてすごい意志決定だと思ったのは、残っている学生数とキャンパス内の非常食の数を計算して、いくつかのキャンパスが分かれている大学だったんですが、あっという間に自前でシャトルバスを用意したんです。非常食が足りなくなりそうな学生たちを別のキャンパスに移送するというところまでやったんですね。

大手企業も大学もここ数年何度も震災が起こっているわけですし、そういったことに対する危機管理を進めている会社はあるという印象です。東日本大震災の時にもいくつかの工場が被災して、サプライチェーンの中であるパーツが調達できないみたいなことがあって、BCP(事業継続計画)が注目を集めていて、何かあったときにどうリカバーするか、もしこの拠点が潰れたらどうするかということを策定する動きが顕著に起こっているというところです。


お話に出てきた「BCP」。日本語では「事業継続計画」と呼びます。
自然災害だけでなく、火災、テロなどを想定して、損害を最小限にとどめ、事業の継続・復旧の方法を取り決めておく計画のこと。アメリカ同時多発テロ以降、日本でも注目され広まっています。BCPは会社の存続だけでなく、投資家やマーケット関係者、そして消費者の「信頼」に繋がるものとしても重要視されているといいます。つまり、社会的な責任として意味が強い。覚えておきましょう。

2018年6月27日

6月27日 電車の中で大地震に遭った時の心構え

今朝は大阪北部の地震から学ぶ、“電車の中で大地震に遭った時の心構え”をお伝えします。

朝のラッシュ時に起きた大阪北部の地震。大阪付近のJR、私鉄、地下鉄が全面的に運転を見合わせ、多くの人が車内に長時間閉じ込められる事態となりました。
きのうは、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに襲われる確率を示した、最新の「全国予測地図」が公表されたばかりですが、万が一、満員電車の中で大きな地震が来たらどうなってしまうのか?鉄道の地震対策と、地震に遭遇した時の心得を専門家、鉄道ジャーナリストの枝久保達也さんに伺います。

まずは、乗車中に地震に遭遇したケースについて。

◆鉄道の地震対策と、地震に遭遇した時の心得
今回の大阪北部の地震は8時ちょうど前ということでラッシュ時間帯にあたったわけですけど、そういった意味では今回の地震でいろいろな教訓が新しく見えてきたと言えると思います。
まず緊急地震速報を受信したり、あるいは列車が大きな揺れを感知した場合はまず列車は緊急停止をします。これは走行しているより停止している方が揺れに強いということで安全を確保するために列車は止まります。そして揺れが治まって安全が確認されたらそこから避難したり、あるいは運転再開といった手順になるのですが、なかなかその場にいる乗務員だけで避難するのは難しいので、周辺の駅から駅員が応援に駆けつけて列車からお客様をご案内する流れになるので、どうしても長い時間がかかってしまい、先日の大阪の地震でも2〜3時間列車の中でお待ちになったという話も聞きました。ただ皆さんが勝手にドアを開けて車外に出てしまうとケガや事故につながる恐れもありますので、案内に従って避難することが重要になります。車内で長く待機している場合は周辺で具合の悪い方、ご高齢の方がいらっしゃると思うので席を譲りあったり、あるいは車内が暑くなってきた時に空調が切れてしまっても窓が開けられるので、周りの方の状況にも気を配りながら乗客同士助け合って、手助けし合って避難するというのが重要なことだと思います。
通勤電車だとトイレが付いていないケースもありますし、仮にトイレが付いている車両でも停電の時は使えなくなることが起こり得ます。最近は非常時用に非常トイレを準備して必要に応じて貸し出している会社もありますので、まずは車掌さんに聞いてみるというのが一番現実的な方法かなと思います。最近はエレベータでも閉じ込め対策として中に非常用トイレや飲料水を設置する場所も増えていますので、車両も安易に外に出られないのであれば非常用の備品を備えるといったことは今回の地震を踏まえて鉄道会社もより一層、どこでもいつでも起こりうることとして準備を加速することが必要になってくると思います。


そして、都市では地下鉄に乗っている時に大地震に遭遇することも想定されます。地下では、「パニックによる混乱がもっとも怖い」と枝久保さんは指摘します。

◆パニックによる混乱がもっとも怖い
地下鉄で地震が起きた時、地下ということで不安や恐怖感があると思いますが、実は地下のトンネルの方が揺れに強いという特性があります。それはトンネルや駅が地面と一緒に揺れるので影響を受けにくいという特性によるもので、さらに阪神大震災以降の補強工事が進んでいるのもあって、損傷が生じるとしても駅自体がつぶれたりトンネルが崩落したりということが起きないような強度になっていますので、心配しないでパニックにならないで誘導がはじまったら避難していただくと。そういった落ち着いた行動をすることが地下の場合なにより大事かなと思います。
また駅構内で停電が起きた場合、灯りは電気が停まっても灯し続ける非常灯がありますので駅構内が真っ暗になることはありません。4〜5時間は電気を供給できる設計になっていますので避難が完了するまではしっかり電気が供給されるようにできています。


通勤のラッシュ時、多くの人が集まるだけにパニックがいちばん怖い。正しく恐れつつ、落ち着いて行動できるよう心掛けたいし、それには、自分の通勤・通学路で地震が発生した場合、まずどのように行動するかを想定する、心の準備をすることが大切ではないでしょうか。
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パーソナリティ 鈴村健一

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