2018年7月24日

豪雨被害・広島の牡蠣(2)

今朝も西日本豪雨の被災地から、レポートをお送りします。

牡蠣の産地で知られる、広島湾。今回の豪雨では海に流れ込んだ大量の雨によって、海の表面の塩分濃度が「真水」近くまで下がってしまい(通常3%が⇒0.6%まで)牡蠣の養殖にも影響を及ぼしています。
牡蠣は6月下旬に産卵し、7月は海に漂う牡蠣の赤ちゃんが養殖イカダに吊るされたホタテの貝殻に付着する時季。しかしこの豪雨で、海の変化に牡蠣の赤ちゃんもタイミングを逃しているようです。その一方で、海にも“良い変化”があったようです。
広島湾、美能島の牡蠣漁師、大越英樹さんと一緒に牡蠣筏へと向かいました。

◆大雨で牡蠣のエサである植物性プランクトンが大量発生!
牡蠣養殖するのにいちばん元となる牡蠣の稚貝がホタテに付着する時期とちょうど重なって、大雨で雨水がたくさん出て海の中に「真水の層」が出来ているんですけど、とにかく表層面があまりにも塩分濃度が下がり過ぎて(牡蠣の赤ちゃんが)いい具合に付着してない状況です。逆に良い話は、真水が出てきた分、牡蠣の餌となる植物プランクトンは発生したんですよ。植物プランクトンは海水と真水が混ざった環境でよく発生するんですけど、牡蠣の餌となるプランクトンは発生したけどそれが逆に増えすぎると赤潮になりますし、なかなか難しい自然環境だとは思いますね。

(船が停まり筏に到着)牡蠣の赤ちゃんが付くタイミングで海にホタテの貝殻を下げておけば、2日〜3日でホタテに牡蠣の赤ちゃんが付くという作業になるんですけど、ホタテ貝に付着するかしないかはやってみないと分からない状態。これから親牡蠣も産卵に向けて餌を食べていくには、次の産卵に向けてはいいと思う。近年にないぐらい餌が多いですから親牡蠣自体には良いと思う。想いとしたら、稚貝が獲れて親牡蠣が太ってくれれば一番いいんですけど、その辺含めえて良い報告ができることを願っています。



↑この小さな「黒い点」が牡蠣の赤ちゃん(0.3mm)、これをキャッチできるかがカギとなる


お話しは、マルイチ水産 大越英樹さんんでした。
牡蠣が成長して収穫できるようになるまで1〜2年かかりますが、海に真水の層が出来たことと、植物プランクトンの大量発生が今後どう影響するのか。被害が小さいことを願っています。

2018年7月23日

豪雨被害・広島の牡蠣(1)

今回の豪雨では農産物だけじゃなく、海で獲れる水産物にも被害が広がっています。
広島湾、美能島の牡蠣漁師、大越英樹さんと一緒に牡蠣筏へと向かいました。

◆漂流ゴミ
ちょうど月曜日なんですけど、船も航行できないくらいの大量のゴミが流れていたので、大木とか家屋の一部じゃないかというような建材も含まれてて、うちの漁協組合総出でゴミの回収をして、かろうじて船の航行ができるようにはしたという状態です。潮の流れや風の向きによって今日はなかったけど明日風で流れてきたり、という状態ですね。


幸いにも、大越さんの50台ちかくある養殖筏は無事だったそうです。

現在牡蠣養殖は、ホタテの貝殻に、牡蠣の赤ちゃんを付着させる大事な時期。漁師さんはタイミングを見計らって、ホタテ貝を海に投入させますが、今回の豪雨によって海の塩分濃度が変わってしまい、うまく付着ができていないようです。

◆塩分濃度が3%から0.6%に
牡蠣養殖するのにいちばん元となる牡蠣の稚貝がホタテに付着する時期とちょうど重なって今大変な状況です。6月後半に産卵しておよそ2週間ぐらいで牡蠣の赤ちゃんがモノに付着するという性質を利用してホタテ貝に付着させるんですが、大雨で雨水がたくさん出て海の中に「真水の層」が出来ているんです。
表層部分に雨水がたくさん流れ込んだ分、塩分濃度が普段は3%を維持しているのがこの雨でひどい時で0.6%に。ほとんど真水のような状態ですね。水深2mぐらいからは3%あるんですけど、とにかく表層面があまりにも塩分濃度が下がり過ぎて(牡蠣の赤ちゃんが)いい具合に付着してない状況です。
それを今、付着する海域に筏を移動させたりホタテ貝を海に投入する作業をしているんですが、とりあえず家のことはさておき、翌年を見越して牡蠣の赤ちゃんを確保するのにみんな放浪している状態です。


能美島の牡蠣漁師、大越英樹さんのインタビュー、明日も引き続きお送りします。
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パーソナリティ 鈴村健一

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