2018年7月4日

南相馬市小高区「フルハウス」(3)

今週は、福島県南相馬市小高区に「フルハウス」という本屋さんを開いた、芥川賞作家、柳美里さんのインタビューをお届けしています。

4月にオープンした「フルハウス」は、小高駅から歩いて2分くらいの場所にり、一軒家を改築したぬくもりのある雰囲気の本屋さん。本棚には柳さんの友人である24人の著名な作家や映画監督などが推薦する本がメッセージのポップ付きで並んでいます。


おととし夏に避難指示は解除されていますが、まだ住民の帰還は2割程度。そんな町で本屋さんを開こうと思ったのは、どんな理由からだったんでしょうか。

◆帰りの列車を待つ間の、第二の駅舎のような存在に
2015年の4月に転居をしたんです。ちょうどその頃に、小高工業高校という高校があるんですね。避難区域の中にあった学校なんですけど、小高工業で講義をしてくれないか”というご依頼があったんです。やりましょう!ということで現国の時間に自己表現と文章表現の講義を行なったんです。小高工業高校と同じく警戒区域、避難区域の中にある小高商業高校が統合して2017年4月に小高産業技術高校となって(小高に)戻るという話を聞いたんですね。それは旧警戒区域ではじめて戻る高校というふうになるわけですけど、まだ住民が現時点でまだ2500人しか戻ってないわけですよ小高区。今ここは駅のすぐ近くなんですけど、下校時に真っ暗なんです。この中で生徒たちが部活帰りに、冬真っ暗な中帰るのかというふうに不安になったんですね。それで小高駅というのが駅舎があるんですけど小さいんですよね。二つの学校が統合して約500人の生徒を収容できないんですよ。ていうことがあって、なにかこう、第二の駅舎のような場所を作れないかなと思って、本屋さんだったら居場所になる、なり得るんじゃないかな、入りやすいじゃないかなと思って、本屋をやろう!と思ったんです。


にぎわいが消えた小高区で、高校生たちが集える、“ともしび”のような場所を作りたいというのが「フルハウス」を開いた理由。そして4月にオープンを迎えて、柳美里さんがエプロンをしてお店に立っています!

明日はオープンを迎えての思い、そしてこれからについてのお話しです。

2018年7月3日

南相馬市小高区「フルハウス」(2)

今月から時間を変更してお送りする『LOVE & HOPE〜ヒューマンケア・プロジェクト』。引き続き、防災減災と地域活性の「いま」、そして被災地の「声」をお届していきます。

今週は、福島県南相馬市小高区に「フルハウス」という本屋さんを開いた、芥川賞作家、柳美里さんのインタビューをお届けしています。
東日本大震災と福島第一原発の爆発事故があった2011年4月に原発20キロ圏内を訪れたという柳美里さん。その後も警戒区域となった町を度々訪れ、ついには南相馬市に移住して本屋さんを開くことに至ります。

決して簡単な決意では無かったと思いますが、移住に至るまでの経緯をあらためて聞いてみました。

◆暮らしてみなければわからない苦しみ、悲しみ、楽しみ
最初の時に4月21日警戒区域の前日に、夜の森の桜を撮ってツイッターにアップしたんですね。そしたら、“私の町の桜も、柳さん撮ってきて。心配なので”っていう声がたくさん集まったんですよ。それで三春に行って滝桜を撮って、二本松の合戦場の枝垂れ桜を撮ってっていう桜めぐりから始まったんです。とにかく歩いたりして“知ろう”という気持ちが強かったので。そういうふうに通っているうちに、臨時災害放送局の「南相馬ひばりエフエム」の今野聡さんというディレクターの方からツイッターを通して依頼が来て、“柳さん、南相馬に通っているならラジオに出てくださいよ”という依頼だったんです。それで毎週金曜日の「柳美里のふたりとひとり」という毎回住民お二人の方と私がお話しをするという番組が始まったんです。1年1年更新されていって、6年続けることになり・・約300回で600人の住民の方のお話しを収録した訳ですけど、1つには通うのが厳しいというのがあったのと、もう一つはお話しを伺う中で、たとえば大家族で暮らしていた、みんな原発事故で散り散りになってしまって暮らしが壊れてしまったという、暮らしの中に苦しみ哀しみがあるわけですね。だとしたら、暮らしてみなければ、その苦しみ、悲しみ、楽しみもですけど、分からないのではないかと思ったのが、大きいですね。


福島県南相馬市小高区に「フルハウス」という本屋さんを開いた芥川賞作家、柳美里さんのお話し、明日は「フルハウス」開店の経緯についてのお話しです。

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パーソナリティ 鈴村健一

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