2018年10月31日

葛尾村・佐久間牧場(3)

避難指示が一部解除された、福島県双葉郡葛尾村で酪農の再開に乗り出した、佐久間牧場・佐久間哲次さんのインタビューです。

福島第一原発事故の影響で多くの牛を失った佐久間さん。かろうじて難を逃れた25頭も北海道の牧場に預け、
2011年の6月、ご自身の牧場は完全休業状態に。ただ、佐久間さんはこのとき、牧場を、いつか必ず再開する、そう考えていたといいます。

◆牧場に、子牛の鳴き声が戻ってきた!
(北海道の牧場に預けた)その25頭も一年後に戻ってきたんです。初妊牛になって。妊娠した形で戻ってきたんですけれど、避難区域で牛は飼えない状態だったので、欲しいという人たちに格安で譲ることにして、条件をつけたんです。うちが再開する時まで飼っていて欲しいと。何年かかるか分からないから大きくなっちゃうが、その子どもやその孫、メスで生まれていれば買い戻したいと。避難指示が解除されたのは2016年6月で、生乳の出荷制限が解除されたのは12月。休業している理由がなくなって、じゃあ再開に向けた準備をしましょうと。子どもが今4人いるんですけれども、学校もこっちで再開するとことが決まったので、家族全員で住めるような家をまず作らなければいけない、牛舎も直さなければいけないと。それで急きょ去年の12月に家を完成させてもらって。17年はエサの試験的なものやって今年は牛を入れるという計画はやっと断ったので、今は試験的に8頭、牛が入ってきた時はそんな実感なんていうのはそんなにわからないんですけれども、搾乳するようになってやっと思い出した、みたいな。生活感が牛の鳴き声とともに。



ということで新たに牛を牛舎に入れ、酪農再開へ向けて準備を始めた矢先。なんと、牛の赤ちゃんが誕生!佐久間さんが語るように、元気な子牛が牧場に未来への希望をもってきてくれたんですね。

2018年10月30日

葛尾村・佐久間牧場(2)

福島県双葉郡葛尾村・佐久間牧場からのレポートです。

2016年に 福島第一原発の事故による避難指示が一部解除されたことで、佐久間牧場・佐久間哲次さんは村へ戻り、3代続けてきた酪農の再開に乗り出しています。

ただ、ここまでの道のりは 本当に大変だったといいます。2011年3月15日の避難指示で、牛たちを残して避難した佐久間さんはなかなか村へ戻ることができず、結果、たくさんの牛を、失いました。そして、原発事故の影響を受けたほかの地域の牧場と同じく、生き残った牛たちをどうするか、辛い選択をしています。

◆「逃げた」という後ろめたさ
この界隈はあまり放射線量は高く無かったんです。周りに木がなくて造成されているから。そして、国の決定としては「線量がないものに関しては牛はスクリーニングをして食肉処分するか、別のところに移転するか選択してください」と。でも乳牛はどこでも飼育できるものではない。うちは搾乳施設もないし、廃業選択するしかなく、食肉処理したんです。一方、年内にお産をしない12ヶ月未満の種付けをしていない牛に関しては移動しても良いということになった。そこで北海道上士幌町と言うところにナイタイ高原牧場という全国から子牛を預かって種付けをして初妊牛を戻すとのを専門にしている牧場に避難させました。条件に該当するのが25頭いたので、そこに避難させて。2011年の6月30日、牛舎から牛が消えた日です。これで完全に休業に入ったんです。まあそうですね、ただ当時はそれよりも牛を置いて逃げたことの方が・・・僕らが避難したあと、浪江町津島という線量が高いところでも残って牛の世話をし続けていた酪農家さんがいっぱいいたんですよ。それでも自分は逃げた。そこがずっと引っかかっている。後ろめたい気持ちはずっと強かったんですよ。
  
 

原発事故で、牛たちを置いて避難せざるを得なかった酪農家のニュースはみなさんも記憶しているところだと思います。また、葛尾村はもともと後継者問題もあり、震災で牛舎を離れたことをきっかけに、そのまま廃業を選んだ酪農家も多いそうです。そんななか、佐久間さんは避難指示解除後に、牧場の「再開」という道を選びました。そこにはどんな想いがあるのでしょうか。明日も佐久間さんのインタビューです。
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パーソナリティ 鈴村健一

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