2020年2月11日

エゴマで元気を! 浪江・石井農園(1)

今朝は福島の浪江町で「エゴマ」を栽培する『石井農園』のレポートです。
もともと浪江で酪農を営んでいた石井絹江さんご夫妻。避難直後、飼っていた牛の処分や、帰る度に無惨な姿に代わっていく自宅の様子に落ち込むご主人を励まそうと、避難先の福島市で農地を買い石井農園を始めました。

●浪江に戻れるまで種をつなごう
「私は震災前から浪江生まれ、浪江育ち、浪江で結婚しました。浪江町の赤宇木地区は今でも放射能が高いところでまだまだ帰還できない地域。(田んぼの)作付けは30年は出来ないと言われたときに諦めたんです。赤宇木地区に戻れないんだったら私とお父さん福島で農業をつないでいくべねって。浪江に戻れるまで種をつなごうって頑張っています。」


石井農園は福島市で農業をスタートすると同時に浪江町でもエゴマの実証栽培を開始。放射性物質の検査もクリアして、今では浪江でも本格的にエゴマを栽培しています。
でもなぜ絹江さんは、浪江での作付けにこだわるのでしょうか。

●ふるさとの仲間を元気にしたい
「石井農園を開いたのは、震災後みなさん避難して、いずれは浪江に帰るだろうということで、みんなを元気にさせる、元気になる源を作りたいなとなったときに、誰でも簡単に作付できて食べられるものといったらえごまが手っ取り早いし、手もかからないというのがあって、葉っぱも実も油にすればαリノレン酸がたっぷり含まれているというのを震災前から知っていたから、作付けからえごま油まで全部やってみようと思って仲間に声かけてえごま作りが始まったんです。浪江は避難解除されていなかったんだけど私は試験栽培を「浪江で作りたいんだ」といって、遊休農地がこれから荒れ果てちゃうから、まだまだ田んぼを作るまで5〜6年は何も作らない田んぼを借りて、その土を有機栽培できるよう、自然の田んぼの状態にしようってことで浪江に作付をはじめて、今年で5年目になります。」


こうして、酪農家だった夫を支え、ふるさとの仲間にも「元気を届けたい」と福島市の自宅から片道2時間かけて浪江町に通い続ける石井絹江さん。えごま栽培を通じて多くの方を励まし続けています。今、えごまは健康食として注目されていますが震災前から浪江では作られていて、郷土料理として親しまれていたそうです。現在は「浪江にまた、またエゴマの花を咲かせよう」ということで広める活動を続けています。

石井農園のエゴマは農薬や化学肥料は一切使わず、小さな機械と手作業で、えごま油、ドレッシング、ラー油、ジャムなどに加工。浪江町の「まち・なみ・まるしぇ」などで販売されています。

欲しい!という方、なんと今週木曜日、石井農園の「えごまジャム」をプレゼントしちゃいます!
ということで明日以降も石井農園についてお伝えします!

2020年2月10日

宮城県の新税「宿泊税」について、あるホテルマンの声

今朝は、宮城県で導入が検討されている、宿泊者対象の新税“宿泊税”について、あるホテルマンの声をお届けします。

宮城県では今月、観光振興の財源確保策として検討しているこの新税について、税額を一律300円、宿泊料3000円未満を課税免除とする制度案を決め、これに関連する条例案を、12日開会の県議会に提出。2021年度の導入を目指して着々と段階を踏んでいます。

一方で県内の宿泊事業者は、突然ふりかかってきたこの新税導入について、「議論が拙速」「宿泊客が減少しかねない」など、反発を強めているんです。

そんな宮城県の宿泊施設の一つで、志津川湾を望む眺望で知られる、南三陸町の「ホテル観洋」のホテルマン、伊藤俊さんに、お話を伺いました。

◆「導入を急ぐというのは納得できるような状況ではない」

「今回宮城県の方で、復興10年が終わると観光の財源が間違いなく減ってくると。これから宮城県、観光を盛り上げていくために、そして海外の皆さんインバウンドの方々をたくさん迎えるためには、やっぱり財源が必要ですと。ただその財源を、突然何の説明もというか、私の私たちの声を聞かずに、他の観光施設ではなく本当に宿泊施設だけに特化した税金を課すというものが突然出てきましたので、驚きでもありましたし、逆に観光を盛り下げてしまうんじゃないかなという、そんな気持ちもあって、なかなかその、いま宿泊税が導入されている地域というのは明らかにたくさんの人が来ていて、財源確保のために導入されてるケースが多いんですけれども、まだまだこの地域はそういった状況ではなく、どの旅館の皆さんも必死に毎日を頑張ってる中で過ごしてますので、そういった“まだ人が来てない地域”に税を導入するというのは、ちょっとこれは理解に苦しむところではあります。この東北の地域というのは、とくにそのこの沿岸部の地域は、本当に公共交通もままならない中で宿泊税を導入すると、おそらく宮城県ではなくて他の地域を検討されるというのは少なからず出てくると思いますし、私たちも税金の使い道がまだあやふやなまま、“観光振興のために使うんですよ”という目的ながらも(具体的な)目的が定まってない状況での、導入を急ぐというのは到底納得できるような状況ではありませんので、300円という数字が出てきたんですけどその根拠が何かも示されずに金額が決まるのも不思議な感じがしますので、もう少しちゃんと考えて話し合うべきだと思います。」




現在この「宿泊税」を導入しているのは、東京都、大阪府、京都市、金沢市など。今回もし導入が決まれば、もちろん東北では初めてとなります。

2021年の導入を目指しているというが、たとえば修学旅行。観洋ではすでに、2021年の修学旅行の予約が決まっている状況です。県は修学旅行対策として、サービス券の配布や観光バス費用の助成など、負担軽減策を検討する意向ですが、今後、そんな修学旅行や、団体旅行への影響も今後懸念されます。

新税そのものはもちろん、導入の検討開始からここに至るまでの“拙速すぎる進め方”にも、疑問や不信感を感じる、と伊藤さんは話していました。

こうした事業者の声に、宮城県はどう向き合うのでしょうか。

余談ですが、我々番組スタッフも折に触れて宮城県沿岸部を訪ねていますが、伊藤さんの言う通り、復興応援旅行の需要がひと段落して、復興工事関係者の数も少なくなった今、一時期の賑わいが消えた地域も少なくありません。そんな時に「旅行者への優遇」ならまだしも「新税導入ですか?」というのが正直な感想です。

しかし宮城県沿岸には、アクセスの労を差し引いても余りある魅力が溢れています。美しい海岸線の風景、腰が抜けるほど美味しい海の幸、そしてどこまでも親切であたたかい町の皆さん。宿泊税は無いにこしたことはありませんが、たとえ仮に新税が導入されたとしても足を運んで頂きたいと思います。お話を伺った伊藤さんの「観洋」は、志津川湾を望むお風呂が最高です。昼も夜も。




※(オフィシャルサイトより)
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パーソナリティ 鈴村健一

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