2018年7月6日

九州北部豪雨から1年

福岡、大分を中心に、大きな被害をもたらした九州北部豪雨から1年。
災害関連死1人を含む40人が犠牲となり、いまなお2人が行方不明。
そして1000人以上が仮設住宅などでの避難生活を余儀なくされています。

今朝は、速水健朗が以前取材をした、福岡県朝倉市で観光バス会社を営む、
小嶋嘉則さんにお話しを伺いました。



速水  「ご自宅のあった石詰地区、ご自宅どころか集落ごと流されて、面影もありませんでしたが、あの豪雨被害から1年が経ちました。なかなか復旧や再建が進まない中、どんな思いでいらっしゃるんでしょうか?

小嶋  「そうですね・・・諦め?先に進まないもので。復興も手つかずで。いま工事やってるのは梅雨に向けての砂防ダム。下流に砂が行かないように堤防を作っただけですね。今のところは重機も何も引き上げてしまったところで、梅雨明け待ちでしょうね。

速水  「前回、お話しを伺ったときは、「みなし仮設」に住みながら、次どうしようか?って言ってましたけど、今どうしていらっしゃいますか?」

小嶋  「いままだ“みなし”に居ります。」

速水  「小嶋さんと同じように、避難生活をしていらっしゃる方はまだまだ多いんでしょうか?」

小嶋  「まだ皆さんそのまんまですよ。それどころか“長期避難”で、住める家の人たちも、もう強制的に避難生活に入っています。」

速水  「小嶋さん、去年も、自宅近くの被害の少なかった娘さんの家を自力で修復して、発電機を入れて、住めるようにしていました。あそこでの生活は出来るんですか?」

小嶋  「あれからしばらく住んでたんですけど、強制、長期避難で住めなくなったので、いま出てます。」



集落ごと流され、家も棚田も消えた石詰集落。ホタルが飛び交うのどかな山郷での暮らしを取り戻そうと、小嶋さんは、無事だった少し下流の娘さんの家を修繕し、発電機を購入して住んでいましたが、今は長期避難地区となって、住むことが出来なくなったのだそうです。避難期間がいつまで続くのか、集落の再生はいつになるのか、1年を経た今も、先の見えない状況が、朝倉市では続いています。

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そしてこの放送の翌日、降り続く雨の影響で、朝倉市をはじめ、西日本の各地に大雨特別警報が発令されました。甚大な被害が及んでいる地域もあります。繰り返し起こる災害、市町村から発表される指示に従い、身を守る最善の行動をとるようにしてください。

2018年7月5日

南相馬市小高区「フルハウス」(4)

今週は、福島県南相馬市小高区に「フルハウス」という本屋さんを開いた、芥川賞作家、柳美里さんのインタビューをお届けしています。

4月にオープンした「フルハウス」は、小高駅から歩いて2分くらいの場所にあって一軒家を改築したぬくもりのある雰囲気の本屋さん。本棚には柳さんの友人である24人の著名な作家や映画監督などが推薦する本がメッセージのポップ付きで並んでいます。


そんなオープンしたばかりの「フルハウス」で、あらためて開店を迎えての思いを伺いました。

◆特別な場所づくり それが本棚
本も被災したんですね。津波で家が流され、家と一緒に本も流されたんです。あと警戒区域になった時に、家に動物が入り込んでしまった。そうすると地震で本棚倒れて本が散らばったうえに動物の糞尿のようなものがされてしまったお宅が多いんですね。やっぱり本に対して胸を痛めている方が多かったんですね。もう手に入らない本がこんなになってしまってもう廃棄せざるを得ないと。そういう方が開店前からふらっと訪ねてきて、“本屋さんまだ?”って。“本屋さん出来たらもう一度、空の本棚を、一冊一冊ゆっくり選んで家に持ち帰って読みたい”っておっしゃるお年寄りも多いわけですよね。だから私は特別な場所を作りたいと思ったんです。で、友人の角田光代さん、村山由佳さんとか、中村文則くんとか、いろんな小説家に声をかけて、誰も断らなかったですね。“20冊、選奨してください、手書きポップを掲示します”、で、みんなやっぱり本って憧れのまなざしで眺めますよね。そういうものがこの地域に必要だと思うんですよね。というのがやっぱり“汚染地帯”というふうに思われている中で、やっぱり私は美しい場所が必要だと思って、力を尽くして、心を尽くして、棚を作りました。



いま一軒家の一階の二間が本屋になっています。
夏の終わりには、坂茂さんデザインのブックカフェが完成予定、さらにそのあとは、子供たちが自由に使える「学習室」、「ギャラリー兼Bar」、「小劇場」も作る!と決意を語っていた柳さん。資金はまったく足りてないけど、とにかく「やる」と決めているんだそうで、「人口は増えなくても交流人口を増やしたい!そのきっかけの一つになれれば」と話してくださいました。

「フルハウス」は、常磐線「小高駅」から歩いて2分。火曜から金曜の午後1時から午後9時20分まで開店しています。
さらに毎週土曜日にはゲストを招いてのイベントも開催しています。
詳しくはコチラから。
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パーソナリティ 鈴村健一

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