2020年2月3日

南相馬市小高区で活動する「オムスビ」代表 森山貴士さん?

今朝は、福島県南相馬市小高区で活動する“まちづくり団体”、一般社団法人「オムスビ」の代表理事、森山貴士さんのインタビューです。

地域の大半が福島第一原発から20キロ圏内にある小高区。一時は住民の居住が制限されていましたが、2016年7月に避難指示が解除。鉄道や学校も再開して、震災前には及びませんが住民の帰還も少しずつ進んでいるという地域です。

そんな小高区で、「課題に立ち向かえる人材を輩出し、まちの課題を解決していく」をミッションに活動を続けているのが「オムスビ」。その活動は「Odaka Micro Stand Bar」という、小高駅前でコーヒーを販売する小さなキッチンカーから始まりました。(ちなみに「オムスビ」は「Odaka Micro Stand Bar」の頭文字OMSBから命名)

代表理事を務めるの森山さんですが、じつは地元出身ではなく、震災後に小高区へやってきた“移住者”なのだそうです。

◆「地域の中で教育に携わる活動がしたかった」
「もともと前の会社を2014年に辞めて、なにかしら地域の中で教育に携わる仕事がしたいなって思ったんですね。それで仕事を辞めた後に、いろんな地方を見て回っていたタイミングで、宮城の石巻に行ったのがじつは初めて東北に行ったきっかけなんですけど、その時にIT関連のイベントがありまして、南相馬で活動してる方と出会って“まだまだ南相馬の震災復興は進んでいない、風評被害もある中で、新しいビジネスを立ち上げていきたい、ITが一つ突破口にならないか??と考えてる・・・”という風に言っている人がいて、それだったら自分の思ってたことと何か一緒に協力できることがあるかなっていうことで、最初南相馬に来たのがきっかけですね。」



(真ん中が森山さん)

プログラミングが専門のITエンジニアである森山さんは、そうして避難指示解除に先立つ2014年7月に、東京から小高区に移住。小高区や周辺の地域で、プログラミングを教える活動を始めます。そして・・・

◆「コミュニティの場としてキッチンカーを」
「そうやって2年ぐらいやってきたんですけど、どうにもうまい結果が出なくて、なかなかやっぱりプログラマーという切り口だけだと、そもそも地元にそういうIT系の企業がほとんど無いですし、そういったロールモデルがない、コミュニティがないんですよね。で、学びに来てくれた子たちも高校2年、3年になると自分の就職先とか進路を決めて市から離れちゃうっていう問題があって、これだけだとちょっと難しい、もうちょっとドメインを広げて考えたいなと思って、で、発起人というか言い出しっぺにハナオカというのがいるんですけど、彼が何か小高でコミュニティカフェみたいなのをやれないかと考えると。で、ITだけじゃなくて地域で何かしたいっていうのをもうちょっと軸にしてコミュニティつくっていけば、何かできることあるかなっていうふうに考えてはじめたのが、キッチンカーを始めるさわりになったとこなんですけど・・・」


そのキッチンカーは、2018年にお洒落なカフェとなって、駅前の目抜き通りにオープンしました。



Odaka Micro Stand Bar

『LOVE & HOPE』、明日も「オムスビ」の代表理事、森山貴士さんのお話し、続きます。

2020年1月31日

宮城県雄勝町の 「御留石」5

宮城県石巻市雄勝町からのレポートです。

いまから600年以上前、室町時代から、書道用具の硯の材料となる石が取れていたという雄勝町。
特に「御留山(おとめやま)」は、「御留石(おとめいし)」という最高品質の石が採れる山なのですが、復興事業で、道路を通す計画が進み、今後、石が採れなくなる可能性が高まっています。

その前に、少しでも石を採り、後世に残そうということで声がかかったのが、東京・浅草の硯職人・青柳貴史(あおやぎ・たかし)さん。この方は、歌舞伎俳優・市川猿之助さんや、細川護熙元総理の硯づくりも手掛けた、日本を代表する硯職人。日本はもとより中国まで渡り、研究者のように、
良質な硯石を探求している方です。そんな青柳さんに、御留山の価値を伺いました。

※地元の硯関係者と共に御留山で採石(写真左が青柳さん)

◆御留石の価値
大体今の地質学の話で言うと、日本の石は1億年、若いので8000万年から1億何千万年が宮城は多い中、ここの精密な分析もかけたいと思うんですが、何億年という単位で1センチ、2センチができあがっていく。そこを600年かけて、みたところ100メートルないですね、何十メートル(削り)進んできたというのは、それだけ大地がここの石を作るのに時間がかかった証拠じゃないですか。容易に取れない硬さあるという。そういったものに真摯に向き合う必要があります。どんどんダイナマイトで取るんじゃなくて静かに静かに、素材が割れないように大事にいただく。どんなに道具が発展してもこの気持ちは大事にしたいなというのはありますね。僕の場合ですけど、今回いただいた石をこの形にしようというイメージは今のところ漠然としたものしかないです。ただ出口としては日本の名材を、しかも御留石という良材を今回自分で見ることができて、取ると言う貴重な経験をさせていただいたので、今回のすべてを、自分の中で消化しながら形にアウトプットしていって。山は僕にとってインプットなので、上手にアウトプットすると言う形で、造形として優れたものを作ろうと言うのではなくて、材質を生かした形、硯芸術と「用の美」というものを両方兼ねたものを考えてみたいと。できればその伝統工芸館の新築があるので、それまでにお作りして組合のほうに展示していただければ。その時にこの鉱脈が残っていてくれるのを祈りたいですけどね。


津波被害を受けて、取り壊された「雄勝硯伝統産業会館」が、今年4月に開業する予定です。

今後、青柳さんは雄勝の若い硯職人とともに、硯づくりをすることになります。理想はその硯を、4月開業の伝統産業会館に展示できるようにすることです。一方、御留山では刻一刻と、道路計画が進んでいます。
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パーソナリティ 鈴村健一

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